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「檸檬100周年フェア」に置きたい3冊

知りませんでした。

来年で梶井基次郎が「檸檬」を執筆してから100年とのこと。丸善で何らかのイベントが催されるかもしれませんね。

同店の従業員ではないけど「檸檬」フェアをやりたくなりました。様々な出版社から出ていますが、私のイチオシは↓です。

「立東舎 乙女の本棚」シリーズの白眉。私は真夏の猛暑日にパラパラ捲ることが多いです。イライラしたり気分が滅入ったりしている時にもぜひ。

自分で言うのも何ですが、2017年に読書メーターへ書いたレビューを気に入っています。ここで紹介させてください。

声が聞こえてきた。
言葉のチョイスとリズムが宮沢賢治と微妙に重なる様な。異国、或いは未だ見ぬ風景への憧れ、駆け巡る夢と空想、そしてままならぬ現状への苛立ち。打破する武器はたった一個の檸檬。芸術を志す者なら誰しも想像力という爆弾を胸に秘めている。それを目に見える形で具現化。
どこからか著者の呟き。「丸善さん、いつか俺の本でアンタの店は大爆発だぜ」願いは叶えられた。今やこの国で彼の本を置かない書店は無い。そしてこの爆発は誰も傷付けない。むしろ破裂寸前の誰かの心をそっと癒す。暑い夏に鼻の上に置いた冷たい檸檬の様に。


少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。

「檸檬」フェアをやるなら、併せてこちらも置きたい。

芥川龍之介の「蜜柑」です。ある意味で「檸檬」と相通ずる爽快感を備えた掌編の傑作。鬱屈した気分を己の行動で晴らすのが「檸檬」なら、他者のふとした振る舞いに人の世も存外悪くないと胸を打たれるのが「蜜柑」でしょうか。

そして「檸檬」と「蜜柑」を選んだ以上、↓も外せません。

伊坂幸太郎の代表作。梶井基次郎からだいぶ遠いところへ来てしまいました。なぜ「檸檬」と「蜜柑」がここに繋がるのかは読めばわかります。

本作は誰に対しても自信を持ってオススメできる「シンプルに面白い小説」のひとつです。疾走する東北新幹線の車内で繰り広げられる予測不能なサバイバルゲーム。さらに人としての根源的な問いも突きつけてきます。その辺りをハリウッドの映画版がどう描いているのか気になりました。

なんだかんだで本を選んだ書店員がいちばん楽しんでる。そんな風に思ってもらえるフェアをやっていきたいです。

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