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グレープフルーツ・ジュース (講談社文庫)
講談社 1998年出版 オノ・ヨーコ著 南風 椎訳 122P
(以下は読書メーターのアカウント https://bookmeter.com/users/49241 に書いたレビューです)
登録するのは三度目。でも毎回違う箇所が瞬時に刺さる。抽象的だからいいんだと思う。「~しなさい」という指示自体はどれもシンプルで具体的だが、その指示から読み取れる意図もしくはメッセージが抽象的なのだ。ゆえに千変万化。誰にでも当てはまる。且つ埋没せず個人的に生き抜く勇気の背を押す一冊でもある。たとえば国、社会、会社、同僚、人付き合い。どうでもいいとは言わない。でも優先順位を間違うとロクなことにならない。全て自分の責任だし人生は一度きり。ヨーコさん、すいません。何度でも読みたいからやっぱりこの本は燃やせません。
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本当に大切な一冊です。モヤモヤするときとか寝付けない夜にパラパラめくると、その時点の己にジャストフィットするフレーズが見つかるのです。今回は「山の頂上に彫刻をおきなさい。みんなに望遠鏡で見てもらいなさい」と「録音しなさい。石が年をとっていく音を」のふたつでした。自分が書くべきものはこれだと。
ジョン・レノンは大学生のころにハマりました。ビートルズ時代だと「ストロベリーフィールズ・フォーエヴァー」が特にお気に入りで「俺のことだ」と思っていました。独りでいたいのに寂しい。誰もわかってくれない。でもそれは自分がアイツらとは違う証だから悪いことじゃない。わかりますか、この面倒臭い感じ。いまもあまり変わっていません。
ジョンの曲は「アイム・オンリー・スリーピング」の大あくびとか、ソロ時代の「コールド・ターキー」の麻薬の禁断症状を表現した叫びなど、己の赤裸々な本音を飾らずにストレートに吐き出すのが斬新でした。この本の原本である「グレープフルーツ」にインスパイアされた「イマジン」もそう。いい歳した大人が何を夢みたいなこと言っちゃってんの、という世間の冷笑などどこ吹く風。ジョンは全部わかっていたと思います。我々五人分くらいの密度の濃い人生を送ったわけですから。それでもああいう理想を信じたいという強い気持ち。これが素晴らしいのです。誰が何と言おうと自分は自分の生き方を貫くんだという個人的な意志の力が。
「アイム・オンリー~」は改めて歌詞を読むと、メチャメチャ現代に当てはまります。「みんなはぼくを怠け者だと考えるだろう。気にしない。奴らの方がおかしいんだ」とか。ぜひ聴いてみてください。ついでにハ・ワン「あやうく一生懸命生きるところだった」を読まれてみてはどうでしょうか。