「助けられる人」を助けるために

落ち着いて考えましょう。この決定が下された理由はふたつあります。

ひとつめは「コロナ患者の病床確保に向けた補助金をもらいながら、受け入れを拒否している病院があるのでは?」という信じ難い疑惑。

ふたつめは「重症者を増やさないため」。感染症法上の分類で「2類相当」の現状では、軽症患者は1週間~10日間の自宅(もしくはホテル)療養を余儀なくされています。つまり軽症の段階でかかりつけ医師や町の病院に治療してもらうことができず、症状が悪化してしまう。これを防ぐための措置です。

田村厚労相はあくまでも「”理由なく”受け入れを拒否した病院の名前を公表する」と言っています。

コロナ以外の患者への対応でせいいっぱいの病院はたくさんあるでしょう。受け入れたくてもできないと。にもかかわらず「それでもコロナ患者を受け入れろ。従わないなら病院名を公表する」ということを国と東京都が主張しているわけではありません。正当な理由を示せば拒否はできるはず。まずこの点を政府ははっきりと誰にでもわかる表現で説明するべきです。

そして本当は長尾和宏医師のおっしゃる通り、感染症法上の扱いを季節性インフルエンザ並みの5類に引き下げれば解決する話だと思います。

それをやらないなら、別のやり方で軽症のうちに即治療できる体制を整えないと、どんどん重症者が増えていく。助けられるはずの人を死なせてしまうケースも出て来る。普通に生活する中でコロナに罹るのはどんなに気を配っていても起こり得ること。問題はそこではなく、軽症で済むものを放置してみすみす重症化させることなのです。

今回に関しては政治家を責めるよりも、国民に「自粛しろ」「気を緩めるな」と言いつつ陰で詐欺まがいのことをしている可能性を指摘された病院や医療機関への批判が先ではないでしょうか? 

一部の不届き者のせいで苦しみ、無用のプレッシャーに曝されている多くの医療従事者の方々が気の毒です。この決定は彼ら彼女らを助ける意図も含まれている、と私は信じています。

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