「藤浪晋太郎」=「桜木花道」説
ここまでの成績が「20試合登板、3勝6敗1ホールド、防御率11・23、奪三振34、与四死球31、暴投3」とのこと。
防御率が2ケタでチーム最多勝。こんな事例は過去にあったのでしょうか? 大谷選手と比べるつもりはありませんが、彼とは違った意味で前代未聞の存在感を打ち出しています。
「契約上の縛りでマイナー落ちがないおかげ」「投手陣が崩壊しているアスレチックスじゃなければとっくにクビ」なんて声もあります。仮にそれらが事実だとしても1勝は1勝。しかも今回は棚ボタではなく、ピッチングの内容も悪くなかった。ど真ん中のストレートで三振を奪った瞬間は、野球漫画の見開きワンシーンみたいでした。
もしかしたらアスレチックスの首脳陣が、少しずつ彼の有効な使い方を理解してきたのかもしれない。回の頭から1イニング限定であればいけると。
井上雄彦「スラムダンク」のある場面を思い出しました。流川が結果的に彼のプレーを邪魔してしまった花道に対し、こんなセリフを言うのです。
「税金みてーなもんだ」「おめーのヘマはもともと計算に入れてる」
おそらくアスレチックスの監督も「フジ、おめーの四死球はもともと計算に入れてる」と腹を括っているでしょう。選手層が薄いことも重々承知のはず。だったらあるものを最大限に活用する。安西先生が花道にリバウンドという最適な役割を与えて輝かせたように、アスレチックスは藤浪投手の潜在能力を「1イニングの中継ぎ」で引き出そうとしている。
なんだか両選手が似ているように思えてきました。高過ぎるポテンシャルを持て余した荒ぶる逸材。ダンクを160キロの真っ直ぐに見立て、ここから庶民シュートやジャンプシュートを磨いていくと想像しても面白い。なんでもできる大谷選手を流川になぞらえるのもアリでしょう。
あきらめたら、そこで試合終了。まだまだです。