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直木賞候補と「ニアミス」した思い出

芥川賞・直木賞の候補作が発表されました。

今回は直木賞について。

加藤シゲアキさんの「なれのはて」が受賞すると予想しています。

464ページの大作。構想と執筆に約3年をかけたとか。あらすじに「空襲」「芸術が招いた、意図しない悲劇」「暴走した正義」といった重いワードが並んでいます。

彼が「ピンクとグレー」で作家デビューを果たしたのは2012年。10年以上もコンスタントに作品を書き、評価を勝ち取っていることが素晴らしい。しかも直木賞候補に選ばれたのは、前作「オルタネート」に続いて2度目です。連続でノミネートされたということは地力を認められている証。

加藤さんはかつての職場にいらしたことがあります。一度店内ですれ違いました。整った表情に自信が漲り、纏っているオーラも別次元でした。

話を戻します。

今回の候補作を見てまず頭に浮かんだのは「万城目さん、獲ってなかったっけ?」でした。なんと6回目のノミネート。

こちらは208ページ。京都を舞台にした青春小説2編が収録されています。女子全国高校駅伝に挑む方向音痴のピンチランナーと、借金のカタに謎の草野球大会へ参加することになった大学生の物語。

万城目さんともニアミスがありました。

やはり以前の職場で、ある日店長に「これから万城目学とフットサルをやるけど来る?」と訊かれたのです。彼らの間にどういう繋がりがあったのかは知りません。たしか業界内に共通の知人がいたような。

作家志望なら、現役の人気小説家に会うチャンスを逃す手はありません。しかし何を思ったのか、当時の私は断ってしまいました。きっと疲れていたのでしょう。得意の卓球だったら行ったかもしれない。

464ページの重厚な時代小説と208ページの心温まる青春小説。すれ違っただけでも縁は縁です。どちらの書き手にもぜひ獲ってほしい。

選考会は来年1月17日。楽しみにしています。

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