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短歌:はじめてのno+e


中高女子校畑で育った。
中学2年生のときのことだ。

隣の席の〇田さんはいつも本を読んでいた。
すっと鼻筋が通った知的な横顔を横目で見ては
話すきっかけを探していた。
ある日〇田さんと目があってニコッとされたので
ここぞとばかりに思いきって話しかけた。

「何の本読んでるん?」
「これ」と表紙を見せた。ゲーテの『車輪の下』。
「・・・」

返す言葉が見つからずもうパニック状態だ。
とんでもない適当な言葉が口から飛びだしたと思う。
そして次の日〇田さんから
サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』をわたしは借りていた。
なんで??
なんかどさくさに紛れて本借りる約束とか、多分。

難しい
わからない
それでも必死に食らいついて読み進めたが撃沈だ。
例えるなら足のサイズに合わない靴をはかされた感じだ。
こんな難しい本を〇田さんは中学生で読んでいることに驚かされる。

数日後ていねいに謝って本を返したが
過去一番最初の恥ずかしい話だ。


ファショ読


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