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「消費されるデザイン」から「資産となるデザイン」へブランドシフトするために

今、ビジネスの世界でデザインされる制作物の多くは、顧客ニーズを満たすような合理的な広告や話題性の高いクリエイティブな販促コンテンツがほとんどです。B&Hではそのような制作を、少し注意して向き合うべき対象として「消費されるデザイン」と呼んでいます。

その背景には、クリエイターの自己表現によって耳目を集める表現よりも、その企業やブランド自身が持つ競争優位性と文化的特性を丁寧かつ継続的に表現していくことで、より持続的な好循環を生み出すことができるという独自の理論があります。

私たちは、戦略の立案からビジュアルイメージやユーザーインターフェイスの制作、実行サポートに至るまでブレない一本の筋を通すように、その企業やブランドにとって中長期的な「資産となるデザイン」を提供することが重要だと考えております。

私たちはこの「消費されるデザイン」から「資産となるデザイン」へ変革することを「ブランドシフト」と呼んでいます

デザイン経営を阻む「デザインの壁」

ブランドとは一体どのように構築していくべきものなのか?
理念や哲学はどのように練り上げていけば良いのか?
デザインは誰にどう依頼したらいいのか、予算はどれくらい必要なのか?

なんとなく理解してはいるものの、しっかり成果を出そうとすると、その細かなプロセスに対する疑問は絶えない。そんな経営者や事業部担当者は少なくないかと思います。そうした疑問をもっと本質的に解消すべく私たちは、デザイン側の視点だけでなく経営やビジネス側の視点から、クライアントの事業成長や組織の課題、企業戦略としてどのようにデザインが貢献できるかを追求してきました。そのためにこれまで取り入れてきた「知」を整理すると、その学問領域は年々着実に幅広くなっています。

上図は、マーケティング・ブランディング・建築が扱う領域に、該当する学問を当てはめたイメージです。ブランディングはマーケティングよりも考慮する学問の幅が広いため、中長期的な成果との結びつきが強い傾向にあります。一方、マーケティングは考慮する学問の幅が狭い分、短期的な成果を出すことに向いています。多くの場合ブランディングは、このいずれかに偏ってしまいます。

たとえば、前者がリードするプロジェクトでは、数値的な効果測定は難しいものの、美意識や文化的な側面に厚みを持たせられることで組織が強化されます。後者がリードするプロジェクトでは、美意識や文化的な側面が弱くなってしまうものの、目に見える結果に特化するため数値的な事業の成長が見込めます。

現状、ブランディングやデザインサイドから「上流」と称してマーケティングに参入するデザイン会社は多数存在していますが、その実態はあくまでも競争戦略上のコンセプト策定や戦術までで、本来の上流である企業戦略や組織戦略としての施策までは考慮されていないのがほとんどかと思います。そして経営コンサルやマーケティングサイドから「文化や美意識」の考え方を用いてブランディングに参入する会社がまだ少ないというのもまた、このマーケティングとブランディングの間に存在する”見えない壁”を象徴しているのかもしれません。

「デザインの壁」を越え、さらにその先にシフトするためには

今では総合的な知見が必要とされる建築やプロダクトデザインから、マーケティング的な結果の求められるTVCMといったマス広告、グラフィックデザインやインターフェイスデザインまで多岐にわたる制作をサポートさせていただいている弊社ですが、創業当初は、セールスレターやランディングページ、デジタル広告など、心理学や経済学の要素が色濃く占めるデザインを本業としていました。

当時ご相談いただいていた課題の多くは「競争優位性が曖昧な企業がどうすればレッドオーシャンな市場で勝ち残ることができるか」というものでした。そこで重要だったのは「マーケティング力」と「編集力」です。フィリップ・コトラーやマイケル・ポーターの「マーケティングの基本戦略」、デイヴィッド・アーカーの「ブランドエクイティ戦略」、アル・ライズ、ジャック・トラウトの「マーケティング理論」、ダン・ケネディや神田昌典氏の「ダイレクト・レスポンス・マーケティング」といえば、この筋の方には伝わるかと思います。ナーチャリング(顧客育成)やインサイドセールスといった手法も本質的にはそこまで差異はないと考えます。

ここで重要なのは、適切な知識やデータを手に入れたうえで「やり切る力(グリット)」です。適切な市場を選択し、顧客のニーズを本質的に満たすようなサービスやプロダクトを開発し、潜在顧客、見込顧客、新規顧客、既存顧客へと継続的に顧客を育てていく仕組みを作れば、ビジネスは堅実に成長します。言葉にすると非常にシンプルで簡単そうに思えますが、その実行はとても複雑です。

しかし競合が多い市場の場合、グリットだけでは顧客獲得単価が上昇し、超過利益を出しづらくなってきます。その状態で次にできる施策は、機能的ベネフィットに加え、情緒的ベネフィットを提供することです。論理的な部分だけではなくクリエイティブ面での差別化に焦点を当てます。

デザイン思考とクリエイティブディレクション能力

ここで鍵となるのが、顧客体験などの洞察やコンテクストからインサイトを見つけ出すデザイン思考的な問題提起顧客の興味を惹くためのビジュアルアートディレクションです。多くの企業が同じような訴求で勝負してきた場合は、今まで満たせてこなかった顧客ニーズに対してより心に響くような表現が必要になります。論理的に商品やプロダクトの機能性を伝えていたものに情緒性を加えるということです。品質の高いデザインによって信頼や安心を得ることもできます。CMや広告など、短い時間でも直感的に伝えたいことを伝えるコミュニケーションに長けたアートディレクターが求められます。

しかし、ここからの壁がとてつもなく大きい

一定の売上目標を達成した企業には「利益を生み出す能力」が身についています。しかしこの時点で「ブランドそのものが好き」というレベルまで顧客を熱狂させられるブランドは本当にわずかです。情緒的に伝える施策で成功したとしてもマーケティングという学問の枠からはまだ抜け出せていません。多くの場合は「自分のニーズを満たしてくれるプロダクトブランドとしては好き」という状態に留まります。そうすると、さらに付加価値の高いプロダクトを他社が提供し始め、そのスイッチングコストが低い場合、顧客はすぐに他社の商品へ乗り換えてしまいます。

そして多くの場合「ブランドそのものが好き」ではない状態で人員が増えると組織が安定しなくなります。利益はでるようになったものの「離職率が高い」「もっと優秀な人を採用したい」「ミドルマネジャーの教育が必要になる」などの課題が出てきます。会社でも個人のキャリア形成のために在籍され、ある程度の知識を得てしまうと転職したり独立していってしまいます。採用市場や転職市場においても、雇用条件や働く環境などで判断されるようになり、所属している企業よりも好条件でオファーされると他社へ転職してしまうというサイクルになってしまいます。そこで経営者には、組織を上手く回すためのマネジメント手法が必要になります。採用コンサルや組織コンサルに来る相談の多くはこの段階かと思います。

「ブランドそのものが好き」はなぜ強いのか

デザイン会社にリブランディングを依頼するのもこの時期です。ここでは事業が成功するまでに積み重ねてきた経営陣独自の価値観や働いている社員の価値観をワークショップ形式で丁寧に汲み取り「バリューや行動指針」にまとめていきます。さらに企業が進む未来を「ビジョン」として情緒的な言葉で表し、企業が社会に提供していく価値を定義する「パーパス」や、その企業の存在意義を示す「ミッション」などを策定します。ここで整理した理念体系をビジュアル表現に落とし込んでいけば一般的なブランディングは完成です。

しかしこの時点に至っても多くの企業ではまだ「ブランドそのものが好き」という顧客が増えるようなブランドにシフトできていないのが現状です。なぜなら「ブランドそのものが好き」という状態にしなくても十分な利益を確保できてしまうからです。また、マーケティング視点の強いブランディングによって成功体験を積み重ねてきてしまったため、どうしても短期的に利益に結びつかない施策に投資することはできないためです。

「ブランドそのものが好き」という顧客認識を獲得できると、他社がより高い付加価値のある商品を低価格で提供しても、顧客は好きなブランドの欠点を擁護します。価格が高くても「このブランドなら仕方ない」、何かしらの不良があったとしても「誰にも欠点はあるので仕方ない」というように自分の好きなものを正当化するようになります。

また、ここでは長くなってしまうので割愛しますが、教育や評価、マネジメントなどの組織戦略においてもブランディング領域で挙げた「学問」が重要な役割を果たします。会社は利益を出すためだけの組織では在りません。顧客や社会に貢献するためだけの場所ではありません。共に考え、共に行動し、共に人生の時間を過ごす場所なのです。目指すべきはビジョンやミッション、パーパスなどに共感できる会社だけではなく、価値観や人格、美意識を含めた「ブランドそのものが好き」と思える会社にシフトすることなのです。

では「ブランドそのものが好き」というレベルにシフトするためには何が必要なのでしょうか。それを明らかにすべく私たちは創業時から企業経営とブランディングに向き合い続けてきました。そうして徐々に見えてきた解の一つが、冒頭でご紹介した、本来ブランディングが内包する学問領域に対する認識と理解です。その根拠は「強度の高いブランドを築くには、経営能力と同等かそれ以上に幅と厚みのある文化的素養、またはそれらに対する関心が要になる」という独自の理論に基づいています。

ここでいう文化的素養とは、質の高いインプットと内省によって価値判断基準を磨いていくプロセス、そしてそれによって醸成された経営者個人または組織の特性を表す要素を指します。それは、現状「ブランドそのものが好き」に到達するために最も近道と思われる思考のアプローチであり、どんな組織やブランドにも応用可能な、再現性のあるブランドデザインのフレームワークだと考えております。とはいえ、ブランドに関わるステイクホルダーが多くなかなか抜本的な改革が困難な大企業や、ある程度のスピードが求められ、予算も限られた中小企業で実践するとなると、なかなか厳しいのが現実です。

今までのブランディングプロジェクトの盲点

創業から12年、様々な角度からブランドと経営に向き合ってきた今、プロジェクトの規模や分野を問わず必ず直面する課題が見えてきました。それは「高品質なものを創り上げるためにはそれなりの予算と期間と情熱と根気が必要」だということです。

全社を巻き込みながらリサーチや分析を丁寧に実施すると、ブランドの理念体系を策定するまでに早くても半年〜1年、そこからブランドエレメントやコミュニケーションツールを制作していくと1年〜数年の時間と数千万円〜の予算が必要になります。大企業がコーポレートアイデンティティを制作すると、予算は数億円、期間も数年かけて進めていく場合がほとんどです。

しかし多くの企業は、投資対効果の見えづらいブランド施策にそれだけの予算と期間を当てるという経営判断はできないのが現実だと思います。また企業規模が大きくなればなるほど、組織が縦割りになっているため、事業やグループ間を横断して各関係者の意思を汲み取る必要があるためブランド全体を刷新する難易度が非常に高くなります。

最初の12週間で80%の品質までブランドデザインを作り込む

そこで弊社が導入を進めているのが「ブランドスプリント」という12週間の短期プログラムです。このプログラムは「高品質なものを創り上げるためにはそれなりの予算と期間と情熱と根気が必要」というバイアスを破壊しています。数多くのフレームワークを試してきた中で本当に必要な戦略フレームワークのみを厳選し、最小限の予算と時間で最大限の成果を出すためのプログラムです

このフレームワークには、マーケティング領域の学問に加え、ブランディングにおいて必要な領域の学問のエッセンスが網羅的に詰め込まれているのが特徴でもあります。また、ブランドが定まらないシード・アーリー期にも、ブランドが変革しづらいレイター期以降でも効果的に活用することが可能です。全社的なリブランディングだけでなく、各部署の課題解決での応用においても成功事例が増えてきています。

基本的には、ブランドを構築するために時間と予算を費やすのではなく、その構築したブランドの強度を高める習慣や文化を醸成することに労力と情熱を注ぎます。関係者を巻き込みながらブランディングプロジェクトを進めることでステイクホルダー全員の納得度が高まると思われますが、「ステイクホルダーの納得度」と「経営課題に対しての本質的な目的達成」は全く別の話になります。依頼会社の大切にしている文化やご要望によっては予算と期間をしっかりと確保し、各部署の納得度を高めるためにより綿密なリサーチから行う場合もありますが、重要なのは結果です。結果が出れば、自然とステイクホルダーの納得度も上がりますが、結果が出なければ、プロセスに満足しただけで終わってしまうのです。そういった満足度だけ高いブランドがいくつも墓場に到達するのを見てきました。

12年分の知見を詰め込んだ12週間

ブランドの強度を一気に「シフト」させることを目指した「ブランドスプリント(Brand Sprint)」は、1 dayのワークショップから始まります。所要時間は4〜5時間。Sprintと称しているとおり、かなり集中的に負荷をかけて走り切るため、「脳が汗をかく」というご感想をいただくほどフル回転で思考します。その時間対効果には、このような声をいただいております。


”霧がかかったように見えづらかった先の視界が一気に晴れるような状態になった”

”自分たちが進んでいく先の解像度がかなり高くなった”

”たった1回のワークショップでここまで腹落ちする状態に到達できるとは思わなかった”

”社員の目の色が変わっていくのが本当に嬉しい”

”デザインイメージに一貫性を出していく方向へシフトすることができた”

”社内デザイナーの意識もこれをきっかけに変化した”

”これは他の人には教えたくない”

ブランドスプリントの3ステップ

それでは次にどのようにブランドスプリントを実施していくかを説明していきます。

STEP 1:企業の真善美を探りブランドの人格を策定する|1 day

ブランドスプリントとは「ブランドそのものが好き」に到達するための道筋を描くプログラムです。このワークショップでは「真善美モデル」という独自開発したフレームワークを使い、企業の持っている人格とブランドとして目指す人格(Who)を明らかにし、その理想に近づくために高めるべき品性・品格・品質を紐解いていきます。

もちろん、どんな商品やサービスを提供しているか(What)、どのような戦略やビジネスモデルなのか(How)、どんな想いや存在意義を持っているのか(Why)も企業の独自性を構成する要素ですので、その策定も行います。しかしこの「What・How・Why」にあたるものは、組織のフェーズや時流によって移り変わり得るため、長期的な資産化を目指すブランド構築において、その有効性には脆弱な側面があります。

それに対して「Who」にあたるものは、一貫性が価値となる傾向が強いため、独自性の最も根幹を担う要素だと言えます。顧客やステークホルダーからの信頼を得るためにも、その「What・How・Why」を「”誰が” 言っているのか」から設計することは非常に重要です。このワークショップでは、まずこの「Who」を押さえることによって、後に続く戦略設計やデザイン制作をより迅速に進めるための基盤作りを目指します。

ワークショップは、以下の通り、「真善美」の3パートに分けてヒアリングを進めていきます。所要時間は、事前準備のある場合で3時間半、事前準備がなくても4〜5時間です。

【真】
企業の文化の起源となる経営者の人格や現在のブランドの人格、在りたい人格などをアーキタイプを使って分析。

【善】
企業が超過利益を出している源泉となっている習慣や価値観・顧客や社会が求めている人格のポジショニングなどを整理します。

【美】
経営者やメンバーの嗜好性から今後のデザインに組み込むべき国の文化や美意識を分析します。

そしてこの「真善美」で整理する際に、人格の構成要素を表すための語彙(共通言語)として、「アーキタイプ」を使います。アーキタイプとはユング心理学で提唱された12種類の人格を表す「元型」のことで、欧米を中心にストーリーやブランドの設計に活用されてきました。

弊社のアーキタイプ活用法については、ビジュアルイメージと紐付けた資料を用いてご説明しております。「ブランドアーキタイプ戦略」という書籍が販売されておりますが、その内容よりも実践で使える形に進化しております。

2010年頃に一世を風靡した「ゴールデンサークル理論」Whyから始めるデザイン」ではどこか不十分だと感じていた弊社は、Whoの分析手法としてアーキタイプを導入し始めました。しかし当時はまだ一般向けの書籍が少なく、特に日本ではあまりビジネス向けに知られた概念ではありませんでした。大きな実用可能性を確信しつつも、ブランドづくりでの活用ノウハウは実質ゼロから開発していく必要がありました。

それから約10年が経ち、アーキタイプは広く一般にも知られるようになり、私たちが提供するアーキタイプ分析も独自の進化を遂げました。現在は、国内外の書籍や欧米のマーケティングで知られる活用法とは全く異なるアプローチで、ブランド設計や経営戦略への落とし込みに特化した応用ノウハウを提供しています。

アーキタイプ自体の詳細については、弊社ブランドディレクターの金山が記事にしているので、ぜひこちらもご覧ください。


STEP 2:理念体系(Why)と中長期的なブランド戦略(How)の立案|4 weeks

ワークショップで定義された「真善美」は、理想の人格になるためにブランドが守っていくべき規律です。この規律を守ったうえでの戦略的な実行プランを熟考していくことが、ブランドの強度に繋がります。主に顧客体験をどのように変容していくかを「ブランド体験フロー」「顧客のアーキタイプ分析」「ブランド体験タイムライン」などのフレームワークを使って戦略を立てていきます。

ここでは主に、これまでの知見をもとに、参考にすべきデザインやブランドの事例を厳選し、哲学、経済学、心理学、社会学、美学、建築やアートなど「文化や美意識」に通じる書籍や文献を参考にしながら、理念と戦略をまとめた資料を作成します。この段階で掴む「暗黙知」こそが戦略設計における最大の強みです。

理念体系や戦略については、多くの企業ですでに何度も議論されているかと思います。しかし「真善美」という基点ができてから改めてリサーチを行うと、全く異なる視点でこの領域を捉えることができるようになります。

私たちは「企業習慣」を中長期で変容していくことが重要だと捉えています。ビジョンやミッション、パーパスなどを策定してブランドブックにまとめても、現場の習慣に組み込まれなければ変化は望めません。朝会で理念を唱和することは、果たして本当にその企業が目指す姿の実現に寄与するのか、そこにきちんとメスを入れるべきだということです。

私たちがご提供するサービスは「真善美を基点に認識価値を高めることで経営の諸問題を解決する」ことに特化し、顧客単価の上昇、市場シェアの獲得、社内のブランドに対する姿勢の改善、日々の仕事のクオリティ向上などをサポートしております。

ブランディングは、社内メンバーの納得度を見ながら丁寧に進めることが重視される場合もありますが、私たちはプロジェクト実施後に表れる変化や成果を重視し、以下のようなサイクルを生み出すための戦略をご提案しております。

企業習慣(日々の行動・環境・姿勢)を変える

ステイクホルダーの認識価値や体験価値を高める

シェアや利益の拡大(社会からの反応)

存在意義や帰属意識が高まる

ブランドロイヤリティが高くなる

戦略資料の一例:マーケティング資料や編集に関しての資料などを含めると平均して1プロジェクトでは200枚〜多い時では3年間で2000枚以上の理念体系の整理や戦略資料作成を行います。


STEP 3:在りたい姿を直感的に掴めるブランドプロトタイプの制作|8 weeks

ブランドイデオロギー=真善美を各施策に落とし込むとどのようなビジュアルデザインになるのか。実際のイメージが具体的に湧くようなプロトタイプを制作して検証していきます。

通常のブランディングプロセスでは、この時点から詳細なヒアリングが行われ、最初のデザイン提案までには数ヶ月〜1年ほどかかるのが一般的です。弊社の場合、さらに細かいヒアリングはこの時点でご提案するブランドプロトタイプが定まった後、適宜行っていきます。この手順も私たちならではのこだわりです。これまでの経験を踏まえ辿り着いた独自のステップです。

また、この時点で完成するブランドプロトタイプは、その後すべての部署に適用させていくことも想定して作成するため、これをもとに全社的な改革をより素早く進めることも可能です。

ブランドプロトタイプでは、企業のデザインがどのように変革していくのかが分かるよう、現場で必要なブランドエレメントをもとに作成していきます

ブランドスプリントを導入したブランドシフトの事例

以上の3ステップがブランドスプリントを導入する際のプロセスですが、ここからは、ブランドスプリントがどのような企業様にとって有効かを、弊社が手掛けてきた事例を通して順にご紹介します。

大手企業の中長期ブランディング|リンナイ株式会社様の事例

リンナイ様とのプロジェクトは「マイクロバブルバスユニット」という単体の商品のリブランディングからスタートいたしました。プロジェクト開始時は既存商品のリニューアルにおける「ブランド戦略の策定」までのスコープでしたが、開発や営業の現場の皆様とのワークショップ「ブランドスプリント」から「ブランドプロトタイピング」へとプロジェクトは進展し、最終的にはCM制作やプロダクトデザイン、WEB制作、カタログ制作、営業資料等のグラフィック制作や空間設計などをリンナイ様の営業部・開発部・デザイン部・マーケティング部と共に作り上げております。

2019年のMBBUリニューアル

ブランドスプリントから見えた「在りたい姿」をCMで展開

「ブランドスプリント・ブランドプロトタイプ」の提案を評価いただき、その世界観をコンセプト動画として表現できないか。というご相談からマイクロバブルバスユニットのCM制作へ進展してきました。ここでは、企画・編集・コピーライティング・撮影等のクリエイティブディレクションを担当しております。

ブランドとしての「在り方」に加え、営業現場で使用する機能的ベネフィットを伝える動画も制作


「在りたい姿」をインテリアデザインに展開

MBBUのリブランディングの反応が良かったこともあり、世界観をBtoB(法人顧客)向けの製品体験施設で表現できないかというご相談につながり「Rinnai Hot.Lab 浜松町」8階の空間リニューアルをプロデュースさせていただきました。

Rinnai Hot.Lab 浜松町

「在りたい姿」をプロダクトデザインに展開

MBBUプロジェクトの成功体験を他のプロジェクトでも生かしていくため、オリジナル無水調理鍋の開発を初期フェーズからご相談いただきました。この新商品プロジェクトでは、ブランド戦略、ネーミング・コピー開発・プロダクトデザインのコンセプト、プロダクトデザインのディレクション、レシピ開発のリサーチ・料理研究家のキャスティング・レシピ開発の監修・販売戦略、広告用のビジュアル撮影・WEB制作・カタログ・レシピブックの製作・営業資料等のグラフィック制作・CG制作・イベント用の販促物等の制作を2〜3年かけてサポートしております。

新商品のPRでもブレずに一貫したイメージを展開

新商品の開発と並行して、ハイブリッド給湯・暖房システム「ECO ONE(エコワン)」のリブランディングのご相談を承りました。このプロジェクトでもブランド戦略からマーケティング戦略、CM制作等のプロモーション、WEBやグラフィック、営業ツール制作までを一気通貫でプロデュース・制作しております。

ECO ONEは2022年の省エネ大賞を受賞


様々な賞でも「在りたい姿」に評価をいただきました

各プロジェクトや勉強会を通してデザイン部・開発部・営業部の皆様と共に「リンナイらしいデザインとは何か」を策定していきました。「質実剛健・質実柔健」というキーワードを軸に「機能的で且つ何十年も愛されるためのデザインとは何か」を熟考しデザインに実装していきました。共に制作を進めたプロダクトデザインではIF Design, Red Dot Design, Good Design 100 ,JIDA Design Museum Selection等を受賞しております。リモコン開発では、ボタンなどを押した際のサウンドの開発や音声の監修、ユーザーインターフェイスのデザインも担当しております。

ブランドデザインの集大成となるリンナイ本社の改修プロジェクト

リンナイ様とのお仕事は2019年に始まり、大規模なものから小規模なものまで、3年間で20以上ものプロジェクトを伴走。最終的には、本社の改修プロジェクトにて全体のディレクションをお任せいただきました。

リンナイ株式会社の本社補修に伴い、本社1階のエントランス・ロビー、2階の国内・国外ショールーム、各会議スペースの空間リニューアルをプロデュースいたしました。2021年の着手から、各部署からのアイデアと議論を交わし、これからの目指すべき品質を体感できる空間としてリニューアル。一部のスペースでは海外商品も取り扱い、今後の幅広い事業展開と創業時からの歴史と想いも垣間見える空間となっております。

B&Hでは建築や内装におけるブランド戦略の方向性やブランドディレクションを担当・建築家や内装会社のリサーチやアサイン・クライアント側の立場でコンペなども実施しております。

コーポレートブランディングや採用・上場に向けたリブランディング|BtoB企業様の事例

大手企業だけではなく、スタートアップから上場準備中の企業様まで、多くの方にブランドスプリントを導入していただいております。

BtoB企業様の事例|AIDMA Marketing Communication・UUUM・Branding Engineer・Fringe81・Prored Partners・ENJIN・Spider Plus・CACCO、8社の上場前後におけるリブランディングをサポート。IRサイトや成長可能性資料等のデザインも担当。その他にもFDM・LIG・Plan-B・Levarages・PONOS・Welmo・Xspear・LIG・UZUZ・CRAZY・Estyle・Epoch・R&C・TAGPIC・Unimedia・Venect・Glossom・Epoch・Beyond cafe・ Energize・Warc・Beatus・Hassyadai ・Yawara・Energize・Allin・Nodoca等の未上場のベンチャー・スタートアップのブランディングを担当しております

4大弁護士事務所のコーポレート・採用戦略を中長期でサポート|Anderson Mori Tomotsune様の事例

2017年に採用サイトのリニューアルでお声がけいただいた際に「ブランドスプリント」を実施。そこで策定したブランド戦略や採用コンセプトを評価いただき、コーポレートサイトのリニューアルも任せていただきました。また、コーポレートサイトリニューアル後もブランドコンテンツの企画や映像制作・編集・インタビューなど採用戦略をサポートしております。


③大分の総合的なハウジングサービスを提供する会社のブランドスプリント導入|FDM様の事例

大分にて「住環境における本質を追求する会社」FDM様も「ブランドスプリント」からプロジェクトがスタートしております。西日本グッドパートナー株式会社という旧会社名から新会社名に変更するためのネーミングなどもブランドスプリントから策定しております。また、その世界観を表現するためのCMも制作いたしました。


⑤熊本発の家具ブランドを立ち上げから自走するまで中長期で支援|FIL様の事例

熊本県阿蘇郡南小国にある製材所のブランディング。現地でのフィールドワークや「ブランドスプリント」をもとにブランド戦略を立案。小国杉の品質を伝えるために海外で評価されるような家具ブランドを立ち上げました。またShopbotの導入・Fabラボ・オリジナル家具やオリジナル商品の開発・旗艦店の建築と内装(Canuch)・ブランドサイト(Garden Eight)等の全体のクリエイティブ制作やブランド監修を担当しております。

FILというプロダクトは元々「小国杉」という杉材のブランディングプロジェクトでした。そこで海外向けに高級家具や地方では製作しないようなオリジナルプロダクトを製作することによって、ブランドの認識価値を高める戦略を立案。
FILのイメージブランディング事例。海外・国内共にFILの思想に共感していただけるフォトグラファーに撮影を依頼しております。
多くの企業からのコラボレーション依頼が舞い込んでいる「ブランドそのものを好きになってくれる」事例
FILにおけるメディア・取材などのフリーパブリシティ・広報効果は換算すると数千万円規模にも。

地球を肌で感じるサウナ付きタイニーホテルのブランド立ち上げ|Earthboat様の事例

地球を肌で感じるサウナ付きタイニーホテル「Earthboat」のプロジェクトでも建築設計に取り掛かる前に「ブランドスプリント」を実施。ブランドスプリントで策定した方向性をもとにB&Hと連携しているロンドンで活躍しているPan- Projectの高田氏と八木氏をアサイン。全体のブランドデザインやウェブサービスのインターフェイス開発などトータルでサポートしております。

デジタル家づくりプラットフォーム「NESTING」のリブランディング|VUILD様の事例

VUILD社が展開するデジタル家づくりプラットフォーム「NESTING」でもブランドスプリントを実施。NESTINGらしい建築設計やブランドデザイン全般をディレクションしております。

小売業・D2Cプロダクト・ECサイトのブランディング

化粧品・プロダクト・フード系などブランドリニューアルとECサイトの構築がセットになったブランデッドECサイトの事例。Shopifyを活用したブランドECサイトの制作や海外進出のためのグローバルECサイト制作、ECプラットフォームの制作などシステム開発が必要なプロジェクトも手掛けております。

オリジナルスイーツのブランドBRANCHÉ CHOCOLATの立ち上げ|Marche様の事例

シード期から社外取締役としてブランド設計に参加

海外進出のためのグローバルブランドECサイトUZの立ち上げ|Flowfushi様の事例

グルーバル展開のためのECサイトのインターフェイスデザインを担当

高級日本酒ブランドのリブランディング|Takanome様の事例

認識価値を高めるためのブランドのリニューアル

オリジナル家電アロマディフューザーWEEK ENDのリブランディング|MUSEE様の事例

ブランドの人格や文化を踏まえた上でのブランドシフト

ケーキ総合通販サイトのリブランディング・インターフェイスデザインの開発|CAKE.JP様の事例

CI設計から梱包パッケージなど含めた顧客体験を変容するためのブランドシフト

オリジナルお茶ブランドの立ち上げ|Akari様の事例

こちらもシード期からブランドの立ち上げをサポートしたプロジェクト



最後に


ここまで、どのようにすれば「消費されるデザイン」から「資産となるデザイン」へ「ブランドシフトできるか」を独自の理論や実績を踏まえ紹介してきました。ブランドスプリントの詳細に関しては省略しておりますが、私たちが考え実践してきた大枠のコンセプトはご理解いただけたかと思います。

もし、もっと「ブランドスプリント」に関して聞いてみたい、ワークショップではどのようなことをやるのか聞いてみたい。自社が「ブランドシフト」することは可能か?と思っている方がいらっしゃいましたらお気軽にご連絡頂ければと思います。下記にはお問い合わせから導入まで流れも記載しておきます。

1. お問い合わせ・初回無料コンサルティング

弊社サイトのコンタクトフォームよりお問い合わせください。コーポレート全体のブランディングのご相談だけではなく、プロダクトデザインやWEBサイトのみの制作のご相談も承っております。ここでは説明できていない真善美を使ったフレームワークの詳細や実際のブランドスプリントの資料をお見せしてご説明させていただきます。

メールをいただいた後、オンラインにて1時間、現状抱えている課題をヒアリングさせていただきます。まずは経営における課題やご状況をお聞きしたうえで、弊社が得意とするブランドデザインがどのように機能できるかをご説明いたします。これまでの解決事例をもとに、ご相談内容に合ったプロジェクトチームの座組み、プロジェクト進行の大まかな流れと期間、予算目安の松竹梅など、ご依頼いただく際の疑問点を解消いたします。

また弊社のご説明に限らず、業界内でも評判の高い各デザイン会社の特徴、依頼する際のメリットや留意点、ご相談内容と相性が良いと思われるデザイン会社やデザイナー等のご紹介もさせていただいておりますのでお気軽にご連絡ください。


2. ご契約プランの選定・事前すり合わせ

約2週間でクライアント企業の基本情報や課題に関わる状況把握を行い、ご契約プランを選定いただきます。ご契約完了次第、ブランドスプリントのワークショップに向けた事前準備をご担当者と進めていきます。

【ご契約プランの選定】

目的・予算・スケジュール等の要件定義
基本契約・ブランドスプリントの個別契約

【事前すり合わせ】

解決したい課題やプロジェクトにおける目的の確認
中長期計画書など経営戦略・競合・顧客に関する資料のご提供
ブランドスプリントにご参加いただくべきメンバーの確認とご調整
企業ルーティンのヒアリング(専用ドキュメントをお渡しして事前にご記入いただきます)

3. ブランドスプリント

ブランドワークショップ(1日)・ブランドストラテジー(4週間)・ブランドプロトタイプ(8週間)の合計約12週間で、12年分の知見を結集したブランドデザインを仕上げます。

4. ブランドマネジメント・ブランド拡張

ブランドスプリント完了後、各種制作および戦略実行のサポートをご希望の場合は、この時点で改めてご状況をヒアリングしながら具体的なプランを策定し、プロジェクト開始となります。スタートアップなど、予算の都合上ブランドデザイン策定後の制作は自社で実行という場合は、短期的なプロジェクトになるため1年以内に当初の要件を完了する場合がほとんどですが基本的には中長期でブランドグロースのお手伝いをしております。

予算も時間もかけてより着実に進めたい場合は、ブランドデザイン策定後の制作はもちろん、そこから派生する商品開発やサービス改善、採用マネジメントなどに関わるサポートも一気通貫してサポートしていきます。その場合は3〜5年程度でしっかりとしたブランドマネジメントが定着することを目指します。弊社には「イメージアイデンティティ」をマネジメントする専任のカメラマンや「ブランドコンテンツ」を制作する編集チームが在籍しておりますので資産化するコンテンツの企画制作、デザイン顧問として内部から組織改善など、次の段階に合わせたサポートをご提案させていただくことも可能です。

ここから先はブランドを育てていくフェーズ。資産化するコンテンツの企画制作、デザイン顧問として内部から組織改善など、次の段階に合わせたサポートをご提案させていただくことも可能です。


下記、弊社代表今村の連載も併せて是非ご覧ください
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