≪放っておくと失敗は成長する≫
失敗学の権威、畑村洋太郎さんの言葉です。
みなさんは、世界の三大失敗をご存知でしょうか?
タコマ橋の崩壊、コメット飛行機の墜落、リバティー船の沈没です。
これらは人類に新たな課題を与え、それと向き合うことで我々はさらなる技術向上の機会を得ました。
一方、日本では、古い失敗で記憶に残っているのは、JOC臨界事故、三菱自動車のリコール隠し、雪印の品質管理の怠慢など、失敗の隠匿がさらなる悲劇を引き起こしてきた過去があります。
失敗は、未知との遭遇による「良い失敗」と、人間の怠慢による「悪い失敗」の2種類に分けられます。
不可避である「良い失敗」から物事の新しい側面を発見し、仮想失敗体験をすることで「悪い失敗」を最小限に抑えることが重要です。
事故やトラブルが、「ある日突然起きた」と考える人がいるかもしれません。
あるいは、そのように発表されたり、報道されたりして、それを信じる人もいるかもしれない。
しかし、実際、そんなケースは少ないんですよね。
過去をふりかえれば、何かの原因や兆候が発見されます。
この事実を、他人の失敗に見い出し、それを指摘するのは、いとも簡単なこと。
しかし、自分自身の失敗に関しては、なかなか認めにくいかもしれない。
私は、自分の周囲に起きた失敗や不快な出来事を目にする時に、それだけを見ないように、心がけるようにしています。
「それは、今始まったことではない。過去からあった問題の結果なのだ。」という視点が重要だと考えています。
本書は、親しみやすい入門書の形で我々に「失敗学」の重要性を伝えていて、世界の失敗の歴史についても多く扱っているので、読み物としても楽しめます。
「失敗学のすすめ」(講談社文庫)畑村洋太郎(著)
【参考記事】
「思い通り行かない」から失敗なのではなく、「負けを認められない」から失敗なのだ。
https://blog.tinect.jp/?p=38958