
ペアリングイベント3のはなし③
今回はCocktail No.2。
お口直しのプティフールは「普通の」フィナンシェ。
こう言われると何かギミックありそうに取られがちだけど、まごう事なき「普通の」フィナンシェでした。
もちろん作り手の個性というのは確実に反映されるので、何をして「普通」とするかは難しいところあるけれど。
このフィナンシェ、最初の試作を食べた時から紅茶以外に何を使えというのか?と思った。
不思議なものでフィナンシェ、マドレーヌあたりはコーヒーという選択肢が浮かばない。
これがパウンドケーキだと逆に紅茶が浮かばない。
ここら辺、考察書き始めるととめどがないので止めておこう。
さて、閑話休題。
紅茶から発想のスタート地点として進めてみたら程なく「英国」というワードが頭に浮かんできた(我ながらとてもシンプルな頭の構造だと思う)。そこでジンが浮かぶ(これまたシンプル)。
そこから少し頭を悩ませて出来上がったのがCocktail No.2。
レシピ。
Cocktail No.2
<stir / cocktail glass>
ジン(ビーフィーター)20
デュボネ 30
紅茶(オレンジペコー)15
リターナー(アールグレイリキュール)~バースプーンを湿らせる程度(約2dash)
レモンジュース 1/2tsp
これは見る人が見れば原型はわかると思う。
“Zaza”です。
本来のレシピ。
Zaza
<stir / cocktail glass>
ジン 1/2
デュボネ 1/2
至ってシンプルな1:1の作り。
ジンのハーバルさとデュボネの優しい甘さの佳きカクテルで個人的にもフェイバリットの1杯。
これを思い出したのと同時に故・エリザベス2世女王がデュボネを倍量にして紅茶を加えたものを好まれた、というような話を聞いたので(紅茶は入らないかも知れない…うろ覚えです)そこを基に組み上げた。
“Zaza”レシピそのままだとジンでフィナンシェが喰われてしまうので-10ml、そこに紅茶を入れてタンニンの収斂性で味の輪郭を作るのと同時に油脂感をある程度カットする、というのが狙い。
ただ、もう少し個性を出したかったので、奥の奥、本気で香り取らないとわからない程度にアールグレイの香りを忍ばせた(ちなみに紅茶をそれそのものにすると主張しすぎてしまう可能性が高い)。
あってもなくても変わらんだろうという声がとても聞こえてきそうだけど、それが在るものと無いものを比べて明らかに差が出た(気がした)のだ。…とは言え比べないとわからないと思う時点で自己満足と言われたらそれまでだけど、それでもこういうとこはとても大事。「美は細部に宿る」のだ。
さて、次回はモクテルNo.1。
いいなと思ったら応援しよう!
