見出し画像

読書感想『新作能マクベス』 ★★☆☆☆



 

本の表紙

🔼 ”能楽”で新たに構築された『マクベス』の世界。

画像引用元:amazon.co.jp


あらすじ

ある日一人の僧侶が霧の中で道に迷う。そんな中、僧侶は一人の城守(しろ

もり)に会う。その城守(しろもり)が管理するその城こそ、かつてマクベ

スがダンカン王から賜った「コーダーの城」であった。すべての悲劇が終わ

った、『マクベス』後日談。


書籍満足度

   大人向け  ★★★★★    よみやすい  ★★☆☆☆
   子供向け  ★☆☆☆☆    絵がきれい  ★☆☆☆☆

   総合    ★★☆☆☆


良かった点:”能楽”による新しい『マクベス』

 

古語、現代語による詞章(能楽でいうテキスト)が記載。シェイクスピアの

原典『マクベス』の世界観を壊さないようにしつつ、死後、修羅地獄(つね

に戦いが行われ、倒れてもすぐに生き返る世界)に落ちたマクベスの幽霊。

孤独の地獄(四方が視界が悪く、他者とコミュニケーションがとれない世

界)に落ちたマクベス夫人の幽霊。そしてマクベスの悪心を誘導した”異形

の者”。(原典でいう『三人の老婆』)それぞれの胸のうち、それぞれの語

りで、登場人物により焦点があてられている。


うまい点:間狂言の”異形の者”と”マクベス夫人”


間狂言。これは能楽では僧侶に尋ねられた土地の者が、その場所のいわれ、

登場人物との関連を語る。しかし『マクベス』は違う。間狂言では気配を感

じた僧侶が物陰に隠れ、”異形の者”、ついで”マクベス夫人の幽霊”が現れて

語る。『新作能』と銘打っている以上、既存のモノと違う新しい試みをして

いる。それが見事に成功している。”マクベス夫人の幽霊”はここで登場する

しかない。


うーんな点:”能楽”という難しさ


実はわたしは新作能『オセロー』の存在は知っていたが、『マクベス』の存

在は知らなかった。昨日(2024年12月25日)たまたま住んでいる図書館のホ

ームページで検索していたら書籍を見つけ、たまたま時間があったので図書

館で読むことができた。”能楽”で慣れ親しんでなかったら発見できなかった

だろう。


あとがき

『新作能オセロー』も図書館にある。いつか紹介記事を載せたいものだ。


<参考文献>
『新作能マクベス』 泉紀子 和泉書院 2015


この記事が参加している募集