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[絵本レビュー] 絵本『くまとやまねこ』 湯本香樹美 酒井駒子  絵本の満足度(3/5)★★★☆☆/★★★★★

大切な者がいなくなったら?くまの「喪失」と「再生」。やまねこの「いやし」。



絵本の表紙

画像引用元:amazon.co.jp 



こんな人におすすめ

  • 大人でも楽しめる

  • じっくりと読みたい


あらすじ


 ことりがなくなった後も僕は一緒にいるんだ。くまは親友のことりを納め

た箱を肌身はなさず持ち歩くようになる。まわりの動物たちは、くまに声を

かかけるもいつも同じような言葉。

「忘れたほうがよい」

 うちひしがれたくまは家にひきこもりがちになる。しかしある日、外に出

たくまは、よそからやってきたやまねこと出会う。やまねこはくまに、今ま

で声をかけてくれた動物とはまったくちがう言葉をかけてきた……。



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うまい点:やまねこの『よりそい』


 くまの視点で語られるのでやまねこの人となり(?)はわからない。た

だこのおはなしをくま以外の視点で読むとどうだろう。

 もちろんまわりの動物たちもくまのことを思っている。ただ、くまに

「共感」してくまが「立ち直る方法」ことばをかけるのに対し、やまねこ

はくまに「よりそって」くまにことばをかけた。このへんをくどく書かず

に書いている。


うーんな点:「死」という重いテーマ

 「死」というテーマを取り扱っているので、テーマと向き合うのは本腰

を入れねばならない。


 絵本まんぞく度

   子供向け  ★★☆☆☆    よみやすい  ★★☆☆☆
   大人向け  ★★★★★    絵のしかけ  ★★☆☆☆

   総合    ★★★☆☆


あとがき

 私事だが、ちょうど一年前、ペットの犬をなくした。あんなことをし

た。こんなこともした。こうしてやりたかった。ここまでやりきった、そ

んな思いがかけめぐる一年だった。

 そんなときにこの絵本に出会った。事実として、列記する。わたしはこ

の本に救われた。


<参考文献>

『くまとやまねこ』 湯本香樹美 酒井駒子 河出書房新社 2008

 補記

 今年令和7年(2025)公開の映画『君の忘れ方』はこの絵本のような『喪失』と『再生』の物語なのだろうか。



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