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【人生ノート275ページ】何事でも最終の勝利は人なみ以上の苦心と努力と忍耐とにある

思うことありて


順境にそだった人たちは、自ら手を下すということをおっくうがる癖があって、他に対して心からの同情心がなくて困る。いろんな事にぶっつかって仕上げた人は、心がひろく、なんとなく頼もしいところがある。

しかし一度逆境に立った人は、どうしてもひがむ癖がありがちで、特にすこし才能のある人は、一種のいやな自尊心や警戒心が邪魔になって、どうも他人との和合が下手である。この、少し才智のある人は、どうしても気ばかり走って、ねばり気がなく、急に効果をあげようとあせり、ともすると他を軽く見くびるくせがある。自己の至らざる点は思わずに、いたずらに環境を忌み社会を怨みねたむようなことではいけない。あくまでも自分自身を鞭撻してゆかなければいけないということを、

お恥ずかしながら私自身も近頃になって初めて悟ったのである。特に近来は社会が非常に秩序だってき、昔のように一足飛びに名をあげるいうようなことはなかなか出来にくくなっており、世間の例を見ても、天才的の人よりはむしろ努力主義の人方が最後に頭角をあらわしているようである。

何事でも最終の勝利は人なみ以上の苦心と努力と忍耐とにあるのであって、世のなかを知れば知るほど、単純なん理屈どおりにはすべてゆかないもの、一時のケレンやペテンンでは、真の徳はつかないものであるということが、ますますふかく解ってくる。しかし、いくら努力と忍耐とをしても「真神(かみ)」を信じなければ駄目である。

『信仰雑話』 出口日出麿著

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