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#映画感想文

『2024年に観た映画』3選

『2024年に観た映画』3選

1.LOVE LIFE(2022)

平日月曜日に鑑賞することが、満足いくまで寝るより大事だった。木村さんの嫌な感じ、永山さんのだめやさしい感じが折り込まれている(心情吐露しすぎていた? あるとしたらアウトなのだが果たして映画的善悪の正解はあるのか)。「中古」とほざく相手家族が(申し訳ないがたいていの場合想像通りその息子も)まずい。オズワルド伊藤のそっくり、ラストまでは良かったのに~~!!「目を見

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『PERFECT DAYS』

『PERFECT DAYS』

深夜に書かずにおれない。まずわたしは、布団を畳む動作を、自分にとって特別な段階で既視している。

無垢であることの危ういバランスが甚だしい。清掃されるトイレ同様、‘何か汚いものがうつるんじゃないか’ときれいな画面から目を離すことはできずにずっとこわいのだった。

喋りすぎると映画の価値は崩れていく。トキオとニコとモモカズの口からこぼれた説明のいくつかはまだ放り投げられる余地があるのかもしれない。ト

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『2023年に観た映画』3選

『2023年に観た映画』3選

1.『犬王』

まず私は身体表現への関心が分厚い。面をかぶって舞うことへの憧れとともに、ひとつめのパフォーマンスで気持ちを持っていかれてしまった。時代が合っているのか自信はないけれど、室町にもつ飾り立てのない異質なイメージがいきなり現代と錯綜してスタートする。カットが1秒より短い。こういう時間の切り取り方をするんだなぁーと思う。色も口語もギターもアンプも、当時の高揚を今感じさせるために必要だったの

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『十二人の怒れる男』

『十二人の怒れる男』

昨年末にもう一度観た。

これは私のオールタイムベストの一作だ。

脚本家の仕事について調べていたときに読んだ、尾崎将也さんの本で紹介されていたことで知った。

当時はU-NEXTにあって観た。再び観ることにしたきっかけは他にDVDをTSUTAYAで借りる用事があって、借りると安くなるからもう一度復習に、くらいの軽い気持ちだった。

ひと言でまとめるとするならば、この映画の魅力とは、歴史ある大人が

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『2022年に観た映画』3選

『2022年に観た映画』3選

はじめに読書に2か月遅れ、今年鑑賞した映画も100本に到達した。
サブスクリプションに大いに頼った。
職場が街から離れてしまい、当初願っていたよりも映画館に行くことができなかった。
お気に入りの居心地良きTSUTAYAも、サブスクの波に呑まれてなのか、ついに閉店してしまった。
大安売り(貸し、か)でレンタルしたソナチネをMacBookで再生した。
あーあと思う。
北野映画はサブスクにはないから。

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『大日本人』

『大日本人』

傘、わかめ、ニンゲン。
大きくなることに意味があるのだろうか。

天皇とか政治的なものはメタファーというまでもなくわかりやすく出てきた気がした。

ヨナ抜き音階が苦手だ。

酷評レビューばかり見てから改めて鑑賞したけれども、そんなに意味不明なことあったかな?
ただただ物哀しい。
昭和だとかウルトラセブンを思わせる演出だとか、松ちゃんのだいすきなものを詰め込んだ宝箱のような作品なのかもしれないな。

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『ハロルドとモード』

『ハロルドとモード』

所有している状態って果たして確かなのか、という物語。

怒るのは自分の物だと思ってるからよ

これでどこにあるのか忘れない

木も贈り物も、モードの命も。

やや長回しでモードに語らせる言葉の数々が、宝物のよう。

母親とハロルドのやり取りは一方通行だ。家の中には、逃げ場が笑ってしまうほどになかった。偽装自殺を繰り返すこと。葬儀に行くこと。霊柩車に乗ること。ハロルドのことを異常だとは思えない。内な

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『リトルフォレスト 春』

『リトルフォレスト 春』

冒頭のナレーションを、愛しはじめている。
夏からもう一度観始めて、あぁ、もう季節を通り越されてしまった。北海道の春は遅い。

ずるいことについて、キッコに大袈裟に背負わせているけども、私が怒られているんだ。

猫が、母親・福子なのだろうか。

いち子の人生は全然完璧じゃない。母親は勿論、恋人との別れもまともだったんだろうかと想像してしまう。結婚とか彼氏がいたとか、母が失踪したとかいう情報が、ナレー

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