インディーゲームの金字塔!『UNDERTALE』の今なお色褪せない魅力について掘り下げて考察してみた #ネタバレあり
こんにちは、水無瀬あずさです。
最近はすっかりインディーゲームレビュワーみたいな人に成り下がっていますが、今回も例にもれずインディーゲームのご紹介をしていこうと思います。といっても、今回ご紹介したいのはインディーゲーム界ではビッグタイトルと言うべき作品。ずばり『UNDERTALE(アンダーテール)』を取り上げます。
ぶっちゃけ「インディーゲームが好きなら絶対やるべき!」と長男(中2)から大プッシュされたことに伴い、プレイをものすごい早送りな感じで全部見せられ、なんか書かなきゃいけない雰囲気になったからであります。熱量がすごかったのよね・・・。ただまあ、最後まで見た結果、考察記事を書くに値する名作だとも感じました。
ということで今回は、インディーゲームの金字塔とも呼ぶべき存在感を放つ名作『UNDERTALE』の魅力を徹底的に考察していきます。「そのゲーム知らない」「名前は知っているけどやったことはない」という皆さん、人生損してますよ!(まあ私は見ていただけでプレイしていないんだが。)この記事を読んで、ぜひ実際に『UNDERTALE』の魅力にどっぷり浸かってみてはいかがでしょうか・・・。
インディーゲーム『UNDERTALE』とは
『UNDERTALE』は、アメリカのゲームクリエイターtobyfox氏によって2015年に発売されたインディーゲームです。
初めはWindows/mac用に開発され、その後2017年にPS4/PSVita、2018年にSwitch、2021年にXBoxへ移植されました。なんか古き良きファミコン的な要素が強かったので、勝手に日本の作品だと思っていたんですが・・・違ったので驚きでした。制作にあたっては日本のゲーム『MOTHER2』などから影響を受けているそうです。そう、私も初め見たときまず『MOTHER2』に似てる!って思いました。
Switchの公式サイトの説明はこちら。
公式サイトの説明も載せておきます。
作品説明が全然あらすじを紹介してくれないので、私の方で簡単にあらすじ説明を。舞台は地球、ニンゲンとモンスターの間に戦争が起こり、モンスターは地底へと閉じ込められてしまいます。ニンゲンの世界と地底をつなぐのはイビト山のゲートただ一つ。2つの世界は、強力なバリアによって分断されてしまったのでした。
そして物語は201X年、ひとりのニンゲンの子ども(主人公)が地底へ落ちたところから始まります。
目を覚ました主人公は喋る花「フラウィ」に襲われそうになりますが、そこで助けてくれたのはヤギのモンスター「トリエル」でした。
トリエルは母親のように優しく温かく主人公を手助けしてくれますが、このまま一緒に地底世界で暮らすことを提案してきます。しかし主人公はそれを拒否。ニンゲンの世界へ戻るため、地底世界の王「アズゴア」のもとへ向かう旅に出るのでした。
旅の途中で主人公は、個性豊かなモンスターたちと出会います。ガイコツ兄弟「サンズ」と「パピルス」、ロイヤルガードの「アンダイン」、ヲタク科学者「アルフィー」、ロボットの「メタトン」、クモの女王「マフィット」、そしてイヌ、イヌ、イヌ。さまざまなモンスターとの出会いやエピソードを通じて、主人公は「ケツイ」を力に変え、困難に立ち向かっていくのでした。この「ケツイ」は、ニンゲンだけが持つ「運命を変えようとする強い意志」を指し、作品全体を通じての重要となる概念にもなっています。
旅を続けるなかで、ニンゲンとモンスター2つの世界の悲しい事件が浮かび上がってきます。かつて地底王国の王・アズゴアと女王・トリエルには、「アズリエル」という息子が居ました。あるとき、地底世界に一人のニンゲンが落ちてますが、アズゴアとトリエルはニンゲンの子どもを家族として受け入れ、幸せに暮らしていました。
しかしその後、ニンゲンの子どもは重い病気にかかってしまい、悲しいことに亡くなってしまいました。悲しみながらも息子のアズリエルは、ニンゲンの子どものタマシイを吸収することで人間界へのバリアを突破し、亡骸をニンゲンに返しに行きました。しかし突然のモンスターの出現に動揺するニンゲンたちは、子どもを殺したのがアズリエルの仕業だと思い込み、アズリエルを殺してしまったのです。今も昔も、未知の存在への仕打ちは悲しくも手厳しいものだと実感しますね。
最愛の息子を同時に失ったアズゴアとトリエル。悲しみに暮れるアズゴアはニンゲンへの復讐を誓い、争いを止めようとするトリエルはアズゴアと決別してしまうのでした。
人間界のバリアを突破するためのエネルギーを得るため、アズゴアにはニンゲンのタマシイが7つ必要です。すでにタマシイは6つ集まっていて、残りは1つ。最後のタマシイとして、主人公を狙っています・・・!そして最初に登場したお花のフラウィは、アズゴアとトリエルの子ども、ニンゲン界で命を落としたアズリエルだったのです。
エンディングは、主人公がそれまでにどのような旅を進めてきたかによって、大きく分けて3つのルートに分岐します。
Nルート(Neutral Route=中立ルート):主人公は地上へ帰る
Pルート(True Pacifist Route=真の平和主義ルート):バリアが無くなり、ニンゲンとモンスターが共存する
Gルート(Genocide Route=虐殺ルート):全滅・死亡エンド
細かく枝分かれするともっとあるようなのだけど、ここでは割愛。興味のある人は自分でプレイして見ることをおすすめします。
長男は「Gルートが好き」と言っていたけど、私は見ていて釈然としなかったですね。平和なPルートがRPGっぽくて好きです。
色褪せない『UNDERTALE』の魅力
おおまかなあらすじが分かったところで、今なお支持され続ける『UNDERTALE』の魅力について掘り下げて考えてみましょう。
ドット絵なのに内容が深い
『UNDERTALE』最大の魅力として挙げられるのは、ドット絵でアナログちっくなのに全然時代を感じさせない真新しさがある点だと思います。
ドット絵といっても、かつてのファミコンのように各メーカーが力を注いで作られた作品は、内容が非常に深いですよね。ドラクエとかはその最たるものだと思います。しかし『UNDERTALE』はインディーゲーム。インディーゲームでドット絵と言ったら、「まあきっと3~4時間もあればクリアできる軽いタイプのゲームなんだろうな」と思うじゃないですか。ところがどっこい、『UNDERTALE』はそんなライトなゲームとは一線を画しています。
種の共存・共生が根底にあり、モンスターとの交流、命の大切さ、友情や愛情の大切さ、人生はリセットできないという事実、そういうさまざまな体験が込められていると感じます。ちょっと途中にイヌが出すぎでおふざけゲームのようにも思えますが、テーマとして流れているものは深いです。
根底にあるテーマは共存・共生
あらすじにも書いた通り、本作の根底にあるのはニンゲンとモンスター、種の異なる存在の共存・共生は可能かどうかという点だと思います。まさに多様性が叫ばれる現代社会にもキレイにマッチするテーマ、見事だと思います。これぞ時代を超えて愛される名作の条件なのかもしれない。
ノーマルエンドであるNルートでは、ニンゲンとモンスターの世界のバリアは残り、世界は断絶したまま。でも地上にもどった主人公とサンズが電話するシーンがエンディングで流れるなど、共存することを容認できるような描写が見られます。主人公の努力があれば、将来的には共生もできるのかもしれません。
トゥルーエンドであるPルートでは、ニンゲンとモンスターの世界のバリアがなくなり、世界は一つに繋がってハッピーエンドを迎えます。種は違えどもとは地球に暮らす生き物、分かり合えれば争うこともなくなるということでしょうか。いま私たちが目指す世界も、こんな笑顔溢れる世界になればいいのにね。
バッドエンドであるGルートでは、モンスターを倒しまくった主人公とフラウィが世界を滅ぼすという描写が見られ、共生や共存もできないという終わりを迎えます。直視したくない悲しい展開ですが、私たちの現実にもありえる世界線なんだよなあと考えると、ゲームながらに末恐ろしく感じました。みんな仲良くしよう。
いずれのルートも考えさせられるものがあります。自分の起こした行動が後にどれほどの影響を与えるのか、そして命の大切さを伝えるという意味で、教科書に載せてもいいんじゃないかしらと思いました。
行動により分岐するエンディング
エンディング分岐のご紹介をしましたが、これは旅の途中でモンスターをどれほど倒したかによって決まります。ガイコツのサンズいわく、モンスターを倒すと上がっていく「LV」(作品内では「LOVE」と読む)とはLevel Of VIOLENCEの意味。つまり暴力をいっぱい振るったレベルということなのです。
つまり、PルートとはLVがゼロ、モンスターを1匹も倒さずにエンディングを迎えること。次項でご紹介するようにバトルシステムが独特なので、戦わずにバトルを回避できるため、敵を倒さずに進むことができるというわけ。ラストバトルの際には、敵によって記憶を奪われた仲間のモンスターたちが少しずつ記憶を取り戻し、主人公を勇気づけ語り掛けるという感動的なシーンも見られます。地味にジーンときたじゃないかチクショウ。
同じようにNルートは1匹でも敵を倒した場合、そしてGルートはすべてのモンスターを倒すことで分岐します。
モンスター界に落とされたニンゲンであっても、モンスターたちはどちらかというと友好的でした。種は異なれど受け入れようとしている相手に対して、戦うという選択肢を選ぶ人に、平和は訪れないということでしょうか。
独特すぎるバトルシステム
『UNDERTALE』のキャッチコピーは「誰も死ななくていいやさしいRPG」。その名のとおり、バトルと名の付くものはありますが、戦わなくても勝てるという謎システムが搭載されています。どういうこっちゃ。
バトルになると、「たたかう」「こうどう」「アイテム」「みのがす」というコマンドが表示されます。「たたかう」で攻撃、「こうどう」は敵(モンスター)によって出るコマンドは異なります。敵の攻撃のターンになると、四角の枠内にハート(赤または青)の表示されます。このハートが主人公を表しており、枠内ではミニゲーム的なイベントが発生。
このイベントでよけ続けていると、コマンドに「逃がす」が表示されるようになり、逃がせばバトル終了です。当然「たたかう」で相手のHPを減らしても終了となります。
「みのがす」や「にがす」を選択し続けていると、当然ながらLVは1から一向に上がりません。しかしそれこそがPルートへ繋がる道であり、ひたすらガマンした人だけがご褒美のハッピーエンドを迎えられるのです。
クセが強すぎるキャラクター
『UNDERTALE』といえば、ユニークすぎるキャラクターも作品の魅力です。ここでは主要キャラクターをご紹介してみましょう。
■サンズ
いいやつ代表、ガイコツ兄弟の兄・サンズ。スノーフルという雪の街で出会い、ダジャレを言ったり主人公に助言をしたり、なんやかや助けてくれます。弟のパピルスをとても大事に思っている描写は秀逸で、モンスターながら非常に「人間臭さ」を感じるキャラクターです。
実は「ニンゲンが来たら助けてあげて」とトリエルから頼まれており、陰から手助けしてくれていたのでした。Gルートでは悪い道へ進もうとする主人公を説得しようとし、無慈悲な攻撃を仕掛けてきます。
ちなみにサンズという名前は、Comic Sansというフォント名から。そのためサンズのセリフはすべてSansフォントで書かれています。なかなかユニーク。
■パピルス
いいやつ代表、ガイコツ兄弟の弟・パピルス。おバカだけど真面目な性格で、親衛隊(ロイヤルガード)に入るためにニンゲンを捕まえようと企てるも、主人公と緩いゲームを楽しんだりして憎めないキャラクターです。「ニャーッハッハ」と独特の笑い方もお茶目なところ。
料理が得意と思っているけど、ガチでまずい(らしい)スパゲティはサンズにも主人公にも不評。Gルートでは主人公に倒されてしまいますが、死ぬ直前でもなお「お前のこと信じてるぞ」と言うところが泣けます。いいやつすぎん?
パピルスの由来も、Papyrusというフォントから。そのためパピルスのセリフはPapyrusフォントで書かれ、日本語表記では縦書きになります。
■アンダイン
地底世界の王・アズゴアに使える親衛隊(ロイヤルガード)の隊長で、魚人の女性。ニンゲンを嫌い、主人公に攻撃的な一面を見せつつ、料理をふるまって主人公とオトモダチになろうとする可愛らしい描写も見られます。モンスターにとっては憧れの的で、Gルートではモンスターの子どもを守るため主人公に最後の力を振り絞って立ち向かってきます。
■アルフィー
ガチめのオタクで、おそらくとても早口で言いたいことをまくしたてる恐竜の科学者の女性。ニンゲンのタマシイの研究をしており、主人公に興味津々で近づいてきます。戦闘用ロボット・メタトン(後述)を作った人物でもあり、好奇心や欲望には勝てないタイプっぽい。
実はアンダインのことが好きで、Pエンドでは二人ラブラブ(?)な描写も見られます。こんなところも実に先進的ですね。
■メタトン
地底世界では人気者のテレビスターロボット。一昔前の司会者みたいな話し方をするのが特徴。実はアルフィーが作った戦闘マシンで、さまざまな手を使って主人公を攻撃してきます。Gルートでは、主人公に襲われたアルフィーを救うべくメタトンNEOというニンゲンみたいな形態も見られます。
イヌに対する愛がすごい
よく分からないまま長男くんの『UNDERTALE』プレイを見ていると、やたらあちこちでイヌが登場するのに気づきます。主人公の武器に「ぼうきれ」があれば、バトル中にイヌの敵に使用するとすぐに逃がすことが可能になります。コレ果たしてイヌと遊んであげたってこと、なのか・・・?
いやイヌ好きすぎやろ制作者!!となります。まあ好きなんでしょうね、公式サイトにも普通にいるし。
回復アイテムとして「ホットドック・・・?」というものもあります。なんでクエスチョンやねん。食べると、ワンワン!と犬の鳴き声がして、HPを20回復してくれます。なお「ホットキャット」なる回復アイテムもあり、食べるとニャオニャオニャオ♪と猫の鳴き声がして、HPを21回復してくれます。だからなんでやねん。今調べたら「イヌサラダ」という回復アイテムもありました。
とにかく音楽がイイ!
『UNDERTALE』といえば、とにかく音楽がイイ!と高い評価を受けています。特にサンズ戦で流れる「MEGALOVANIA(メガロバニア)」は素晴らしいです。
アンダインとのバトル(Pルート、Nルート)で流れるのが「正義の槍」。私は特にこのイントロが好き。ドット絵ゲームで流れるとは思えないクオリティに脱帽です。
アンダインとのバトル(Gルート)で流れるのは「本物のヒーローとの戦い」。アンダインは本物のヒーローと紹介されており、テーマソングみたいなものですね。
そしてPルートのラスボス戦の前半で流れるのが「夢と希望」。ラストバトルに相応しい壮大な世界観を音で見事に表現していると思います。
何がすごいって、この音楽をすべて制作者が一人で作っているということなんです。有名タイトルなら専門の作曲家が曲を作るんでしょうが、インディーゲームはそんなことしていられないですからね。デジタル音楽の技術がまだ今ほどではなかった時期に、こんなにも多彩な音を作り上げられる才能には本当に感服します。すごい人っていうのは居るもんなんだなあ・・・。
『UNDERTALE』の音楽の人気は高く、5周年の際にはオーケストラコンサートも開催されたほどです。色褪せない魅力っていうのは、まさにこのこと。私はカービィのフェスで生音ってやつを体験しましたけど、肌に直接ビリビリ響く迫力に心底驚いたものです。きっとナマで聞いたら、鳥肌が立っていたんだろうなあ。
結び
不朽の名作『UNDERTALE』の魅力についてご紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか。長男が鼻息荒く解説してくれた理由も分かるというものですね。インディーゲームとは思えないクオリティと物語でみどころたっぷりの名作なので、興味がある方はぜひ実際にプレイしてみてくださいね!
最後に、お花のフラウィからひとことあるようです。
ブチッと引っこ抜いて、ライターで燃やしてやりたいですね、はい。非常にテンプレ化しそうな画像だと思ったので、最後に貼ってしまいましたゴメンナサイ。
月末につき副業がやや忙しかったりするのですが、現実逃避でガッツリ書き上げてしまいました。ここまで8000文字。書きすぎたネェ・・・!ここを見ている方がどれほどいるのか果たして不明ですが、ここまで読んでくださった心優しいあなたに、強いケツイがみなぎりますように。最後までありがとうございました!
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