退職の練習㊶美術教師、短歌を勉強する
さて、短歌教室に参加するということで、自分も何か詠まなければいけない。いくつか自分でも詠んでみた。
①「花びらの 敷き詰められたその道を しずしず歩く 聖者のごとく」
これは毎年感じることだが、桜の花びらの道を歩いていると、自分は薔薇の花びらを撒かれたところを歩く聖者のような気分になるということを詠んだもの。友人が、インドの聖者に傾倒していて、彼女の御蔭でその聖者に会いに行ったり、ハグされたことも有る。
その時に「プージャ」という言葉を知ったような気がするが、彼女とも何年もあっていないのに、去年の、花弁の敷き詰められたその道を歩いている時に、突然、「プージャ」と言う言葉が頭に浮かんだ。
ヒンドゥー教における神像礼拝の儀礼とインターネットにあった。
そのインドの聖者が歩くときにそこに薔薇の花びらを敷き詰めておく、そのことがプージャと呼ばれていたようなおぼろげな記憶がある。
なんかもっとうまく詠みたいけど、どうすればいいのかわからない。
来年、もう一度、チャレンジしよう。
②湯に浸る キョンシーみたいに腕を伸ばして膝を浮かべて鼻を伸ばして
これは毎朝の湯に浸る自分の贅沢を詠んだもの。
ぽかーんと両腕を浮かべている自分の姿に、映画で見たキョンシーを思い浮かべた。初めは両腕を浮かべているだけだが、次第にいろんなものが浮かんでくる。足とか膝とか、伸びるはずもない鼻まで伸びてくる。
弛緩しきった自分を詠んだもの。
③故郷の訛り隠さぬ友といて 飲む日本酒はかくも旨し
寺山修司のパクリである笑。先生のアトリエに行った時の旧友と会って酒を飲むときの時間を詠んだ。
先生のえりりんは、②と③がいいですね!②にしますか、と仰った。
私は、はい、と返事をする。
今日は5月24日(水)。その短歌クラブの5月句会。
ぎりぎりの遅刻気味で会場に滑り込むと、自己紹介を促され、自分が指導した黒板アートに、主催者のえりりんが短歌を詠んで返してくれたことを述べた。その時に、芸術に芸術で返すってかっこいいなと思ったこと。自分も短歌をえりりんの下で磨きたいと自己紹介した。
その後は、えりりん指導の下、15名の会員が投稿した5月の句を、かわるがわる、朗読していく。
書かれている文字と読まれている歌は、また違っていて、短歌はやはり口に出すものなのではないかという気がする。
今日、教わったこと。
短歌には起承転結が必要。
句切れが重要。メリハリをつけて、しまりが出る。
最後の句の着地点も大事。
どこを最大限に活かすかの、デザインが重要。
なるほど!と思う。
みんなで詠み人しらずの短歌を朗読しあって、わからない言葉の質問をしあった後、3句、良いと思ったものを投票する。
えりりんがそれを集めて、誰が何番の短歌を選んだのか発表し、1番目の短歌から、批評に移る。
一句一句批評しながら、「咲きけり」は過去になり、「咲けり」は現在に続くとか、豆知識と、この歌はこうしたほうがいいというアドバイスが送られる。
そして選んだ人も何かしら感想を述べさせられるし、席順に、誰も選ばなかった句に対しても、何かコメントを求められる。
私のやってきたことで言えば、これは作品の鑑賞会だ。
プレバトという番組であのおっかない俳句の先生が、実に的確に、俳句を手直ししていくのを見て、この人の俳句のチカラってすごいな!と思っていた。こうすればよくなるってはっきり言えるその人の実力って凄い。
私は生徒の絵に対して、そこまではっきりものを言えるだろうか?といつも疑問に思って感心しながら番組を見ていた。あの先生が凄いのだ。
えりりんも、みんなの俳句を、こうすればもっとよくなるよとどしどしアドバイスする。そして確かに、その作品の弱点がさらけ出され、えりりんによって手直しされていく。
私の俳句に対してのえりりんの指摘はこうだ。
「一日の疲れを癒し湯に浸る キョンシーみたいに両手伸ばして」
私の句は、キョンシーが出てきた時点で、100点なのだというw。その後並列して、どんどん畳みかけるようにエスカレートしていくのもいいけど、キョンシーだけ強調してはどうか?とのえりりんの手直しなのである。
「実は、一日の疲れを癒すために湯に浸っているのではなく、
退職して、毎日、温泉に通って、湯に浸っている自分を詠んだ句なので、
そのままの表現の方がふさわしいです」
と、私は、感想を述べた。
そう、どちらかというと湯に浸ってただただ弛緩していく自分。
一日の疲れを癒すのではなく、実は朝風呂で、すでに湯あたりして疲れている自分を詠んだものなのである。
しかし、自分の句を他人が、吹き出しそうになりながら読んだりしていることが、面白かった。確かに、自分の句だけ、なんか笑えるものがあった。3人の人に選んでもらって(つまりスキされた?笑)嬉しかった。
6月も、ココロに留めたことを面白がって、短歌にしてみようと思いました(⋈◍>◡<◍)。✧♡