一杯のコーヒーとチョコレート

　時計が朝の７時を指す。
この時間になると、今日もやっと朝を迎えられたことに感謝したくなる。

　娘が生まれて４週目。
最初に比べたらちょっとずつ慣れては来たけど、まだ夜泣きと寝かしつけは苦手だ。毎日夜が近づくにつれ憂鬱な気持ちになってしまう。

　そんな私が一日の中で一番ほっとできる時間が朝の７時だ。娘をなんとか寝かし、リビングへ向かいカーテンをそっと開ける。朝の眩い光が流れ込み、夜が終わったことを教えてくれる。

　昨夜の夜泣きもすさまじく睡眠時間よりあやしてる時間の方が長いくらいだった。寝かしつけては起き、を幾度となく繰り返しやっと迎えた朝。私にとっては大きな戦争がひと段落したような、勝利の陽射しに感じる。

　そんな陽射しの中で楽しむ、一杯のコーヒーとチョコレート。長い戦いを終え疲れ切った体に、温かいコーヒーがじわあと生命力を取り戻してくれる。授乳期なので、もちろんコーヒーはカフェインレス。だけど睡魔をどうにかしたいわけじゃないのでなんの問題もない。温かいコーヒーが体に染み渡っていく感覚が好きだから。
　そして欠かせないのが、このチョコレート。朝から甘い物なんて変な感じだが、私にとって夜が一番体力を使う時間なのだ。心と体が糖分を欲している気がするので、それに正直に従う。そのまま娘が起きるまで、うつらうつらと一人の時間を楽しむ朝が好きだ。

　この時間がきちんと過ごせると、夜の疲れが穏やかになり気持ちもリセットされる。起きてきた娘にもやさしい気持ちで接することができるようになった。

　初めての育児は慣れないことの連続で毎日が慌ただしい。「産後はしっかり休んでね」なんて言われても、自分のことを構う余裕なんて全くない。でもそのままでいると、わけもなく涙が溢れたり、心と体のバランスがおかしくなっていることに気づく。
　ただただ毎日を走り抜けることだけを考えていると、絶対どこかでガタが来てしまう。一日数分でもいいから、自分にとっての休息時間をちゃんとつくってあげることが大切だと身をもってわかった。まだまだ育児初心者の私だけれど、同じく育児に息苦しさを感じている新米ママさんやこれからママになる人へ、ちょっとでも伝わったら嬉しく思う。