【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】のびのびいきましょ はたらく肝!
千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。
いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。
読者のみなさまは、五臓六腑って、一度は聞いたことがあるのでは??
これは、東洋医学における、いわゆる内臓に対する考え方の分類であり、以下のものが含まれます。
五臓:(肝・心・脾・肺・腎)
六腑:(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)
これまでの記事の中で、精神的なストレスによる身体の不調の原因に『肝』が深くかかわっていることをお話してきました。
今回は、東洋医学における『肝』とはどういった臓なのか、についてご紹介をします。
1.肝とは
『肝』の臓は右脇、右腎の前にあって、背骨の第9椎に附き、左三葉、右四葉の葉状の形態をなす臓です。
右脇、右腎の前のあたりに位置するというと、西洋医学の肝臓と同じでは?と思いがちですが、そもそも東洋医学の臓腑と現代医学の内臓とは考え方が大きく異なっていることから、全く別のものとしてとらえています。
そのため、この後ご紹介する、肝の特徴についても、肝臓と似ているところもあれば、そうでないところもあります。
ここで、少しだけ内臓と臓腑の違いについてふれておきます。
<内臓-現代医学>
人体を解剖的な知識にもとづき、組織や内臓をみていく。
形態や数値の異常をみつけて診断の材料とする。
<臓腑-東洋医学>
身体表面に現れる人体の生理・病理現象をもとに、臓腑をみていく。
脈、舌、経絡、経穴(ツボ)の反応など、身体の表面の状態を診断の材料とする。
※現代医学の病名、診断結果、検査値も参考にします。
2.肝の働きと関連する症状
まず、肝の特徴ですが、自然界の『木』に例えるとわかりやすく、一言でいうと、今回のタイトルにある❝のびのび❞がその特徴で、代表的な以下の3つの作用を持ちます。
①疏泄作用
肝には、気をのびやかに流す働きがあります。
全身の気の巡りに関与して、他の臓腑が上手く作用するように補助をする役割を果たします。
たとえて言うと、機械が動くときの潤滑油の働きですね。
②昇発作用
樹木の枝が上へのびのびと伸びていくように、気を上へ上へと上昇させる働きがあります。
③条達作用
樹木の枝葉が上へ横へとのびやかに成長するように、気を全身へまんべんなく巡らせます。
これら代表的な作用が低下した場合、身体の中で❝のびのび❞したくてもできないことから、心身ともにいろいろな不調が生じてきます。
例えば、身体の張った痛み、ため息、吐き気、食欲異常、気分の落ち込み、イライラ、落ち着きがない、などです。
次に、肝の臓の役割を具体的にみていくことにしましょう。
2-1.ストレス、疲労に耐える
肝は『罷極之本(ひきょくのほん)』といいます。
この意味は、ストレス・疲労に耐える力を持つということです。
肝が弱ると、イライラ・落ち込みやすいなどの感情がでやすくなります。
また、疲れやすくなったり、根気がなくなったり、気力が欠けるようにもなります。
2-2.血の貯蔵と配分
肝は『血を蔵す』といいます。
血を貯蔵して、全身の必要とされる箇所に対して血を配分し、衝任脈(月経、妊娠に関係する経絡)を調整する役割を持ちます。
肝が弱ると、かすみ目・視力低下・転筋・痺れ・運動障害・月経の不調などがおきやすくなります。
2-3.筋、関節の動きをスムーズに
肝は、身体や関節の動きをスムーズにします。
肝が弱ると、 身体のあちらこちらが凝りやすくなったり、つりやすくなったり、痙攣がおきやすくなることもあります。
2-4.爪、目と関係する
爪、目の状態は肝血と関係します。
肝血が不足すると、爪がもろくなる・目のかすみ・夜盲・目の乾燥・視力減退など、目の不調がおきやすくなります。
2-5.精神安定、情緒安定
肝は『魂(こん)を蔵す』といいます。
肝は五臓の大主である心と協力して、精神安定・情緒安定を主ります。
肝が弱ると、浅眠多夢・夢遊病・意思が弱くなり気力がなくなる、といったような精神的な不安定さが出やすくなります。
3.肝に関係する経絡、経穴
経絡とは、経穴(いわゆるツボ)をつなぎ、気血水を体中に巡らせる、まるで川の流れのようなものであり、臓腑の数と同じ12個(臓腑に関係する以外のものもあることから正確には12個以上)存在している、といわれています。
肝の臓に関係する経絡は、足厥陰肝経といいます。
<足厥陰肝経の流れ>
足の厥陰肝経の脈は、足の第1指外側端(大敦)から起こり、足背(行間、太衝)、内踝の前(中封)、下腿前内側(三陰交で交会、蠡溝、中都)を上り、脾経と交わり、膝下内側(膝関、曲泉)、大腿内側(陰包、足五里、陰廉)に沿って(衝門、府舎で交会)、陰毛の中(急脈)に入り、生殖器をめぐって下腹に至り(曲骨、中極、関元で交会)、側腹部(章門)を経て、胃をはさんで肝に属し(期門)、胆を絡う(日月)。
さらに、横隔膜を貫き季肋にひろがり(食竇、大包、淵腋)、食道・気管、咽頭、目系(眼球、目の内の深いところ)につらなり、額に出て、頭頂部(百会)で督脈と交わる。
目系から分かれた支脈は、頬の裏に下り唇の内側をめぐる。
肝から分かれた支脈は、横隔膜を貫いて肺を通って、中焦に至り、中脘穴の部分を挟んで、手の太陰肺経とつながる。
足厥陰肝経上にある、代表的な経穴(ツボ)としては、以下のようなものがあります。
<要穴>
原穴 : 太衝
郄穴 : 中都
絡穴 : 蠡溝
募穴 : 期門
背部穴 : 筋縮、肝兪、魂門
<五行穴>
井木穴 : 大敦
滎火穴 : 行間
兪土穴 : 太衝
経金穴 : 中封
合水穴 : 曲泉
4.まとめ
どうでしょうか? 今回は『肝』についてご紹介をしてきましたが、『肝』が、タイトルのとおり、のびのびと深く関連している、ということがおわかりいただけましたでしょうか。
また、記事内『肝』の働きの中に出てきた、様々な症状に対しては、鍼灸によるアプローチが可能となっており、その効果は、世界保健機関(WHO)も認めています。
参考リンク:公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会
この記事を読んで、東洋医学的な治療を受けてみたい、あるいは鍼灸治療に興味を持った、自分の症状も『肝』が原因なのでは?と思う、そんな方々は、ぜひ近くの鍼灸院、鍼灸院に相談をしてみて下さいね。
それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!
鍼灸 あやかざり
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参考文献:鍼灸臨床北辰会方式理論編、臓腑経絡学、経絡の流れ ほか