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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】眼精疲労と東洋医学

千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。

今、まさに、この記事をスマホやパソコンを使用して読んでいる皆さまに質問です。

『あなたは、一日にどれぐらいの時間、スマホ・パソコン・テレビをみていますか??』

現在、スマホやパソコンは生活の必需品、なかには、朝から晩までずっと画面とにらめっこという方もいます。
このように長時間にわたって画面を見続けていると、問題になるのが目の疲れですね!!

そこで、今回は、皆さんお困りの「眼精疲労」について、西洋医学・東洋医学の両面からみていきます。

では、どうぞ最後までお付き合いください。


1.眼精疲労とは


一般的に「疲れ目」と言われるのは、目が疲労した状態(目疲労)です。目を使い続けたために、目がしょぼしょぼしたり、ものがかすんで見えたり、ぼやけたりします。
時には、涙が出たり、充血したり、目に痛みを感じることもありますが、休憩や睡眠をとって目を休めることで症状は軽くなり改善していきます。

一方「眼精疲労」とは、「疲れ目」と同じように目の症状が現れるだけでなく、頭痛や肩こり、吐き気などの症状を伴い、休憩や睡眠を十分にとっても回復しない病的な状態として、先の「疲れ目」とは区別がされているようです。

この「眼精疲労」の原因はざまざまですが、
例えば
・視力矯正の不良:度の合わない眼鏡やコンタクトレンズの使用
・目の病気:ドライアイや緑内障、白内障など
・目の使いすぎ:テレビやパソコン、スマホなどを長時間見続けている
・環境:電車やバスなど揺れる場所でスマホやタブレットを見ている
・ストレス
・目以外の疾患との関連:虫歯や歯周病、副鼻腔炎、更年期障害など
があります。

「眼精疲労」はそのまま我慢し続けると、時に、視力の低下を招いたり、精神的なストレスが増加したり、頭痛や肩こり、吐き気などの不調が現れたり、睡眠の質が低下したりします。

こうした症状によって生活に支障が出るような場合には、まずは眼科を受診し、目そのものに異常がおきていないかどうかを検査してもらうことをおすすめします。

2.西洋医学における治療

「眼精疲労」で眼科を受診すると、一般的な視力検査、眼圧検査、眼底検査、視野検査などが行われます。また、目の調節機能を調べる検査が行われる場合もあります。

検査の結果、視力調整に問題があれば、メガネやコンタクトレンズの度数を調整します。
ビタミンや目の調節機能を改善する目薬が処方されることもあります。
そのほか、眼の周りを温めたり冷やしたりするような治療方法もあります。

「眼精疲労」では、症状を和らげるために生活習慣の見直しも欠かせません。特に、無意識のうちに集中してしまいがちなスマホやパソコンの作業に注意を向けるとよいでしょう。
・まばたきを意識し、定期的に休憩をとる
・できるだけ遠くを見るようにする
・眼のまわりの筋肉をほぐす:蒸しタオルやホットアイマスクも効果的です
・ストレッチなどで全身を意識的に動かす
などがあげられます。

3.東洋医学的にみる「目」の病

では、次に、東洋医学的に考える、「目」とその病についてみていくことにしましょう。

目は、五臓では肝の臓と密接な関係あり、肝血と肝の疏泄機能が視覚機能に深く関与するといわれています。
イメージとしては、肝血とは血(東洋医学では”けつ”と読む)のことであり、肝の疏泄機能とは、全身に気血津液を巡らせる循環機能のことである、と捉えてもらえるとわかりやすいと思います。
また、目には様々な経絡(ツボとツボをつなぐ線路のようなもの)が関係していることから、目=肝の病というように端的に決めつけることは正確な診断を欠くことからおすすめできません。

なお、血に関しては、以前に『【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】貧血の鍼灸治療と食養生』の記事の中で詳しく説明をしています。
まだ、読んだことがないという方は、ぜひそちらもお読みください!

目に関する、東洋医学的な代表的な病名としては、
①目乾渋
目が疲れやすいのこと
②目昏
目のかすみのこと
③目痒
目のかすみのこと
羞明
目のまぶしさのこと
流涙
涙が出来ること
緑風内障
視野狭窄、眼球の硬さ、目の腫れ、いわゆる緑内障の症状のこと
近視・遠視・暴盲
視力の異常のこと、暴盲とは突然の視力損失
があります。

4.鍼灸によるアプローチ

ここまで、東洋医学的に目と目の病ついてみてきました。
次に、東洋医学の手法のひとつである、鍼灸によるアプローチについてみていきましょう。

「眼精疲労、緑内障など、目の諸症状も鍼灸で治療できるのか?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、上記で紹介したような目の病に対しても鍼灸によるアプローチが可能となっています。

一般的な眼科での治療受けている方の中には、『あまり変化が感じられない』・『次第に症状が深刻化している』・『薬を使用した対処療法にすぎないため、根本から治したい』・『眼圧の値の上昇をおさえて、緑内障の進行をおさえたい』など、と考えていらっしゃる方も多いかもしれません。

一方、鍼灸治療の場合には、「目のトラブルを引き起こしている根本原因」をみつけだし、それを正すことによって、症状を改善に導くとともに再発しにくい身体づくりをしていきます。

鍼灸で一度の施術に使うツボは1~3つで、施術時間は休憩含めて1時間程度です。
なお、鍼をする前には、予め、詳しく問診をする必要があり、その症状だけでなく、他にもある様々な身体の症状(愁訴、随伴症状といいます)、その人の体質や体格、その時の体調、施術をする時の季節、天気なども考慮する必要があります。

問診で詳しく話を聞いた後は、その人の身体全体の状態(脈、舌、顔色、身体の熱冷のかたより、身体の緊張、手足ツボの反応など)から、トータル的にみて、最も原因にふさわしいツボを選び鍼灸の施術をします。
そのため、症状や原因が同じでも、その時々で使用するツボも変えることが必要となります。

眼精疲労や目の症状で鍼灸治療を受ける場合、目の周りに鍼をするのではないか?と心配をする人も多いと思います。
鍼灸治療と一言でいっても実に様々な種類がありますので、目の周りのたくさんの鍼をして目の周囲の筋肉を緩める治療をする、というような治療をする鍼灸院もあります。
筆者の鍼灸院『鍼灸 あやかざり』では、患部周辺、つまり目の周りに鍼をするということ行っていません。
例えば、身体の過緊張が原因となり、血の運行が妨げられてしまい、目の周りの血流が悪くなったという場合には、肝の臓に関係するツボ(例:肝兪、太衝など)に鍼をします。
こうした治療は、眼精疲労の回復だけでなく、全身の過緊張の緩和も同時に行うことができることから、たった数本の鍼によって肩こりの緩和も同時に行うことができます。

どういった種類の鍼灸治療を選ぶかは、読者の皆様次第ですので、予め鍼灸院に問い合わせをしてみるとよいでしょう。

また、鍼灸治療は西洋医学の治療との併用が可能です。
その場合には、眼科でどのような診断を受けたのか、検査の結果、処方された西洋薬や漢方薬についても、問診時に鍼灸師の先生に伝えるようにしましょう。

5.女性と眼精疲労

ここで、女性特有の眼精疲労について少し取り上げておきます。

成人した女性の場合には、月に1回程度、月経(=生理)がおこりますね。
その月経のタイミングにあわせて、眼精疲労が悪化してとても辛い、という経験をしたことがある方はいませんか??

月経の際には、子宮内からの出血がおこり、不要となった子宮内膜とともに身体の外に排出されていきます。
東洋医学的には、身体の中で血(けつ)が大きく変動するタイミングが月経である、ということができます。

月経前は、月経に備えて血をためていくタイミングであり、体内の循環が停滞しがちになります。
月経前に眼精疲労が悪化しがちな場合には、体内の循環停滞が強すぎる傾向にあるため、目に血が行き渡らず眼晴疲労が悪化する、と考えることができます。

また、月経後は、月経により血が排出されることから、体内で一時的に血が不足しがちになります。
月経後に眼精疲労が悪化する傾向の場合には、体内の血(けつ)が普段から不足傾向にある、と考えられます。

実際には、原因の特定は、上記のように単純なイコール関係だけでは決められませんが、月経に伴う眼精疲労で悩む女性の方は、鍼灸院の問診時に必ず自分の月経と眼精疲労悪化のタイミング、および月経の状態についても伝えるようにしましょう。

6.目の疲れに効く東洋医学的食養生

東洋医学では、目の疲れは肝の臓の働きにつながっている、というのは先にご紹介をしたとおりです。
そのため、目の疲れに効く食材や肝のはたらきを整える食材を摂取するのも効果的です。
肝に効く身近な食材としては、以前の記事でイワシやイチゴを取り上げていますので、ご興味があれば探してみてください。

そのほか、東洋医学的に「目の疲れ」に効果的な食材を以下にいくつかご紹介します。
参考になさってみて下さい。

①くこの実
【性質と味】甘、平性(微渋・甘、平性)
【関連する臓腑経絡】肝・腎・肺経
【東洋医学的効能】
●益精明目(えきせいめいもく):東洋医学において精は生命の活動を支える根本的な物質で活力の源と考えられています。そうした精の不足を補って目の疲労を回復し、視力を改善します
●滋補肝腎(じほかんじん):肝・腎を養い、機能を丈夫にします

②サバ(鯖)
【性質と味】甘、平性
【関連する臓腑経絡】脾・胃・心・腎経(肺・脾経)
【東洋医学的効能】
●瀉熱明目(しゃねつめいもく):からだにこもった過剰な熱を除き、視力を向上させます
●寧心補腎(ねいしんほじん):腎の働きを補って精神の不安定な状態を安定させ、いらだちを解消します

③菊花(食用菊)
【性質と味】苦・甘、微寒性
【関連する臓腑経絡】肺・肝経
【東洋医学的効能】
●平肝明目(へいかんめいもく):肝の熱を冷まし、目をすっきりとよく見えるようにします
●清熱解毒(せいねつげどく):からだに溜まった余分な熱を収め、毒素を排除します
菊については以前の記事で紹介をしていますので、
【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】東洋医学からみるキクの世界
ぜひ参考にしてください。

④紅茶
【性質と味】渋・苦・甘、温性
【関連する臓腑経絡】脾・胃・腎経
【東洋医学的効能】
●醒脳明目(せいのうめいもく):視力を改善し、脳の集中力を高めます
●清熱解毒(せいねつげどく):からだに溜まった余分な熱を収め、毒素を排除します

紅茶のほか、緑茶やジャスミン茶、菊花茶にも視力を回復する作用があるとされています。
秋の夜長、夕食後のひと時に好みのお茶を味わいながら目の疲れを回復させられるといいですね。
なお、ここで一つ注意点ですが、紅茶や緑茶などにはカフェインが含まれていますね。
カフェインは、東洋医学的には肝気を昂らせる効果がありますので、摂取しすぎは睡眠に影響をあたえることもあります。
睡眠に問題がある方、頭痛などの様々な症状が出やすい方は、できるだけさけるようにする、または摂取する時間帯を昼間にするなどの工夫をするとよいでしょう。

7.まとめ

今回は「眼精疲労」について、原因や対処法、予防方法について解説をしました。
先にもお話したとおり、「眼精疲労」はWHO(世界保健機構)において鍼灸治療が 適応可能であるとされている疾患のひとつとなっていますので、西洋医学の治療を試してみてもなかなか症状が改善していかない場合には、鍼灸治療を一度試してみてはいかがでしょうか。

今回はここまでとなります。最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。

それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

画像の出典:https://www.photo-ac.com/

参考資料:MSDマニュアル家庭版WEBページ、東方栄養新書、食材効能大事典、東洋医学の教科書

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