【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】三日とろろで風邪予防!?
鍼灸治療では、症状の改善に役立てる、日常的な養生の方法のひとつとして、食生活上で気を付けることをお話することがあります。
今回は、そんな食養生の中から、『やまいも』をとりあげ、そのヒミツ、やまいもパワーのすごさをご紹介していきます。
『4.やまいもレシピ』では、やまいもを使った簡単レシピ【やまいもフライ】をとりあげています。
では、最後までお楽しみください。
1.三日とろろとは
三日とろろとは、お正月の1月2日、あるいは3日にやまいもや自然薯をすって、とろろ汁を食する文化で、全国の中でも、東北や長野をルーツとする家々によくみられるものです。
もともと、やまいもは滋養強壮によいとされていますが、「長く伸びるから縁起がよい」、「松の内にとろろを食べると風邪をひかない」などと言い習わしています。
とろろはご飯にかけても、味噌汁と合わせてもよいそうです。古くは災厄を除くと、とろろを家の柱などにもすり付けたそうです。
読者のみなさまの家の周辺には、三日とろろの文化はありますか??
筆者の鍼灸院『鍼灸 あやかざり』は千葉市に所在していますが、いろいろと調べた限りでは、このあたりでは三日とろろの風習は行われていないようです。
2.やまいもの由来
やまいもは、ヤマイモ科に属し、正式名を「ナガイモ」と呼び、熱帯では中南米やアフリカに多く、温帯では日本、中国、韓国に多くを産します。
日本では縄文後期から食用として栽培されていたといわれていますが、日本に自生している自然薯は、やまいもとは別種とされています。
日本での産地では、北海道、青森、長野に続き、なんと千葉は4位につけ、全国シェアは3.8%となっています。
あらためて、筆者の鍼灸院『鍼灸 あやかざり』の所在地は、全国でもトップクラスの生産量を誇る、やまいもの生産地なのです!
ちなみに、千葉周辺で収穫される、大和芋とよばれる種類の山芋は、強い粘り気が特徴の山芋で、すりおろしたものは箸で挟んで持てるほどのネバナバ感…!
ところで、やまいもには「ながいも」「つくねいも」「いちょういも」など、様々な呼び名がありますが、その違いはなんだかわかりますか?
じつは、これら呼び名の違いは、その形状による違いによるものといわれています。
楕円形で棒状に伸びたものを「ながいも」、まるみをおびたものを「つくねいも」、片方が扇のようにひろがったものを「いちょういも」と呼んでいます。
また、我が千葉を含む関東地域では、「やまといも」と呼ばれることが多いようです。
3.栄養学としての効能
やまいもは、アミラーゼ・ジアスターゼを含むことが、栄養学的な特徴です。
アミラーゼ・ジアスターゼは、でんぷんの分解酵素で、でんぷんの消化吸収を高める働きを保ちます。
また、やまいものネバネバとした成分は、肺や胃腸の粘膜を潤して保護してタンパク質の消化や吸収を高め、滋養効果があることから、老化防止作用と美肌効果が期待できると考えられています。
そのほかには、新陳代謝を活性化するコリンや、コレステロールを減らして取り除き、血液中の脂質の参加を防ぐサボニン、利尿作用のあるカリウムが含まれ、これらの成分の働きにおより、水分代謝を促し腎臓の機能を高める効果があります。
コリンという成分は、コレステロールが血管壁につくのを阻げ、動脈硬化を
予防する働きがあります。
これら、やまいもの栄養素の上手な取り方ですが、ととろにして食べると粘膜や細胞を丈夫にするのにより効果的なのですが、アミラーゼ・ジアスターゼなどのでんぷん消化酵素は加熱により働きが失われてしまうので、ととろ汁の温度は40~50℃程度にするのが良いでしょう。
4.東洋医学的な効能
東洋医学的には、やまいもは以下のような属性と効能をもちます。
【性質と味】 甘、平
【関連する臓腑経絡】 脾・肺・腎経
①補気健脾(ほきけんぴ)
胃腸を丈夫にして、消化吸収能力を高める。
胃腸の弱り、食欲不振、浮腫み、腹の冷え、痩せ、貧血に効果的。
②補腎益精(ほじんえきせい)
滋養強壮、精力の低下を防ぐ。
疲労、骨や筋肉の弱り、足腰の痛み、下半身の弱り、難聴、頻尿、夜間尿、頭痛、めまい、に効果的。
③養陰生津(よういんしょうしん)、清虚熱(せいきょねつ)
身体に必要な潤い、水分の不足を補う。
身体の衰弱による余分な熱を冷ます。
寝汗、喉の渇き、糖尿病、異常な空腹感、多尿に効果的。
④養肺(ようはい)、潤肺止咳(じゅんぱいしがい)
衰弱した肺の機能を高めて、肺を潤して咳を防ぎます。
慢性的な咳と喘息、気管支炎に効果的。
※注意事項
やまいもを摂取しすぎると、余分な水分が体内に溜まりやすくなりお腹が張りやすくなります。
ふだんから胃腸の弱い方やお腹が張りやすい方は、控え目の摂取をこころがけましょう。
5.やまいもの簡単レシピ
やまいもを買ってきたけど、とろろ以外の食べ方がわからないで困ってしまう人、案外多いようです。
そんな方へ、とっても簡単でおいしい、やまいもを使ったレシピをひとつご紹介します。
【やまいもフライ】
1.下ごしらえ
やまいも適量、揚げ油、塩 を準備します。
長芋は皮をむき、1cm程度の角のスティック状に切ります。
ここでポイント!
表面の水けをふいて水分をしっかりとってから、もしくは少し乾かしてから皮をむくと、ネバネバ成分が出てきにくくなることから、扱いやすくなります。
2.揚げる
揚げ油できつね色になるまで揚げます。
きつね色になったら油を切り、お皿に盛り付け、塩をふりかけて完成です。
塩のかわりをのりしおやコンソメにしたり、七味マヨネーズやケチャップなどのディップにしてつけて食べてもおいしいですよ!
なお、皮はつけたままでも大丈夫です。
皮付きのまま揚げた方が皮がサクッとした食感になり美味しくなります。
冷蔵庫の片隅に残っているやまいもありませんか?
ぜひ一度簡単レシピをお試しくださいね。
そのほか、インターネット上には、やまいもを使ったたくさんのレシピが出回っています。
それらを活用して、やまいもを上手に食生活にとりいれて元気になりましょう!
いかがでしたでしょうか?
『三日とろろで風邪予防!?』はお楽しみいただけましたでしょうか?
このように、身の回りにあるいろいろなものを東洋医学的にみていくと、鍼灸ほかにも、身近なところに自然治癒力を高めるヒントがたくさんあることに気づかされますね。
それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!
鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132
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参考文献:『中医臨床のための中薬学』、『東方栄養新書』