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日本の未来を創造するチェンジメーカーの誕生!──お茶の水女子大学寄附講座レポート③

みなさんこんにちは! アバナード株式会社コーポレートシチズンシップリードの日野紀子です。昨年10月にスタートした、お茶の水女子大学での寄附講座がついに最終回を迎えました。その模様をレポートします。
2023年秋学期のアバナード寄附講座では、社会課題について学び、テクノロジーを活用して解決する方法を4ヶ月にわたって考えてきました。

12月にはアバナードの東京オフィスで中間発表会が開かれましたが、最終発表会はお茶の水女子大学のキャンパス内で開かれ、アバナードのスタッフだけでなく大学の副学長、大学生協関係者にもご参加いただきました。果たして、どのような発表が行われたのでしょうか。

「便利だから使う」が、一人ひとりの価値観を変える

発表に先立ち、グラフィックサマリーを用いて10月からの道のりを参加者全員で振り返りました。
昨年度も実施した寄附講座ですが、アプリ開発を実践しながら社会課題の解決に挑戦したのは今回が初めて。受講生のみなさんは、前半の講義やワークショップで見つけた、いま社会が抱えている課題や痛みを解決するために、アバナードのエンジニアによるサポートを受けながら開発とプレゼンの準備を進めてきました。
単位を取るためにアプリを作るのではなく、社会実装してたくさんの人に活用してもらうことを目指します。

最終プレゼンは、「食品ロス」をテーマにした5つのチームからスタートしました。
スーパーやデパートの食料品売り場で売れ残って廃棄される食材を減らしたり、一人暮らしで野菜などを使い切れずにごみになってしまうことを防いだりするアプリが紹介されました。中にはSNSのように、自分のアクションをシェアする機能を備えたアプリも。

「便利だからアプリを使っているうちに、無意識にSDGsの問題解決につながる」という、日常生活に自然と取り入れられるような工夫が凝らされていました。

続いて、「プラごみ」をテーマにした2チームによる発表です。それぞれ、過剰包装によるプラスチックごみの発生を防ぐ大学内の水筒の所持率を上げるという課題に挑戦しました。

一人ひとりの意識を根本的に変えなければ、なかなか数字につながらない社会課題。2チームとも、UIをおしゃれにしたり、かわいらしいキャラクターを考えたり、育成ゲームやマップ機能を活用したりと、毎日使いたくなるような工夫を凝らしていました。アプリを通じて価値観や行動の変容につなげたいという思いが伝わるプレゼンでした。

災害への備えは日常から。若い世代や女性に必要な防災を追求

最後は「防災」の7チームによる発表です。1チーム目が提案したアプリ名は、「そなぴえ」。「備えあれば憂いなし」ならぬ、「備えあれば“ぴえん”なし」を略した名前だそう。流行語を取り入れたキャッチーなネーミングに、会場も興味津々。

ゲームで遊びながら知識を身に付けたり、チェックリストで足りていない備蓄品を確認できたりと、平常時の防災への意識を高めるためのアプリが紹介されました。

中には、予定調和的に行われがちな避難訓練をアップデートするようなアプリや、外国人留学生などのマイノリティの人たちも現在地からスムーズに避難できるよう多言語で案内するアプリも。

また、学生たちが注目したのは、女性が抱えている防災の課題。被災地での性暴力の防止やメンタルケア、避難所内での女性同士の連携をサポートするアプリなども提案され、女子大ならではの着眼点が光りました。

全14チームによる最終プレゼンが終わり、ホッとした表情を見せる学生たちを前に、参加した大学役員のみなさんやアバナード社員による講評が行われました。

加藤美砂子副学長「みなさんの多彩な発表をお聞きして、非常に感動しました! 社会課題に対して、さまざまな視点からグループで考えている姿が素晴らしいなと思いましたし、社会実装に向けてさらに考えていただけたらうれしいです」

お茶の水女子大学理事・副学長 加藤砂沙子教授(教育改革・入試改革・工学系学部設置担当)
お茶の水女子大学理事・副学長 加藤砂沙子教授(教育改革・入試改革・工学系学部設置担当)

石井クンツ昌子副学長「どのグループも素晴らしい発表でした。個人的に使ってみたいアプリもありましたし、災害時の女性の性被害を防ぐアプリもマストで実装していただきたいですね。アプリのネーミングもアーティスティックで、かつ非常にキャッチーで、とてもお上手だなと思いました。完成したらぜひ、第1号で使わせていただきます!」

お茶の水女子大学理事・副学長 石井クンツ昌子教授(研究・国際交流・男女共同参画担当)
お茶の水女子大学理事・副学長 石井クンツ昌子教授(研究・国際交流・男女共同参画担当)

お茶の水女子大学消費生活協同組合・矢葺誠司専務理事「短い間にいろいろと考えてこられたのだなと感じました。生協として、食品ロスの問題には関心を持っていますので、学生の皆さんと一緒に取り組んでいきたいと思います。防災に関しても、避難訓練をアップデートするアプリはぜひ、4月に入学される新入生のみなさんの避難訓練に活用したいので、すぐ準備に取り掛かろうと思います」

お茶の水女子大学消費生活協同組合 矢葺誠司専務理事
お茶の水女子大学消費生活協同組合 矢葺誠司専務理事

笠松千夏特任教授「自分たちの心の痛みや、身近なところから始まり、解決方法を実現するということをぜひ今後も続けていただいて、アプリも形にするところまでこだわっていきたいですし、研究所としてもサポートしていけたらと思います。半年間、本来教える立場である私たちも、学生のみなさんの取り組みや積極的に進めている姿勢に、学ぶことがとても多かったです。そして、とても楽しかったです!」

太田裕治教授「今年度は食品ロスやプラごみ、防災をテーマに組み込むことで、非常に具体的な取り組みができました。アプリを作ることができましたから、提案にとどまらず、積極的に挑戦していただき、今後も大きく伸びていってもらえたらと思います」

アバナード・大塩大輔さん「学生ならではの発想の柔軟さに学ぶことが多かったですし、どのアプリも細かいところまで行き届いているなと感じました。私はアバナードで地方創生を担当しているのですが、特に防災に関してはDX化が課題で、みなさんのアイデアが参考になるなと思いながら聞いていました。また、食品ロスのアプリなどは、もう一手間加えることによって地方のスーパーなどでも活用できるようなアプリになるのではと期待しています」

アバナード・小西まさ美さん「この講座が始まった10月の時点で、アプリを作れるなんて想像できていたでしょうか。何か一つのことを達成するというのは、とても大きな力になるはずです。一生懸命取り組んだ情熱を、これからも大事にしてください」

(左から)お茶の水女子大学サスティナブル社会実装機構SDGs推進研究所 笠松千夏特任教授、お茶の水女子大学副学長 太田裕治教授
(左から)お茶の水女子大学サスティナブル社会実装機構SDGs推進研究所 笠松千夏特任教授、
お茶の水女子大学副学長 太田裕治教授

「イエス・アンド」の精神で学んだことを、学生生活に広げてほしい

最後に、今学期を献身的にサポートしてくれた学生スタッフのみなさんに、全回を通した振り返りを伺いました。
 
本田さんアイデアを0から1にするプロセスに学生スタッフとして携われたことは、大きな経験になりました。受講生の目がとてもキラキラしていて、たくさんの刺激を受けましたし、この授業は『自分がやりたいようにやっていいのだ』という肯定感が根底にあって、周りから期待される姿や『こうあるべき』というしがらみから学生たちを解放してくれているのではないかと感じました。4年生で卒業を控えていますが、私も社会を変えることができる、そういう力を持っているのだと信じて、社会人として頑張っていきたいなと改めて思いました」
 
青木さん「『この授業は今までのお茶大のノリとは違う!』と言っている受講生もいて、楽しそうに参加してくれていたのが、学生スタッフのモチベーションになりましたし、やりがいを感じました。夏休み前の準備の段階では、『学生が集まるかな』と不安でしたが、初回にたくさんの学生が来てくれて、積極的に授業を受けてくれたので、準備の努力も報われました。アバナードのみなさんも、学生がのびのびと授業に取り組めるように、否定しない『イエス・アンド』のマインドで進めてくださったので、受講生のみなさんにはぜひ、寄附講座で培った『イエス・アンド』精神、そしてチャレンジする感覚、実現する感覚を他の講座でも発揮してほしいなと思います」
 
白石さん「アバナードのみなさんと一緒に99%を構想して、残りの1%を受講生のみなさんが埋めて、100%の素晴らしい講座になったのではないかと思います。想定を遥かに上回る内容を受講生のみなさんが返してくださって、最初に枠組みをしっかり作っておくと、もっとすごいものを作り上げてもらえるのだということを学生スタッフとして学びました。エンジニアのみなさんも、学生の漠然としたアイデアを現実に落とし込むために、より良い方向に進むように意見を出してくださったので、最後のプレゼンまで辿り着けたのでないかと思います」

終了後には懇親会を開催。みんなで乾杯!
終了後には懇親会を開催。みんなで乾杯!

お茶の水女子大学のみなさんに、「自分も未来を創れるチェンジメーカーになれるんだ」と信じてほしいという思いで、5月から準備を重ねてきた寄附講座。懇親会では、受講生のみなさんから「アプリをもっとブラッシュアップしたい」「講座で終わりではなく、社会実装するところまでやりきりたい」「自分が所属しているチームで、SDGsについて一緒に考えたい」などの前向きな声をたくさん聞けて、とてもうれしかったです! 「防災」で発表してくれたチームは、すでに朝日新聞主催の大学SDGsアクションアワードにもプランを応募したそうで、学内で実装するだけでなく、学外でもプレゼンを行う予定だと教えてくれました。授業の枠を超え、積極的に取り組む姿勢に感動・感動・感動です!

2023年度の講座は終わりを迎えましたが、アバナードにとってはここからが非常に重要なフェーズです。最終プレゼンで発表してくれたアプリ開発のプランを、社会に実装していくことこそがこの寄附講座の真の目的。講座を通して誕生した14のアプリ、そして42人のチェンジメーカーたちと、アバナード、大学関係者のみなさんで、引き続き実装に向けて取り組んでいきます。
 
最後に、2023年度の寄附講座に関わってくださったお茶の水女子大学SDGs研究所の志村さんをはじめ、アバナード社員のみなさん、松永エリック・匡史さん、そなエリアのみなさん、そしてレポート記事を通して寄附講座を見守り、応援してくださったすべての方に、改めて御礼申し上げます。
2024年度も寄附講座を実施予定。来年の今頃、また何人のチェンジメーカーが生まれるのか、ご期待ください。
 
 
アバナード(株) コーポレートシチズンシップ 日野紀子
編集協力:SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERSさん
撮影:横田達也さん

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