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行き当たりばったりに書いものの保管庫。しばらくほったらかしていて、2024年に再開した。

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行き当たりばったりに書いものの保管庫。しばらくほったらかしていて、2024年に再開した。

マガジン

  • 見たもの

  • フランス留学記

    2017年8月から2018年6月までフランスはグルノーブルに留学していた間、1ヶ月に1つ何かを書こうと思い立って、4ヶ月で終わってしまったシリーズ。

最近の記事

落ちつづけ、事故りつづける

メンバーが教えてくれたこの荒川の文章をのぞいては、荒川修作+マドリン・ギンズについても、天命反転地についても、大した予備知識もなく養老なる土地におりたった。おりたったとは言っても東京から車できたので、さらに静岡から運転を任されていたのもあって、高速道路を数時間とばしつづけた高揚感(その名の通りハイでウェイな感覚)と深部にたまった疲労感をいくぶん引きずったまま、目にしたのは青空に美しい公園と荒川作品の色彩の広がり、背景に遠く美濃平野が霞んでいる光景。 改修中なので団体料金の入

    • MES 個展「祈り/戯れ/被虐的な、行為(英題:P-L/R-A/E-Y)」

      MESの個展「祈り/戯れ/被虐的な、行為(英題:P-L/R-A/E-Y)」において、《WAX P-L/R-A/E-Y》と題されたパフォーマンスが上演された。私が8月4日に鑑賞した際に、本作は以下のように進行した。照明を落とした空間にふたりのパフォーマーが現れる。ふたりはラグの上に座り、自分の身体の上に蝋燭をのせて火をつける。蝋燭はブロック体の5つの文字「C-E-A-S-E」をかたどっており、それぞれは溶かした蝋によって、伸ばした右の二の腕に、かろうじて接着している。ふたりは立

      • 謹賀新年2020

        今年もよろしく

        • 僧侶としてのダルヴィッシュ 2019.12.17

           彼との思い出は、私がまだ小学生の低学年だった頃に遡る。  父とふたりでよくキャッチボールをしていた私は、家に帰れば巨人戦の中継を9時24分まで目をさらにして見る、春と夏の休みには欠かさず甲子園を観戦する、意外にも(とつけざるを得ないが)野球少年だった。  地元の小学校に通っていなかった私が、同じマンションの同年代の少年たちと唯一コミュニケーションを取れるのは、隣にあるだだっ広い公園での野球を介してだった。まだ名古屋に住んでいて、近くの熱田球場にひとり出かけていっては愛知県大

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        • 日記
          15本
        • 見たもの
          17本
        • フランス留学記
          4本

        記事

          オペラ『椿姫』 @新国立劇場 2019.12.5

           だいぶ時間が経ってしまったが、とりあえず、聞きに行ったのだという事実だけはメモしておきたい。  ヴァンサン・ブサールの演出、物語を大きく変えることはせずに、舞台をより抽象的な空間に仕立てた。舞台が鏡ばり、背景のオペラ座はプロジェクションの一二幕。三幕のヴィオレッタ死にゆく部屋は、天井からベッドまで薄い幕=膜に覆われている。このオペラの一、二幕には合唱として、印象的な「大衆」が登場するので、役の個性を中和するような舞台美術は相性が良い。  (一度パリで見たときは、これも抽

          オペラ『椿姫』 @新国立劇場 2019.12.5

          異なる仕方で語りなおす  − カメル・ダーウドと『もうひとつの「異邦人」』

          ゼミでの発表資料。  マリエル・マセ はNos cabanesにおいて、未来あるいは過去と「異なる仕方で」関係を結ぶことを、Cabaneのひとつの形に数える。今回の発表ではマセの思索と共鳴するであろうひとつの事例として、アルジェリア人ジャーナリスト・作家であるカメル・ダーウドが、いかに「異なる仕方で」(とくに過去と結ぶ関係について)思考しようとしているかを紹介したい。そのために、彼の小説『もうひとつの「異邦人」』や、その題材であるアルベール・カミュ『異邦人』、さらにはダーウ

          異なる仕方で語りなおす  − カメル・ダーウドと『もうひとつの「異邦人」』

          回帰の美術史 〜 1900年以降の「再評価」と「反動」

           授業での発表で使った資料を公開。『Art since 1900』をそれぞれのやり方で再編集してみるというもの。理論的にはこの本に寄っかかりつつ(なので議論の怪しさをも引き継ぎつつ)、制度解体が過剰に進んだ状況で再び美術史を可能にする方法を考えるという問題意識のもと、『Art since 1900』を逆から読んでいくという「回帰の美術史」を考えた。 ◎ コンテンポラリーアートの窮状(座談会2)ベンジャミン・ブークローによる悲観的な現状報告から始めよう。  コンテンポラリー

          回帰の美術史 〜 1900年以降の「再評価」と「反動」

          何もかもおしまいなら、何もかもできる -フランスのアーティスト集団「カタストロフ」による宣言

           2016年9月22日、新聞Libérationに、フランスの若手アーティスト集団Catastropheが宣言文を寄稿した。以下はその邦訳である。カタストロフは音楽を中心とした活動で知られるが、彼らの関心は多岐にわたっている。  このどうしようもない世界で(カタストロフとはもちろん破滅という意)、いかにして希望を捨てずにいるか、(日本にはあまり見られないような)彼らの「世代観」と「世界観」は注目に値する。  原文は以下の通り。 リベラシオンによるリード文 シラけているのでも

          何もかもおしまいなら、何もかもできる -フランスのアーティスト集団「カタストロフ」による宣言

          漏れ聞き 2019.12.8

          ゼミ発表の準備でてんやわんやで、日記を書くという余裕が見つからない(日記を書くことにも、ある程度の心と時間の余裕が必要なのだとわかる) なので、この休日のあいだ大学全域が停電というびっくりな災害に追われ、スタバを野営地に選んだのだが、ここではやけに楽しげかつほんの少し悩ましげなクリスマスソングがなかなかの音量で空間を満たすその隙間に、わたしの気を引いたいくつかの漏れ聞きフレーズをメモしておくに止めよう。 「わたしは筋肉を鍛えるために身体を鍛えてんじゃないのよ。身体をコント

          漏れ聞き 2019.12.8

          マツタケとわたしたちのサバイバル 2019.11.29

          最近午前中になんの成果も得られない日が続く。 スロースタートの日は、何も生み出さないままに寝てしまうのが怖くって、どうしても夜更かししてしまう。(それで何かすごく勉強するってわけでもないのだけれど。) そうすると悪循環で、生活リズムが崩れたままずるずると月日が流れていって、もう2019年もあと1ヶ月で、わたしはすぐに24歳とかいうもう取り返しのつかなそうな顔をした年齢になって、しつこい鈍痛のような焦りから逃れようと足をどれだけばたつかせようとも、結局わたしはわたしから抜け出せ

          マツタケとわたしたちのサバイバル 2019.11.29

          なぜドナルド・トランプは「ジョーカー」ではないのか? 〜スラヴォイ・ジジェクによる『ジョーカー』分析

          適当に訳してまとめてみた。原文は下記の通り。 Pourquoi Donald Trump n’est pas le « Joker », par Slavoj Zizek https://www.nouvelobs.com/idees/20191125.OBS21551/pourquoi-donald-trump-n-est-pas-le-joker-par-slavoj-zizek.amp  メディアは封切られる前からこの映画の内容が、社会への不満を抱えた人々(特に独身男

          なぜドナルド・トランプは「ジョーカー」ではないのか? 〜スラヴォイ・ジジェクによる『ジョーカー』分析

          お湯を沸かしながら 2019.11.27

          明け方まで授業で読むA. Lilty "Le monde des salons"の訳文を準備していて、11時起床のスロースタート。ご飯食べて服着て、早めに大学へ。 寒くてダウンを着たいけどまだ手に入れてないので泣く泣く、今日は手抜きでいいやとユニクロ×EGのフリースを手に取る。もともと深夜のコンビニ用に買ったつもりだったので、一日過ごすのは初めて。 図書館に行って、借りていた『身体はどう変わったか』を読み始める。大著『身体の歴史』に関して、コルバンのインタビューと訳者陣の論

          お湯を沸かしながら 2019.11.27

          駒場祭所感 2019.11.24

          駒場祭が終わった。 土日はUT-humanitasの『ジブン×ジンブン』展示に常駐しつつ、土曜はフィロムジカの喫茶で室内楽の演奏をした。 展示空間の設計に力を入れた(というか建築学科の人材を頼った)ジブン×ジンブンは来場者が1000人を超え、販売した会報もそれなりに売れたというところ。 あとは広報にもっと力を入れれば企画のプレゼンスも上がっていくだろう。 展示の内容に関して。 私もいくつか文章を寄稿した。来場者からの反応が聞けたのは嬉しいポイント。とくに建築学科の方ふ

          駒場祭所感 2019.11.24

          餃子と車と雨の日 2019.11.22

          フランスにいたときの仲間たちと、ドライブへ。 名古屋に住むひとりが上京し、紅葉が見たいとのたまったため。 計画を立てる能力を持つものが不在、当日朝まで筑波山に行くか日光に行くか決まらず。 生憎の雨と寒さ。 9時に八王子集合、コーヒーで暖を取りながらレンタカーへ。 しかしメンバーのひとりがお腹の調子悪く大幅遅刻、 さらにやっとのことで出発したものの、借りた車のカーナビが古く圏央道が表示されなかったためルートを間違えるハプニング、 都心方面の渋滞を避け、所沢まで一般道でいく牛の

          餃子と車と雨の日 2019.11.22

          ドライバーズハイ 2019.11.20

          朝から駒場祭の準備。 まずは方南町にあるホームセンターへ。写真のような展示什器に使うプラスチック段ボールを購入するため。 東京には大規模なホームセンターが少なく、地下鉄の範囲内でありながら郊外のロードサイド風店構えが可能な方南町という土地は貴重なもの。 行きは丸の内線で。 現物を目にすると、プラ段はとても大きくて3人で手運びできる代物ではないことがわかる。 幸運にもホームセンターには、軽トラ無料貸し出しなるサービスがあって、たまたまわたしだけ免許を持っていたので運転するこ

          ドライバーズハイ 2019.11.20

          モンテスキューとラヴェル 2019.11.19

          ラヴェルの弦楽四重奏の練習があった。 3楽章を、チェロパートで。 今回を含めればヴァイオリンで2回(1,2楽章)、チェロで2回(1,3楽章)この曲を弾いたということになる。お馴染み。 今日は昼から本郷で講義。 王寺健太先生の、モンテスキュー « Lettres persanes » を読むというもの。 パリへ来たウズベクから、祖国に残る最愛の妻ロクサーヌへの手紙。修辞に満ちた美しい文章であった。 ペルシャ人の口に、当時のフランスの状況や、彼らの倫理観、政治観などさまざまな要

          モンテスキューとラヴェル 2019.11.19