贈られたのは「くぎ煮」だけじゃなかった
朝一番にチルド便で来たお届け物・・・中身を私はもう知っている。
「いかなごのくぎ煮」だ。
送ってくれたのは、なっちゃん(次女)の夫のヒロトくん。
結婚して2年。まだ初々しい二人だ。
わたしは義理の息子にどうやって接して良いか、その加減がよく分からないのだ。
自分の子供が娘2人だったせいもある。
弱虫なので話をしても、気をつかってしまう。
その雰囲気が伝わって、ヒロトくんも私に気を使っている感じがする。
このコロナ禍で、会って話をする機会が少ないことも拍車をかけた。
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先月(2月)なっちゃんが熱を出した。1日で熱は下がったのだが。
このような社会情勢で周りは緊張した。
結局ただの風邪だったが、疑いが晴れるまで若い二人は自宅にかんづめになった。
そこで私が野菜や果物、温めればすぐ食べられる冷凍食品を2回ほど持ち込んだのである(窓越しに渡してすぐに帰った)。
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昨日ヒロトくんからこんな LINE が来た。
「風邪の時のお礼として、いかなごのくぎ煮をお送りしました。明日到着すると思います。」
いかなごのくぎ煮は神戸周辺の人のふるさとの味だ。
noter友達のへんいちさんの文でそのことを知っていた。
獲れるのは2月か3月の限られた期間のみ。
生のいかなごを買い求めそれぞれ自宅で煮る。このあたりの事情を理解できたのだ。
いかなごとは、関東ではこうなごと呼ぶ。
だからこう返信した。
そう、ヒロトくんは小学生まで神戸に住んでいたのだ。
父親の転勤で住んでいただけなので、今では直接の関係はない。
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ヒロトくんからの返信
初めてこんなに長く言葉を交わしたかもしれない( LINE だけど)
なんだかちょっと感動。
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柔らかくない。 この硬さこそくぎ煮の特徴。
「くぎ」とは釘に似ているから。
程よい甘さと歯応え。
ご飯によく合う。
ご飯とくぎ煮だけでお茶碗1杯食べられそう。
ヒロトくん、ありがとう。届きました。
すぐにLINEを送った。
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ヒロトくんは自分の思い出の味を、義理の母親に送ってくれたのだ。
くぎ煮と一緒に優しい思いを送ってくれた。
くぎ煮が美味しいのは、ヒロトくんの気持ちが伝わってくるから。
(なっちゃんをずっとよろしくね)
と、心の中でヒロトくんにつぶやいた。