- 運営しているクリエイター
記事一覧
春休みってこんなだったかな
春休みってこんなだったかな。
10代の子供達がけらけら笑いながら自転車で通り過ぎ、
昔ながらの電気店の店頭に置かれたTVでは、
ストライプの派手なジャケットを着たアナウンサーが、
場所が正確には思い出せないどこかの桜が満開になったと説明している。
滑っとした曇り空の夕暮れに、
コートを抱えたサラリーマンが、
スマートフォンにひきずられるように通り過ぎ、
その横の公園では、
もう暗くなって来たという
Daily Life+
なんでもない朝と特別でない夕暮れの隙間に日常を過ごし、
特別な朝となにかがあった夕暮れの隙間に追憶が紛れ込む。
春の始まりに降り忘れた驟雨をアルミ色の鳩が寄せ続けるように、
渇いた喉の奥に引っかかった昨日を熱いコーヒーで洗い流す。
雨雲が遠く見える地平線と28時間続く午後との境目は朧げで、
昨日までの異国がスーパーの買い物カゴの隙間に転げ落ちる。
そろそろ明日は来そうかと塗装の剥げ落ちた窓に反射す