弁護士 菅原洸介
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【裁判例メモ】商標権:立体商標の侵害(東京地判令和5年3月9日(令和3年(ワ)第22287号))(エルメスハンドバッグ立体商標)
第1 立体商標の類否判断 商標の類否判断は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所について誤認混同を生じるおそれがあるかどうかによって判断し、その判断にあたっては、商標の外観、観念、称呼等を取引の実情を考慮して総合的に考察することになる。 もっとも、立体商標の類否判断については、立体商標が立体的形状を対象とする商標であることから、商品又は役務の外観の類似が類否判断に与える影響は大きい。 立体商標の類否判断について、東京地判平成26年5月21
【裁判例メモ】商標権:審決取消訴訟(商標法第4条1項11号(商標の類否)(知財高判令和5年3月9日(令和4年(行ケ)第10122号))
第1 商標の類否の判断基準1 裁判実務 商標の類否について、最判昭和43年2月27日(民集22巻2号399頁【氷山印事件】)は、次のとおり判示した。 また、商標権侵害訴訟においても、最判平成9年3月11日(民集51巻3号1055号【小僧寿し事件】)は、氷山印事件を引用しながら、次のとおり判示した。 2 判断要素 (1)総論 商標の類否の判断においては、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所について誤認混同を生じるおそれがあるかどうかによ
【裁判例メモ】商標権:審決取消訴訟(商標法第4条1項11号(商標の類似性、指定商品等の類似性))(知財高判令和5年1月31日(令和4年(行ケ)第10090号))
※商標の類似性に関する主張・判断については、割愛 第1 商品・役務の類否の判断基準について1 裁判実務の考え方 リーディングケースとなる橘正宗事件最高裁判決(最判昭和36年6月27日民集15巻6号1730頁)は、商品・役務の類否の判断基準について、下記のとおり、判示している。 2 商標審査基準の考え方 特許庁編「商標審査基準〔改訂第15版〕」第3・十・11・20頁によれば、商品又は役務の類否判断の基準については、以下のとおりである。 第2 本件について1 事案の概要
【裁判例メモ】商標権:審決取消訴訟(色彩商標:自他識別力(商標法3条1項3号、2項))(知財高判令和5年1月31日(令和4年(行ケ)第10089号))
1 「商標」とは商標法第2条1項は、文字・図形・色彩等の「標章」のうち、業として商品を生産等する者がその商品について使用する標章又は役務を提供等する者がその役務について使用する標章を「商標」として定義する。 なお、商標権侵害が認められるためには、被疑侵害者が単に標章を付すだけでなく、自他識別機能、出所表示機能を発揮する態様による商標の使用(いわゆる商標的使用(「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標」(同法第26条
【裁判例メモ】商標権:審決取消訴訟(色彩商標:自他識別力(商標法3条1項3号等))(知財高判令和5年1月24日(令和4年(行ケ)第10062号))
1 「商標」とは商標法第2条1項は、文字・図形・色彩等の「標章」のうち、業として商品を生産等する者がその商品について使用する標章又は役務を提供等する者がその役務について使用する標章を「商標」として定義する。 なお、商標権侵害が認められるためには、被疑侵害者が単に標章を付すだけでなく、自他識別機能、出所表示機能を発揮する態様による商標の使用(いわゆる商標的使用(「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標」(同法第26条