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ロゴマークの制作依頼に関する著作権法上の留意点

会社やブランドのロゴマークについて、どのような対応を行えばよいか、といったご相談が増えています。
そこで、本記事では、制作会社・デザイナーなどに依頼する場合のロゴマークに関する著作権法上の留意点について簡単に説明します。
(※ロゴマークの商標法上の留意点については、本記事では割愛します。)


ロゴマークの著作物性

まず、「著作権法上の留意点」と題していますが、どんなロゴマークであっても著作権が発生するわけではありません。
著作権が発生するためには、ロゴマークが「著作物」である必要があるからです。
ロゴマークが「著作物」と評価されるためには、著作権法上の要件をみたす必要があり(著作権法第2条2項1号)、詳細は割愛しますがシンプルなデザイン文字などは著作物と評価されない可能性があります。
しかし、ロゴマークが「著作物」と評価されるか否かについて、専門家であっても事前判断は困難です。また、著作権が発生しないだろうと考えて対応を行わない場合、ロゴマークを無断で修正した場合などに紛争に発展する可能性もあります。
そこで、制作会社・デザイナーにロゴマークの制作を依頼する場合は、ロゴマークに著作権が発生することを前提に契約を締結することが望ましいでしょう。

◆ポイント
ロゴマークに著作権が発生することを前提に契約を締結する!

著作権譲渡に関する留意点

それでは、委託会社は契約の締結にあたってどのようなことに注意するべきでしょうか?
まず、制作会社・デザイナーに著作権が帰属したままでは、ロゴマークを自由に利用することができません。ロゴマークの利用にあたって利用許諾が必要になり、将来の利用方法によっては、その都度利用許諾を得る必要も生じます。
そこで、委託会社としては、ロゴマークに関する著作権を譲り受けることが望ましいでしょう。
また、合意の有無が後々問題とならないように、書面で譲渡合意をすることが望ましいでしょう。

◆ポイント
著作権を譲り受ける合意を書面で行う!

譲渡合意に関する留意点

上記のとおり、著作権の譲渡合意は書面で行うことが望ましいですが、ロゴマークの制作後に制作会社・デザイナーに対して著作権の譲渡を提案する場合、委託業務報酬とは別枠で対価が必要である等といった交渉が発生する可能性があります。また、場合によっては、譲渡できないという回答がなされる可能性もあります。
そこで、ロゴマークの制作依頼にあたり、制作会社・デザイナーとの間で業務委託契約等を締結することになるかと思いますが、当該業務委託契約書の作成時において著作権の対応をすることが考えられます。
業務委託契約書では、下記のような「権利帰属条項」が規定されます。

(条項例)
委託業務の履行として受託者が制作した成果物に関する著作権は、受託者に帰属する。

上記の条項は、極端な例ですが、「・・・著作権は、受託者に帰属する。」と規定されています。上記の条項のように、ロゴマーク(成果物)の著作権が制作会社・デザイナー(受託者)に帰属する場合、委託会社は著作権者の許諾なくロゴマークを利用することができません。
そこで、委託会社としては、以下の条項例のように、ロゴマークに関する著作権を譲渡するよう契約交渉をすることが望ましいでしょう。

(条項例)
1.受託者は、委託業務の履行として受託者が制作した成果物に関する著作権(著作権法第27条及び第28条に規定される権利を含む。)を委託者に譲渡する。
2.受託者は、委託業務の遂行の過程で制作した成果物に関する著作者人格権を委託者に対して一切行使しない。

保証に関する留意点

制作会社・デザイナーの作成したロゴマークが第三者のロゴマークに類似していた場合、自社のブランド戦略に支障をきたすだけでなく、第三者から権利侵害を主張される可能性があります。
そこで、委託会社としては、制作会社・デザイナーの作成したロゴマークが第三者の権利を侵害しないことを保証してもらうことが望ましいでしょう。

(条項例)
1.受託者は、受託者の知る限り、成果物が第三者の一切の権利を侵害しないことを保証する。
2.受託者は、第三者から委託者に対して成果物について何らかの異議、苦情等の申立その他の要求があった場合、受託者の責任と費用負担においてこれを解決し、これにより委託者に生じた損害を賠償する。

おわりに

ロゴマークの制作依頼に関する著作権法上の留意点について記載しましたが、上記は一例ですので上記以外の条項が重要になる場合も多々あります。また、条項例はあくまで簡単な例ですので、このまま契約書に記載することには適していません。
ロゴマークの制作依頼(受託)を行う場合は、「依頼事項と契約内容が合致しているか」「自分に不利な内容となっていないか」「必要な条項は記載されているか」など検討する事項は多岐にわたります。
そのため、専門家の助言を受けながら契約を締結することが望ましいでしょう。


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