木曜日はモグモグ食べること・フランス家庭の食卓から【洋梨】
食べたことがなかったのに洋梨が大好きだった私。
洋梨との出会い、それは高校生の時、喫茶店で友達と食べた洋梨のケ-キ。後にも先にも、この店のこのケ-キを食べたのは一度だけ。
何故ならその喫茶店は突如として現れ、突如としてなくなってしまったのだから。
高校生の頃、私が住んでいた地域では、喫茶店やレストランでケ-キの食べ放題というのが流行った。千円~千五百円位で時間制限付き。一時間半くらいだっただろうか。
たまに友達数人と連れ立ってケーキの食べ放題に行っていた。
ある日、学校がある街に新しい喫茶店ができた。
その喫茶店は、少し前までスナックとして、夜だけ営業していた店で普通の家の玄関のようなドアがあり、中が見えない造り。
外にあるスナックの店名が書かれた置き看板がなければ店だとはわからなかった。
そんな店がある日、突如として喫茶店になり、なんとそこでは洋梨のケ-キが食べられるのだという情報を耳にした。
食べ放題ではないけれど、洋梨のケ-キを食べてみたいという友達数人とそこに行ってみようということになり、中の見えないちょっと秘密めいた場所に足を踏み入れることにドキドキしながら、ドアを押してみた。
そこで食べた洋梨のケ-キは、薄いスポンジケーキに洋梨のム-スがのっかっている実にシンプルなものだった。
今までケ-キの食べ放題にでてきた甘いケ-キとはひと味違い、ム-スはほんのり甘くて洋梨の上品は香りが口いっぱいに広がる優しい味だった。
翌日、学校でその洋梨ケ-キがどんなに素敵だったかを他の友達に話し、また今度行こうと言っていたのに、それから間もなくして、なんとその喫茶店は閉店してしまったのだ。
幻の洋梨ケ-キ…。
洋梨と言えば、【ラ・フランス】
80年代初め【ラ・フランス】は、今のようにたくさん市場に流通していない珍しい果物だったように思う。高価であり、手に入りにくかったため、うちの食卓に姿を現すことはなかった。
そして、月日は流れ、次に洋梨との再会を果たしたのは、ここフランス。
今が旬の洋梨。
Conférence (コンフェロンス)
輸入ものも含めて、ほぼ一年中お店でみかける、たぶんフランスで最もポピュラーな洋梨、【コンフェロンス】
ひょろりと細長い形と下の部分の茶色の果皮が特徴。
熟れていないと果皮は緑色、熟してくると緑色が少しづづ、黄緑色に、黄色になる。
そして、指で押してみてほんの少し柔らかくなってきたら、食べ頃。
フランス人、洋梨の皮を食べちゃう人もいます!
甘くて、みずみずしいのが特徴の洋梨。特にこのコンフェロンスは甘くて実が柔らかい!
食後のデザートに丸々ひとつペロリと食べられる。あれ、この間は、食後にりんご丸ごと一つは無理って言ってたけど…。
フランス産で今年いちばん早く店頭に並んでいたのは、新種の
【QTee】(kiouti)キィウティ
【QTee】は、Williames verte とBroket Juli の交配種。
数年前から10か国で栽培され始め、フランス上陸は2017年。
4つの農園にて栽培が始まった。収穫期は8月中旬~11月末まで。洋梨の中でも特に小ぶり。ころんとした丸い形と黄色にロゼ色と赤の果皮が特徴的。
甘く香り高い。(フランスQTee公式サイトより抜粋、要約)
【QTee】は小さい洋梨の品種なので、食後でも丸ごとひとつ食べられる。【Conférence】(コンフェロンス)よりも香りが一段と高く、実は柔らかで甘い。
私の住む地域のス-パ-では、9月に入ってすぐに店頭に並び、10月には姿が見えなくなり、そして、他の品種がちらほらと。
9月中旬から11月にかけては、この品種が
左からWilliames verte (ウィリアム ヴェート)
ヴェートとは緑の意味。果皮が緑色。
真ん中の三つがウィリアム ヴェートが少し熟し始めたもの。
右、Williames rouge (ウィリアム ル-ジュ)
ルージュは赤の意味。果皮が赤い。
なんとなく、形が日本の【ラ・フランス】に似ていると思いませんか?
お味は上記の2種類とくらべると甘さが抑えめだけれど、食べると口の中に何とも言えない香りがいっぱいに広がる。
店頭に並んでいたのは、9月からで、11月下旬には徐々に姿を消していきました。
ウィリアム2種類とコンフェロンス
こちらは、友人宅にの庭になっていたひとつの洋梨。
洋梨と言っても、夏秋冬と市場に出回り、種類が豊富。
りんごほど種類はないけれど、数種類は店頭に並びます。
ただ今年はフランス各地を襲った4月の霜害で、かなりの果物に影響があり、収穫量が激減。
先日行ったス-パ-の洋梨の売り場には、こんなポスタ-が貼られていました。
思い出してください。4月の霜の被害を。形は良くないけれど美味しい洋梨です と。
最後に、みなさんが気になっていると思う
【ラ・フランス】についてお話します。
ざっくり言うと、フランスのス-パ-には
【ラ・フランス】という名の洋梨は売っていません。
1864年に【ラ・フランス】の品種が発見されたのですが、フランス及びヨ-ロッパの気候に合わず上手く育たなかったそうです。
そして日本に食用としてではなく、受粉用として導入されたのが1903年のこと。
日本の気候にぴったり合ったのでしょうね、盛んに栽培されるようになりました。
【ラ・フランス】は日本独自の呼び名で、フランスでは品種の発見者の名前で、Claude Blanchet (クロ-ド・ブランシェ)と呼ばれています。
でも ス-パ-でまだ一度もクロ-ド・ブランシェを見たことがありません。少しは生産されているみたいなんですけどね。
というわけで、今回は洋梨について語りました。
先週は【りんご】について書いています。
最後まで読んでくださりありがとうございます。感謝です。
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