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PRPを改めて考える⑥ ~整理・整頓・清掃、しっかり考えて!~

こんにちは! あたたけ です。

PRP集中連載の続きです。『JFS-C 規格文書 2.3適正製造規範』を参考に、PRPの(代表的な)各項目について順にまとめています。

※前回記事はこちらから

今回は、『整理整頓』についてです。

8.整理整頓、清掃、殺菌・消毒 ~『とりあえず5S』になってませんか?~

GMP 8 整理整頓、清掃、殺菌・消毒
組織は、危害要因分析に基づき製品固有のリスクを特定して、文書化された整理整頓、清掃、殺菌・消毒手順を確立し、実施し、維持しなければならない。また、製品固有のリスクを最小化できる手順が有効に機能していることを検証しなければならない。
清掃道具、洗浄剤及び殺菌剤は意図した目的に即したものが使用され、適切に保管しなければならない。
危害が予想される薬剤に対しては、食品安全上の情報を入手、及び確認すること。

いわゆる5S を規格に組み込んだものですね。
大抵の食品関連企業では『5S』は昔から取り組んでいますので、それを規格(≒組織の基本となる考え方)に組み込むという発想でしょうか。

てゆーか、いまだに一部の方には『衛生管理は5Sが全て』みたいな考えがあります。
5Sも大事ですけど、結局は『環境の管理(の一部)』でしかないんですよね。
『5SはPRPの一部分』と示さないと、国際規格(どころかHACCP≒工程の管理)に取り組む必要が伝わらないんですよね。

と、ここまで書いて、衛生的な作業の教育(≒工程管理の教育)の重要性が伝わらない原因に気づきました。HACCPとゆーものを理解してもらわないと、5S(とゆーか清掃)重視の仕事ばかりになるわけですね。そらそーやって話でした。
この辺りの理解が不充分だと、PRPとは別に『今までの5S』が存在することになり、混乱に繋がるような気もします。
何にしろ、この項目は『古くからの取り組み』を『今後の取り組み』にうまく繋げるポイントとなるだろうなぁと思います。

さてさて、5Sという文化は素晴らしいものだと思います。
が、『昔からずっとやっている』という点で、リスクもあります。
昔からやっている当たり前のこととして、見直し(=検証)をすることなく継続される可能性があるんですよね。で、有効性がないこと(ムダなこと)をずっと続けて現場の負担が増え続ける。。。。。
まずは、整理整頓、清掃、殺菌・消毒の意味を改めて理解しましょう。
『整理整頓、清掃』は見た目のキレイさの維持、『殺菌・消毒』は見えないもの(特に生物的危害)まで含めたキレイさの維持が目的というところでしょうか。

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さて、5Sのムダはなぜ起こるのか?
まぁ、一番は『ハザード分析しないで取り組む』ということでしょう。

『整理整頓、清掃(≒見た目の問題)』は製造作業の効率向上や気持ちの問題という点からも施設内全体で(必要であれば施設外の敷地まで)取り組むことが望ましいです。
が、やはり『ハザード評価に応じて強弱はつける』べきでしょう。
だって、強弱がないと『どこが大事か』伝わらないですから。
裏を返せば、『管理レベルに強弱をつける』ということが『ハザード分析』というものを伝える(≒教育する)ことに繋がるんですよね。
座学でハザード分析を説明するよりも、そっちの方が実感しやすいだろうなぁという気がします。

『殺菌・消毒(≒微生物の制御)』については、整理・整頓・清掃以上に強弱をつけた方が良いでしょう。
工場にお伺いした際、ごくまれにですが、包装済み製品のラインのふき取り検査や落下菌検査(≒生物的ハザードが制御されているかの検証)が実施されているんですよね。ムダ以外の何ものでもありませんね。
だって、包装済み製品を扱うエリアってことは、食品への汚染が起こらないエリアなんですから。

たしかに、ビジネスリスク(取引先訪問時の印象)の回避や、従業員の意識づけ(ブロークンウィンドウへの対応)で、見た目のキレイさ(整理整頓、清掃)は維持すべきですが、製品に対し微生物の汚染が起こらないのであれば、微生物の制御までは必要ないと思うんですよね。
『昔からやっている、他の場所もやっている、取引先に言われた』という理由だけで検査して、その対応で、日々アルコールや次亜塩素酸 Na での除菌がされている。。。。。。
どのような汚染リスクがあるか考えず、とりあえず5Sに取り組んだという、ムダな作業の典型例ですね。
てゆーか、検査することが目的の検証(C)ありきで考えられた取り組み(D)となっている時点で、PDCA サイクルがうまく回っておらず、形だけの取り組みになってるって話ですね。

スライド2

5S って、シンプルでわかりやすい良い表現だと思います。
が、『どこを(対象)どのレベルまで(評価基準)』をキチンと決めとかないと、食の安全は大事という先入観で、過剰な取り組みになりやすいんだろうなぁと思います。


あと、規格には薬剤のことも触れていましたね。
殺菌・消毒に使用する薬剤は人に有害なものがあります。
なので、薬剤による事故を防ぐため、食品安全上の情報を基に、適切な取扱い方を決め、従業員に周知することが大切です(労災防止のためにも)。

で、『薬剤の情報』となると『SDS』を集めておけば良いんでしょ?みたいに考える人もいます。
が、SDS を持っているだけでは事故は防げません。SDSはただの情報源です。『SDSを入手して終わり』ではなく、SDS含む、薬剤の仕入先からの情報を元に、運用方法まで決めないとダメですからね。

ではでは。
今回はこの辺りで!

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