なかがわ あすか

滋賀県生まれ、愛知在住のフリーライター 。「IDENTITY名古屋」編集長、sente…

なかがわ あすか

滋賀県生まれ、愛知在住のフリーライター 。「IDENTITY名古屋」編集長、sentenceコミュニティマネージャーをしています。好きなものは、夫とカフェラテ。ストーリーを大切にした、あたたかい文章を届けたいです。

マガジン

  • gate, by sentence

    • 36本

    ライティングを学び合うコミュニティ「sentence」の会員が運営する共同マガジンです。

  • ふたりの暮らし

    だいすきな夫との、ゆるい生活日記。

  • きょうの台所

    小さな台所から生まれる、ちょっとした幸せをコラムと共に。

  • なかがわ文庫

    気まぐれで、物語を書いていきます。 とびっきり、ささやかなやつを。

最近の記事

君に会えるまで、17時間21分の物語

一生忘れない、初めてのお産の体験を書き残そうと思う。 このnoteを書いた5日後、予定日の3日前にあたる日に本陣痛を迎え、無事に出産した。 これは出産を終えた3時間後に、昂る気持ちのまま綴ったメモだ。 最初はこのメモをもとにお産の体験を書き直そうと思ったけど、あとで読み返したら、出産直後のあのときにしか書けなかったであろう言葉が多かったので、ほぼコピペで載せることにした。 大切な君に会えるまで、17時間21分の物語。 *** 定期検診の時点で子宮口は1cm程度の開

    • 出産予定日まで1週間。今、正直に思うこと

      近所の喫茶店で、ホットのカフェラテを頼む時期になった。丁寧に泡立てられたフォームミルクは柔らかく繊細で、一口飲むと、まろやかな苦味が体の奥深くにゆっくりと染み渡る。 隣に座る夫が頼んだホットコーヒーからは、か細く湯気が立ちのぼる。その様子を眺めながら、深まりゆく秋寒にこわばる体と心が、しゅるしゅるとほぐれていくのを感じた。 ひと息ついた瞬間、ぽっこりと膨らんだお腹の内側がぐーんと押される。視線を向けると、お臍の右側に現れたのは小さな丘。手を添えると、小高い丘は自由に動き回

      • 大切な彼との間に、新しい命を授かった話

        両親が40手前に授かり、三姉妹の末っ子として生まれた私は、たくさんの愛情に恵まれ、大切に育てられてきた。 歳の離れた姉ふたりが、子どもだった頃は禁止されていた炭酸飲料やテレビゲームは、私だけ小学校に上がる前から解禁されていた。 祖父母は私がねだるものは何でも買ってくれ、共働きだった両親に代わり子守りをしてくれた姉ふたりは「出世払いでいいから」と、成人になってからも何度も奢ってくれた。 この間、実家に帰り夕飯に餃子を作ることになったとき、餃子の皮を包もうとした姉に対して母

        • 未経験からコミュニティマネージャーになって2年半。sentenceへの想いを本気で語らせてほしい

          拝啓 sentenceメンバーのみなさま。寒さが厳しさを増す今日この頃、いかがお過ごしでしょうか? コミュニティマネージャーの中川明日香(a.k.a ちゃんあす)です。あっという間に迎えた年末、みなさんが思い思いに年越しの準備をされているかと思います。2020年もあっという間でした。 先日、sentenceのSlackチャンネルでも、少しだけ今年を振り返った感想を投稿しましたが、覚えていますでしょうか? ここでお伝えした通り、2020年は本当にsentenceにとって特別

        君に会えるまで、17時間21分の物語

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        記事

          ポップコーンの“推し変”をした話

          先人の知恵や勇気に、両手を合わせて感謝する瞬間がある。 例えば、納豆。「煮豆を藁に包んで、長年放置しておく」という発想に至ることが(まぐれだとしても)すごいし、あれだけの粘り気、異臭がするものを「食べてみようじゃないか」と腹を括って最初に食べたひとは勇者だ。 私は「納豆は食べられるものだ」と知っているからこそ、勇気を出さずとも美味しく納豆を食べられる。見たことも、嗅いだこともなければ、味の想像がまったくつかないものを口に入れる肝は、到底、持ち合わせていない。 醤油も、味

          ポップコーンの“推し変”をした話

          夫婦で「交換日記」をはじめたら、夫をもっと好きになった話

          小学生の頃、一番仲のいい友達と、ふたりで交換日記をしていた。 その子は、どちらかと言えばクールな性格で、いつも落ち着いていて、中学校に上がる前からファッション誌の『CanCam』(モデルの山田優さん、押切もえさん、えびちゃんが大人気だった頃)を読んでいるような、大人っぽい女の子だった。 学校にいるときも、プライベートで遊んでいるときも、一貫してその印象が強かったから、彼女が突如、交換日記で「う○この歌を作りました」と発表して、自作の「う○この歌」を書いて回してきたときは、

          夫婦で「交換日記」をはじめたら、夫をもっと好きになった話

          地方生まれの私が、この物語に絶望しない理由——『明け方の若者たち』感想文

          8月2日、運営に携わっているライティングコミュニティ「sentence」で、カツセマサヒコさん著『明け方の若者たち』を味わう読書会を開催します。当日は、特別ゲストとしてカツセさんご本人も参加!!読書会に向けて、『明け方の若者たち』を呼んだ感想をここに記しておこうと思います。 深さのなかに、淡さも感じられる「青」の美しさまず心を惹かれたのは、表紙の美しさ。書店でこの本を見たとき、深さのなかに、淡さも感じられる「青」にグワっと引き込まれました。希望とも、絶望とも取れる色。その名

          地方生まれの私が、この物語に絶望しない理由——『明け方の若者たち』感想文

          夫の好きなところを100個書いてみた

          ノースリーブのルームワンピースを着て、夜の深い住宅街を歩く。少し前まで、夜の外出には薄手のカーディガンが手放せなかったのに、微かに吹く風の温もりは、すっかり夏だった。 右側、半歩先を歩くのは、私よりも幾分ラフな格好をしている夫。伸びた髪をわしゃわしゃと弄んでは、たまにこちらのほうを見て、それとはなしに歩調を緩ませる。二人のほどよい距離感の裏には、いつだって彼の努力がある。 ・ 夫と結婚して、一年が経った。 付き合って6年目の朝にプロポーズされ、私の誕生日である6月9日

          夫の好きなところを100個書いてみた

          「読む」ことで「書く」ことを取り戻す

          小さな雷にでも打たれたかのような、そんな感覚だった。頭から放たれた刺激がからだの中枢をひと息に駆け抜け、枝分かれした指先を、つま先を、じりじりと痺れさせる。 運命的な恋の話じゃない。一昨日の夜に参加した、読書会での出来事だ。 運営に携わっているライティングコミュニティsentenceで開かれた読書会は、なんとも新鮮なものだった。 それまで、私が参加してきた読書会は、「事前に本をまるまる一冊読み、各自担当の章を決めて該当の内容を発表する」が主流。しかし、今回の読書会は、約

          「読む」ことで「書く」ことを取り戻す

          無印良品と叶える“自家製のナン”で、おうちカレーをもっと楽しく|きょうの台所#7

          GW初日を迎えました。洗濯物を干すためにベランダに出ると、じわっと肌を照りつけるお日さまの気持ちいいことなんの。本来なら、電車や車に乗ってどこか遠くへおでかけしたいところですが、今は我慢のとき。 「せっかくの晴天なのになあ……」と卑屈になりそうな気持ちをそっと押し込めて、リビングにある大型のクッションに思いっきりダイブします。スマホのカメラロールを親指でさかのぼると、昨年のGWの写真がいくつか。 当時はまだ“彼氏”だった夫と、広島県の厳島神社や山口県の秋芳洞、大分県は別府

          無印良品と叶える“自家製のナン”で、おうちカレーをもっと楽しく|きょうの台所#7

          遠くの誰かを「叩く」より、近くの幸せを「守る」

          「たったの数ヶ月で、世界は驚くほどに変わってしまった」 SF映画の主役でもないのに、こんな台詞を現実世界で口にする日が来るなんて、夢にも思わなかった。でも、本当に変わってしまった。 コロナウイルスの煽りを受け、今、社会は大きく揺さぶられている。都市部を筆頭に全国の街からは活気が失われ、ネットの世界はいくらか殺伐としたものになってしまったように思う。 社会が日に日に落ち込んでいくなか、自分にできることは(家にいること以外)何にもない。そんな風に塞ぎ込んでいた。 けれど、

          遠くの誰かを「叩く」より、近くの幸せを「守る」

          ご機嫌な朝に食べたい、ズボラ美味しいフレンチトースト|きょうの台所#6

          朝、8時半。夫の携帯アラームが、鳴り始める時間です。 もそもそっと動く布団。長い腕がそろぉっと伸びて、甲高い音を止めます。束の間の沈黙を破る、ふぅっという夫の息。次の瞬間、聞こえてくるのは、寝室のガラス戸を控えめに引く音。張りのある、ニュースキャスターの声。 ぼんやりとした意識のなかで、いつもと変わらない朝の音が聞こえます。 あ、嘘。“いつもと変わらない”と言いましたが、大きな変化がひとつだけ。今週から、夫がおうちで仕事をするようになりました。テレワークです。 「仕事

          ご機嫌な朝に食べたい、ズボラ美味しいフレンチトースト|きょうの台所#6

          甘すぎるくらいがちょうどいい、ほっぺた落ちるダルゴナコーヒー|きょうの台所#6

          冷たい牛乳のうえに贅沢に盛る、ふわっふわのコーヒークリーム。最近、SNSで話題になっていた「ダルゴナコーヒー」に初挑戦しました! 韓国からじわじわと流行り出した新感覚のドリンク。「ダルゴナ」は、韓国語で「カルメ焼き」を意味するそう。レシピ自体は昔からあったものの、2020年に入って韓国の人気俳優が番組内で紹介したこと、YouTubeでその超簡単なレシピが公開されたことから、人気が爆発したと言います。 おでかけするのが難しい今、おうちで簡単にカフェクオリティ並のドリンクを作

          甘すぎるくらいがちょうどいい、ほっぺた落ちるダルゴナコーヒー|きょうの台所#6

          おこもりな朝を幸せにする、豆苗えのきのペペロンチーノ|きょうの台所#5

          外出を控えるようになって、数週間が経ちました。もともと在宅ワークがメインだったので、生活スタイルに大きな変化はありませんが、外に出る機会はぐっと減ったように思います。 そんなにアウドドア派ではない私。それでも、1週間のうち外出できるのが食料調達の数時間となれば、さすがに気分がへこたれると気づきました。 過去にこの連載で紹介した92歳の現役料理家、桧山タミ先生は著書のなかでこんなことを教えてくれています。 朝の光ってほんとにすごいんです。野菜や草花も、朝陽で植物ホルモンを

          おこもりな朝を幸せにする、豆苗えのきのペペロンチーノ|きょうの台所#5

          ふりかけがないと、ご飯が食べられない|きょうの台所#4

          最近、お味噌汁の出汁を取るのにハマっています。以前までは、顆粒だしを使っていましたが、お仕事でお世話になっている方にある本を勧められ、それを読んでいるうちに無性に出汁を取りたくなったのです。 もう、何度もなんども読み返している、宝物のような本。92歳ながら現役の料理家として活躍する桧山タミ先生が「食」を通じて、人生を豊かに生きる考え方を共有してくれています。 ページ数も半ばを過ぎたころ、『台所仕事の第一歩は、鍋炊飯と出汁とり』という見出しで、「家庭料理の味つけの土台は、自

          ふりかけがないと、ご飯が食べられない|きょうの台所#4

          四季に合わせて楽しむ「食」の美味しさたるや|きょうの台所#3

          明けましておめでとうございます。久しぶりのグルメ(?)noteです。前回更新したのが7月だったので、軽く半年以上はおサボりしました。 夫にはよく「飽き性だねえ」と笑われますが、子どもの頃は「一つのことをコツコツと」が得意なほうだったので、イマイチ認められずにいます。 練習が好きじゃなかったピアノも(なんだかんだ)11年間続けたし、保育園から始めた進研ゼミ(通信教育)は大学受験まで継続。中学のときは部活の朝練に欠かさず行ったし、「腹筋を割るぞ!」というざっくりした目標に対し

          四季に合わせて楽しむ「食」の美味しさたるや|きょうの台所#3