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創作など

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記事一覧

ぼくたちのすいーつたいむ

ぼくたちのすいーつたいむ

 ある町に、りくという名の小さな男の子が住んでいました。
 りくは小さなおうちでパパとママと一緒に暮らしていました。

 パパはお仕事がいそがしくて家にあまりいませんが、時間があるときはりくと遊んでくれます。お休みの日はよくドライブにつれていってくれます。りくがいい子にしていたら、「りくはいい子だなあ。だれに似たのかなあ」と言って、頭をわしゃわしゃとなでてくれます。

 ママは毎日おいしいご飯をつ

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黒い闇の淵から 【2000字のホラー】

黒い闇の淵から 【2000字のホラー】

 外来が終わり、中元優は腕時計を見ながら皮膚科診察室を出た。
 6年目の医者はまだまだ下っ端だ。外来が終わってもやらねばならないことは山ほどある。優は病棟へと急いだ。

 途中でスマホを取り出すと、妻の香織からLINEが届いていた。
 『今夜 お通夜に行くことになったから遅くなります』
 お互い医者だから、帰宅時間が遅くなるくらいではあまり連絡しない。珍しいなと思いながらも深く考えず、『了解』とだ

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宇宙杯 みんなの短歌大会

宇宙杯 みんなの短歌大会

人々もすなる短歌といふものを
私もしてみむとてするなり

宇宙杯の短歌部門に、下記の三首で参加させていただきます。
初心者ですがどうぞよろしくお願いいたします。

・ありし日の笑顔をたどる帰り道
 見上げし空に花咲き誇る

・きみの尾のリズムに合わせ草を踏む
 永遠に続けよ陽だまりの道

・ヒロインの年に追いつき追い越しぬ
 連載とだえ何度めの春

ひとつめは、弔問の帰りに満開の桜を見上げたときの

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Dark night, Moon light

Dark night, Moon light

第1話 妻の怒り

 またケンカをしてしまった。
 言いたいことをうまく伝えるって、どうしたらできるんだろう。

 結婚してそろそろ1年。なにもかもが新鮮でなにもかもが嬉しくてなにもかもが楽しかった頃は、もう過ぎてしまった。
 それでも、同じ家に帰ることが当たり前になったこの生活が愛おしい。大事にしたい。

 "結婚生活がうまくいくためのハウツー本"には、だいたいそんなことが書いてある。
 わかっ

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死人のおれとオニの指導者

死人のおれとオニの指導者

生まれて初めて創作を書きました…。
NNさまの企画に参加させていただきます。


約50時間ぶりに寮のドアを開けたとき、それはそこにあった。

小ぶりの植木鉢。
その中の土から、にょきにょきと何本も突き出た、ミイラのような指。
いや、指のような枯れ木のような…枝?

なんだこれは。
おれは働かない頭で考えた。
わからない。

とりあえず部屋の中へ移動させた。
こんな得体のしれないもの、ほかの研修

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