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心理療法でイメージを扱うことの意味・意義

美味しそう。このパンケーキ(写真)食べたい。
・・・じゃなかった。

心理療法でイメージを使うことの意味・意義についてです。
正直、臨床心理士になる前(&なりたて)の頃は、「イメージ?なにそれおいしいの?」という状態でした。

ありがたいことに、臨床心理士なりたての頃に働かせていただいていたところで行かせてもらった研修では「壺イメージ療法」について学んだことがありました。

私は、

「どんな研修からでも学ぶことはある。もし『学べることがない』と思ったら、それは自分がその研修から学び取れることを見つけ出せなかっただけだ」=つまり、どんな研修も(あるいはセラピーや検査も)価値がある

と考える方なので、壺イメージ療法から少しでも学び取ろう!と思っていましたが、実際問題としてはあまりピンとはきてない感じでした。

大学院時代から初心時代

フォーカシングとかも好きなので、大学院でフォーカシングを学んだ時には楽しくやっていたし、フォーカシングでは感覚とイメージを両方使うので「感性を使っている感じが好き」というふうに、下手なりになんとか学び取ろうとしていたように思います。

フォーカシングはたまに臨床で用いながらも、専門的には家族療法(のちにシステムズアプローチ)と解決志向アプローチをずっと勉強・実践することをメインにしていたので、「イメージ療法」や「イメージを何らか用いたセラピー」的なものからは遠ざかっていました。

イメージを扱うことへの大きな転機

そこで転機が訪れました。
いつもどおり臨床では解決志向アプローチを用いていたのですが、「カウンセリングに来る前よりだいぶ良くなりました!」と言ってはもらえるけど、なかなかこれ以上良くならない!というクライエントさんに出会い、「う〜ん、この人はトラウマが関連してそうだけど、トラウマってどんなセラピーあったっけ・・・何か良い方法ないかな・・・?」と探していました。

たまたま目に入った「EMDR」という文字。
「あ〜こんな目を動かすセラピーあったなぁ。なんか劇的に良くなるとか、そんなはずはないと思うけど、ダメ元でEMDRに賭けて?みよう」ということで、EMDRを学んだあとに、そのクライエントさんに初めて行ってみました。

すると、なんと・・・!これまで「これ以上は一行に良くならない」というところから一気に進み、その人の症状は完全になくなってしまいました。

「え、なにこれ。すご。」

ということで、EMDRを本格的にこれ専門にしよう!と思い、EMDRをどんどん学びだしました。その中でも「安全な場所エクササイズ」というイメージを使うワークや、「光の流れ技法」というイメージ技法はあったのですが、「とりあえず研修で言われたとおりにやってた」という感じで、あまりイメージが役に立っている実感はありませんでした。

イメージって、こんなに大切だったのか。

そして、EMDRから始まったトラウマ臨床は、TFT、催眠、ホログラフィトーク、自我状態療法、ブレインスポッティング、ボディコネクトセラピー、内的家族システム、ソマティック・エクスペリエンシング・・・と色んなものを学ぶようになりましたが、その学びの中、そして臨床実践の中でイメージの持つ強大さをたびたび実感するに至りました。

・安全な場所エクササイズだけで、安全感が回復し、症状が激減した例

・EMDRの中で、イメージがどんどん良い方向に変化していった例

・催眠の中で自我が強化されて、EMDRに耐えうるようになった例

・自我状態療法やホログラフィトークでの、パーツ(イメージ)とのコミュニケーションにより、症状が変化/消失、パーツが統合、癒やしが得られてQOLが劇的に向上した例

など、イメージを用いたことによる恩恵は、枚挙に暇がありません。

今になって思えば、トラウマ自体がイメージを大きく伴うものなんだから、イメージが役に立つのは当たり前のような気がします。「目には目を」じゃないけど。

イメージの大切さと、無闇に扱うことの怖さ

昔はイメージを軽視していたと思うけど、今やイメージワークなしではトラウマ臨床がやっていけません。イメージ療法を甘く見ていました。インナーチャイルド・ワークとかやってる臨床心理士は見なかったし、逆に臨床心理士以外の人で「インナーチャイルド・ワーク」とか「ゲシュタルト療法」とかやってるのが多いように思って、軽んじていました。軽く見てすみませんでした。。。

今は違います。インナーチャイルドやゲシュタルト療法には意味があるんだなぁと思っています。

ただし、それと同時に
「インナーチャイルドを扱う」とか「エンプティチェア」とか、自由にやっている臨床心理士じゃない人(臨床心理士でも多少いると思うけど)は、それなりにたくさんいるけど、

「十分アセスメントや準備しないで、これ無闇にやるのは怖すぎる!」

と思いました。


イメージ療法に限らず、専門家が発信していく必要性

きっとクライエントさん(になるかもしれない人)には、色んな人がいるでしょう。

・イメージとか身体感覚とか、催眠とか全く信じてないから!エビデンスのある認知行動療法だけやってくれ!という人

・イメージワークとかインナーチャイルドとか面白そう。でもカウンセラーって誰でも同じ?臨床心理士なにそれ?という人

これらの人たちが、自分で選んでカウンセリングに行くんだから「自己責任」と済ませることではありません。ふつうにこの世界とかかわりなく生きていると、理解しにくいことばかりだから、一般の方々がちゃんと自分で選択できる土台を作るために、専門家はよりわかりやすい形で情報提供・情報発信するべきだと思います。

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