【#02】材料力学の強化書 〜静力学的なつり合い条件〜
今回のトップはJR御茶ノ水駅に掛かる聖橋です。
橋の設計というのは、材料力学で重要な成果のひとつです。上から荷重が与えられても崩れない(崩れたら大事故です)。外力が与えられても「静止状態」を維持できているということです。
そんな訳で、材料力学の話を進めましょう。
前回は材料力学で扱う「連続体」の概念について説明しました(高校物理の復習にも触れました)。
実はもうひとつ重要な前提知識として、タイトルで書いた通り「静力学的なつり合い条件」という考え方があります。これは物体が自ら運動しないことを示しているのですが、今回はこの話について詳しく掘り下げていこうと思います。
静力学と動力学
静力学と動力学の違いを端的に言うと、静止している物体を対象とするのが「静力学」で、運動している物体を対象とするのが「動力学」です。
物体の運動はまた別の学問の話になるので、材料力学では基本的に扱いません(時を同じく大学の過程で学習する「機械力学」の話になります)。
そして、静力学を考える上で必須となるのが「力のつり合い条件」です。つまり、材料力学では「静止している物体が力やモーメントを受けても静止し続けるための条件」を常に考えることになります。
力のつり合いについては、前回でも例を出しました。下記の斜面で静止し続ける質点に関してです。この場合は質点の話なので、モーメントのつり合いまでは考えませんが、斜面水平方向と斜面鉛直方向で力のつり合い条件を導きました。
$${mgsinθ-f=0}$$ , $${N-mgcosθ=0}$$
それぞれ、斜面水平方向と斜面鉛直方向に対応した式です。材料力学では、この考え方を常に最初に持ち出しますので、ぜひ忘れないようにしましょう。
内力と外力
一般的に物体に力を与えると、与えられた側にもそれと同じ大きさで向きが逆の力を受けることになります。これを「作用・反作用の法則」と言いますが、力学で扱う力は常に作用・反作用の一対の組で存在します。
下記の通り、高校物理では「外力」という概念に限定して考えていました。外力の同士で作用・反作用の法則に従い、全体で力のつり合いが成立する。ここまで話を進めていたかと思います。
材料力学では、外力が作用すると棒の内部には外力に抵抗する力が生じると考えます。この抵抗する力が内力です。外力を受けても、物体は何も変化が無いように見えます。これは外力と内力が釣り合うからです。
仮に内力が発生しなければ、外力を受ける物体は一方的に自由に変形してしまいます(静止状態というのが崩れてしまいます)。
そして、この内力のことを材料力学では「応力」と言います。最も材料力学で登場する言葉です。よく「○○応力」という言い方をします。
応力の定義(単位系)
物体が外力を受けるときに内部で抵抗する力(内力)のことを「応力」と説明しましたが、より正式な表現をすると「単位面積あたり」で発生する内力のことを指しています。
単位面積あたりというのは、内力(力)の値を断面の面積で除した値のこと。力の単位は「N」なので、応力の単位は「N/㎡」ということになります。
これは圧力の単位と同じで、パスカル「Pa」と表すこともあります。
数値計算を行う場合は、この辺の単位系を混同しないようにしましょう。それぞれ意味合いを理解すれば、自ずと防げることでもありますので。
おわりに
今回は材料力学でもうひとつ重要な前提知識である「静力学的なつり合い条件」について説明しました。
力のつり合いというのは、既に高校物理で学習している内容です。材料力学でもだいじな考え方になるので、これを機に復習しておいて頂けたらと思います。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。
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