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わたしの本棚

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わたしの読書記録です。
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2024年1月の記事一覧

本棚:『おいしい旅 しあわせ編』

『おいしい旅』は「想い出編」と「初めて編」があり、それに続く「しあわせ編」。アミの会によるアンソロジーでして、アミの会とは女性作家による集団で、メンバー以外の作家がゲスト参加することもあります。 本作で私が一番好きだなと思ったのは、ゲストの三上延さんの『美味しいということは』。三上延さんといえば、一時期『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズを読んでました。話題になった時期よりだいぶ遅れてましたが。 美味しいということがどういうことなのかは、人によって答えはさまざまだと思いますが

本棚:『キケン』

成南電気工科大学に数ある部活の1つ「機械制御研究部」、略称【機研(キケン)】。部長は人懐こいものの、渾名は世界一有名な爆弾魔ユナ・ボマー。副部長は目つきが鋭く無駄に迫力がある、通称、大魔神。そして鍛えられた後輩たち。彼らの築いたキケンの黄金期とは…。 大学は工学部だったので、男子学生が多く、男子と女子が半々ぐらいだった高校までとは違うよなぁ~と思いましたが、完全に男子のみだったら、また違ったのかぁ。そして、それは男子でない以上、体験できないわけですね。 楽しい時間は、その真

本棚:『ふたりの距離の概算』

古典部メンバーは高校2年生に進級。そして、新入生の大日向が仮入部するも、本入部届の締め切りであるマラソン大会の前日に入部しないと告げる。しかも、原因は千反田のようだが…。 古典部シリーズは、「氷菓」「愚者のエンドロール」「クドリャフカの順番」「遠まわりする雛」に続くのが、「ふたりの距離の概算」「いまさら翼といわれても」でして、どれもタイトルがかっこいいよなぁと思います。これまでの4作は、ふだん利用する図書館で借りたのですが、その続きをなかなかお目にかかれず。もしや、ここには

本棚:『本を守ろうとする猫の話』

幼い頃に両親が離婚し、さらに母が若くして他界したため、古書店を営む祖父と二人暮しだった高校生の夏木林太郎。しかし、祖父も亡くなり、学校には行かず、引きこもりとなった彼の前に現れたのは一匹のトラネコ。 猫好き、かつ、本屋さんを舞台にした本が好きな身としては、なんとも惹かれるタイトル。でも、なんで猫?トラネコ?と思いましたが、著者本人による解説にて、あのトラネコかぁと思いました。ただ、物語に出てくる古典と言われる本たちは読んだことがなく…。 たくさん本を読んでいる方がすごいとか

本棚:『今やる人になる40の習慣』

「いつやるか?今でしょ!」で有名な林修先生の本。2013年発行なので10年以上前の本になりますが、なんとなく今読んでも参考になるんじゃないかなという気がして、手に取りました。 「いつやるか?今でしょ!」はあまりに有名で、やろうかどうか躊躇った時に自分を鼓舞するために言ったりしますが、言葉には力があるなと思います。本書で紹介されているエヴァンゲリオンの「奇跡を待つより、捨て身の努力よ!」は知りませんでしたが、いい言葉だなと思いました。 40の習慣のうち、最後にあるのが『「人生

本棚:『真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒』

シリーズ第2弾。「恋泥棒」という表現は、粋な感じがしますが、登場する恋泥棒は身近にいたら結構大変だというか、扱いに困るというか。でも、あえて真夜中に営業しているパン屋さんですから、その理由に込められているとおり、誰かの傘となって救ってくれるはず。 前作から比べると、真夜中のパン屋さんに転がりこんできた高校生、希実は文句は言いつつも、楽しそうにやっているし、周りの面倒もみて、大人になったなぁと思いました。 今回の物語の季節は冬。冬の始まりの頃から表紙のイラストにあるようにバレ

あの頃に読みたかった本

小学校の低学年までは読書嫌いだったものの、小4の時の先生が、毎朝本を読んでくれたことから本を読むようになりました。そして、中学のころには母の同僚の娘さんが読んでいたというコバルト文庫をたくさんもらい、図書室には置いてない本にも興味を持つように。 中学の頃によく読んだのは、『ぼくらの七日間戦争』の「ぼくらシリーズ」や「三毛猫ホームズシリーズ」とコバルト文庫。でも、高校の頃が一番 読書から遠のいていて、大学時代もはじめての一人暮らしで、大学の図書館はよく利用していたけれど、市の図

本棚:『文庫旅館で待つ本は』

凧屋旅館は客室が四つしかないものの、昭和初期くらいまでの古書が比較的よい状態で結構な点数が揃った書庫があり、宿泊客は自由に閲覧できる。しかし、若女将の円は本が読めないという…。 名取佐和子さんの著作との出会いは『金曜日の本屋さん』シリーズ。本屋さんや図書館、図書室、それから出版社を舞台にした作品は気になりまして、まずはタイトルにある「本屋さん」に惹かれて。そして、表紙のイラストが私が子どもの頃のコバルト文庫みたいだなと思ったのも、さらに気になりました。 本を読むのは好きな方

本棚:『夕闇通り商店街 コハク妖菓子店』

神社の境内の奥に忽然と出現する夕闇通り商店街。その商店街の端にあるのは「コハク妖菓子店」。並んでいる商品は「よくばりこんぺいとう」「とうめい和三盆」などの可愛らしい和菓子。しかし、この店にたどりつけるのは、存在が不安定になってしまうほどの悩みをかかえた者だけ。 それぞれの話の主人公は、もちろん「コハク妖菓子店」にたどりついてしまうほどの悩みの持ち主。買ったお菓子には店主の狐月が込めた妖力により特殊な効果があり、食べるとふだんとはちょっと流れが変わりまして…。狐月のお菓子がき

本棚:『ソロキャン!2』

続編が出てたんだ!と思って手に取った第2弾。出だしは、職場の面倒な後輩をキャンプに連れて行くハメとなり、「あら今回も大変そうね」と思ったものの、徐々にいい流れとなりまして。 わたし自身は、キャンプの経験ゼロですが、確かにソロキャンなら荷物も事前によくよく吟味して持って行かないといけないから、鍛えられるなと思いました。頼れるのは自分だけ。と言っても、あれもこれも持ってはいけないですし。 私の場合、もう何度もやっているはずの帰省でも「あれ忘れた!」とか「これは要らなかった」とか、

本棚:『おうちごはん修行中!』

仕事はバリバリにできるのに料理は天才的にできない34歳の和紗。メタボ予備軍と診断され、自炊を始めようとすると、同期でライバルの村越が料理バトルをけしかけてきて。(『メシマズ狂騒曲』改題とのこと。) ラブコメと裏表紙にあるように、和紗が本当に鈍感で、でもちょいちょい分かる村越の気持ちにニヤニヤ。いつも喧嘩ばかりだけれど、無事に友達以上となり、良かったです。村越が偉いな~と思いました。 和紗も村越も仕事は優秀なんだけど、料理は全然ダメ。でも美味しいものをよく食べているだけあって、

本棚:『凜として弓を引く 青雲篇』

高校2年生になった楓。弓道会の仲間の賢人から、高校で弓道部を作ることを持ちかけられ、部長となることに。 中学や高校なら、3年間だけ…というか、部活をできる期間は3年より短い中で、先輩・後輩がいて、教えたり、教えられたり、特殊な空間ではあるなあと思いました。 今まで、弓道会では一番下で先輩からいろいろ教わっていた楓が、高校では教える立場となり、迷いながらも成長して行きます。 仕事でもいつの間にか「教わる」から「教える」場面も増え、教えるとなれば、ちゃんと理解していなければいけな

本棚:『嘘つき女さくらちゃんの告白』

美少女だけど中身は空っぽの嘘つき。でもその可愛い顔でニコッとされたらどうでもよくなるのかもしれない。何かの思い違いだと言い聞かせて。 簡単に言ってしまえば、八重子(「さくらちゃん」と呼ぶのも嫌なので…)は、サイコパスなのかもしれませんが、嘘の程度の差こそあれ、人をうまく利用して…というのは世の中ではたくさんあるのでしょう。なぜ才能のない人間が、才能のあるフリをするのか、しかも他人のものを盗んでまで。読んでいて腹立たしく思ってしまったけれど、本当は仕事ができないのに仕事ができ

本棚:『太陽の坐る場所』

F県立藤見高校の旧3年2組のクラス会は、卒業以来、ほぼ1年に1回、卒業から10年経った今も開催されている。しかし、女優となったキョウコはずっと参加していない。クラス会のメンバーはキョウコを参加させようと画策するものの…。なぜキョウコはクラス会に参加しないのか。 終わりに近づいたところで気づいた「ある仕掛け」にやられた!と思い、今まで読んだところをパラパラと読み返しました。あぁ、そうだったんだ!完全に勘違いしていたな、と。耳読よりも目で読む読書をお勧めします。 自分の高校時代