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本棚:『文庫旅館で待つ本は』

凧屋旅館は客室が四つしかないものの、昭和初期くらいまでの古書が比較的よい状態で結構な点数が揃った書庫があり、宿泊客は自由に閲覧できる。しかし、若女将の円は本が読めないという…。

名取佐和子さんの著作との出会いは『金曜日の本屋さん』シリーズ。本屋さんや図書館、図書室、それから出版社を舞台にした作品は気になりまして、まずはタイトルにある「本屋さん」に惹かれて。そして、表紙のイラストが私が子どもの頃のコバルト文庫みたいだなと思ったのも、さらに気になりました。
本を読むのは好きな方だと思うのですが、国語の成績は散々でして、作者の意図なんてお構いなしに、自分の好きなように勝手に解釈してしまうからだと思っています。だから、なんとなく引け目みたいなものがありました。でも、『金曜日の本屋さん』で、読書は個人的な体験だから好きに読んでいいんだと思えるようになりました。また、実在の本がたくさん登場するので、知っている本があれば嬉しいし、知らない本は読みたくなるし。

本書で登場するのは、川端康成「むすめごころ」、横山利一「春は馬車に乗って」、志賀直哉「小僧の神様」、芥川龍之介「藪の中」、夏目漱石「こころ」。「小僧の神様」と「こころ」はタイトルは知っているものの…。知らない本、読みたい本は増えるばかりです。


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