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成城散歩 〜成城五丁目猪股庭園(猪俣邸)〜

こんにちは!アーキロイドの福井です。
万緑の季節、庭と一体になる猪俣邸(1968年竣工)の見学に行ってきました。
設計は、数寄屋建築の設計で有名な吉田五十八(イソヤ)。

成城の街の開発が始められた1925年頃から、街の規定に塀の種類は生垣のような透けて見えるものと決められていたそう。今も、2002年制定された成城憲章により良い街並みを守っていこうというルールがあります。

その一つに「塀の種類は生垣のような透けて見えるもの」という決まりがあった。
ちょっと緑もりもりでちょっと分かりにくいですが、正門は道路より一歩後退して配置され、生垣の高さに合わせて門の屋根の高さが決められています。道路から眺めた時、屋敷内の松の梢の間から見える屋根のラインを美しく見せるバランスで設計されていて、門をくぐる前からうっとりします。
道路から見ると、大きな敷地面積に立派な庭!なので豪邸に間違いないと思うのですが、低く抑えられたプロポーションは慎ましくて佇まいがいいです。

まずは、猪俣邸の平面図の確認を。
規模が大きい住宅になると、奥が暗くなりがちなのが悩みの種ですが、中庭を二つ配置することによって南北に風が抜け、どこからでも緑や光を感じられる躍動感が生まれるプランになっています。図面左(東)側の玄関から入ると、地窓越しに中庭を感じ、ホールへ上がると居間の南側の大開口から大きな庭へ視線が抜け、居間に入ると南北の庭に驚いて・・・と歩き回ってもまったりしても心地よい。

ダイナミックな居間は、長押(ナゲシ:開口部の上にある板)や柱、廻り縁(マワリブチ:壁と天井の間にある板)がしっかりしていて、骨太な力強い印象です。
壁だけ見ると和室のようですが、1968(昭和43)年当時から絨毯敷きだったそう。

居間の北側には、食堂があります。中庭からの光でとても開放的な場所です。
写真をよ〜く見ると、板張りの菱形の角が敷居にピタッとあっていて…言うまでもなく細部まで素晴らしい建築です。

長く喋りすぎたので、また明日〜。福井


成城五丁目猪股庭園(猪俣邸)
世田谷区成城5-12-19
https://www.setagayatm.or.jp/trust/map/pcp/


『福井典子の家』ーあたりまえを磨く滋味深い家ー
のWEBサイトを公開しております。ぜひご覧ください。
設計のご相談・ご依頼お待ちしております。


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