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(詩)暦の上では
誰かと別れても
さっさと別の
新しい人を見つけ
うまく付き合ってゆける
そんな人を見ならって
器用に生きてゆければ
こんなふうに
さびしい想いをしたり
人前に不様な姿をさらして
生きることもなかったろう
そんなふうにいつも
新しい誰かを探して
あたりを見回してみる時
人込みの中に
素敵な誰かを見つけようと
見渡してみるけれど
やっぱりいつも
ぼくはどうしても
あなたを
思い出してしまう
あなたのことを
どうしてぼくたちは
出会ったのだろう
どうしてあなたは
ぼくの前に現れたのだろう
そしてその
あなたの誠意に対して
ぼくは
あの短いとしつきの中で
充分にあなたに
あなたのやさしさに
こたえて
あげられただろうか
どうしてあの日
あなたは、と
そんなふうにいつも
あなたのことを
思い出してしまうから
ぼくはまだあなたを
卒業できて
いないようです
あれから何度も春は訪れ
三月は、あれから
卒業してゆく学生たちを
街で何度もなんども
見かけてきたはずなのに
やっぱりあなたを
思い出してしまう
暦の上では
もうちゃんと
別の人を好きになっても
いいはずなのに
暦の上では、ね
※シーズンに合わせた再投稿です。