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この美学、理解されないかもしれない。ようは三島なんだ。お年寄りに、とくに頑固じじいにオススメする【読後感想】佐藤究『幽玄F』
突然だが、三島由紀夫は『仮面の告白』『潮騒』『金閣寺』の3点しか読んでいない。積本としてはまだ3作品ほどある。先にあげた3点はどれもよかった。とてもよかった。ちょっと次元が違うと思わせるほどの美文だったと記憶している。しかし最後に読んでから3年はたっている。3年も、なぜだか三島を読んでいなかった。これはたぶん、もう分かったからだと思う。他の作品も、きっと全部ヤバイ。もちろんいい意味で言っている。老後の楽しみじゃないが、きっと色褪せない。だからじゃないが、『豊饒の海』もその時に読むのを楽しみにしている。
本書、『幽玄F』ではそんな三島の『豊饒の海』の引用から始まる。だから僕も少しだけ三島について話した。そして本書は、じつに三島だった。
本書を読んだきっかけは、当然『テスカトリポカ』を読んだからに他ならない。あれは、ヤバかった。『幽玄F』の話の前に簡単だけど『テスカトリポカ』について書こう。
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『テスカトリポカ』
第165回直木賞受賞作
2021年
ヤバイ本
クライム
85点
12.5h
コメント:重厚感があって、すごい小説だった。暴力シーン・内容が、ヤバい。ビジネスは麻薬から臓器へ。またアステカ神話を絡めることによってより濃厚に。知らない世界を見せてくれる。実写化不可能。ただラストが気に入らない。
とりあえずこんな本だった。
すごいもんを読んだと思ったね。こういうエンタメを読めば、たしかに身辺雑記を語るような純文学なんかじゃ到底太刀打ちできないと思ったよ。もちろん比べるものでもないが、とにかくすごい読書体験をさせてもらった。それは単に「面白い」という点でだ。しかし、純文学の名誉を守るわけじゃないが、内省の深さを楽しみたいのなら、どう考えても純文学に軍配があがるわけ。だからじゃないが、やはり土俵は違うわけで、だがしかし純粋に面白いというのはすごい強みだよね。我ながら、なんて変な文章なことだww
そして、次作が出た。
520枚一挙掲載!
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2023年
シビレル本
SF
75点
7.0h
ジャンルは「SF」としたが、なんだろうな、よく分からない。極論、未来の話ならSF……なのか。どうだろう。
で、75点。つまらなくはない。面白さに少し欠けているだけ。話は時系列に沿って書かれていて読みやすい。だ・け・ど、前作ほどのトゲがない。
丸く、優しかった。だんだん尖っていって、そしてあのラストなんだが、僕は好きだけど、あれはあまり理解されないと思う。
偏見があるわけじゃないが、広く一般的に女性に、また、現代の若者には難しい美学なんだと思った。
そう、美学なんだ!
だからきっと三島なんだろうが、これはね、お年寄りに、とくに頑固じじいにオススメするよ笑
夢・空・自由・無限……
やっぱり
80点にしようかな汗
こうやってアウトプットすれば、心が変わってくる。ある意味、課題図書でもいい。主人公の易永透(やすながとおる)の心を探れ。明確な答えなんかないのだが、考えることに意味がある。
小説を読み進めれば、透の考えが言語化されている。たとえばこうだ。
なぜ俺は、向こう側にいないのか。
これは、思考を言語化している。
しかし、
そのとき透は、自分がなんのために生まれてきたのかを知った。
これはどうだ。もちろん読み進めれば、思考の輪郭は誰にだって読み取れる。が、その細部、その中心の見方はそれぞれだ。これを考えるのはとてもいい。間違ってもこれをQにして、簡単な上っ面だけのAを用意しちゃいけない。たしかに一般論としてのAはあってもだ、深さが違う。僕は、この一文が本書、『幽玄F』のなかで、一番挑戦的だと思った。なかなか書けない。この一文は、書いたことに責任がある。もちろん成功している。『幽玄F』は十分に成功していた。色んな事が考えられるからだ。安易に使う一文じゃない。だけどよかった。考えすぎかもしれない。
同じページで付箋を貼った箇所があった。透の心の話じゃないが……これもそうなのかもしれない。地の文なのかもしれないが、そうじゃないかもしれない。勝手な発見だ。
自由と墜落、2つの矛盾する可能性が、1枚の紙よりもはるかに薄い、青く透きとおった光のなかで、完全に表裏一体となっていた。
で、
「易永二尉、おまえはこの仕事で英雄になりたいのか?」
「いえ、そういうつもりは……正直なところ、私には日の丸も国家も背負えません」
「この仕事で死にたくないってことか?」
「いえ、覚悟はつねにできています。ただ私は戦闘機という機械に乗りたかっただけで、その戦闘機の飛ぶ空が<護国の空>だったのです。私には、いまでも順序が逆なんです」
ここね、この告白。ここは要チェックかな。
ほかにも名言みたいなこと ↓
――結局、人生は退屈か冒険かの二択だと思うね。で、空を飛ぶのはいつだって冒険だよ。
と、なかなかシビレルところはここ ↓ 前文がないと分からないだろうが、それは書かない。ただ文章のパワーだけ感じてくれればいい。
同時に、ひさしく忘れていた感覚が、シングルモルトの熱と相まって自分のなかによみがえってくるのを感じた。それは地上で味わう人生の影を駆逐するなにかの予感だった。
やばいっしょ!
駆逐って、透が堕ちていく。ダークサイドに……先日も『トリリオンゲーム』第4話を観てで、同じようなことを書いたな笑
また読んでいる最中、どうしてか分からないが真藤順丈の『宝島』を読んだ時と同じような感覚に襲われた。なんだろうな。
さいごに、かるーくだけど、どんな話なのか書く。最初に書けってツッコミもあるかもしれないが、僕が書いたことは筋がどうのこうのって話じゃない。あくまで読書感想文だよ。
どんな話?
易永透は、2000年に東京の四谷で生まれた。あまり恵まれた家庭環境とはいえない。空を自由に飛ぶ飛行機には憧れがあった。友達ができた。一緒に飛行場に行っては写真を撮ったり、眺めた。ある時、空の、青の正体が知りたくなった。少年は、飛行機乗りになることを決めた。少年は、いつの間にか大人となった。一流のパイロットになった。がしかし、「転」。易永透は生きるための何かを喪失した。日本を離れ、気がつけば40手前。そして透の目の前に再びアレが……
刮目せよ! 易永透の生き様を、美学を!
うーん。パッとせん。
少年は、空を夢見、そして空へはばたく――
空を支配するGに取り憑かれ、Fを操る航空宇宙自衛隊員・易永透が地上に願うものとは。
直木賞と山本周五郎賞を受賞した『テスカトリポカ』から2年。
日本・タイ・バングラデシュを舞台に「護国」を問う、佐藤究・圧巻の第4長編、一挙掲載。
やっぱ、これがムズイね汗
下段は雑誌、原文ママ笑
どっちがいいかな?笑
やめとこ、これで〆る。
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