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気持ちのリハビリの記録|膠原病退院後の生活【その14】 復職後一カ月『うつの日内変動を何とかしたくて、プールに行ってみた』

車で出勤した日は、朝の通勤時の歩行約2㎞がなかったせいか、午前中から足元がフラフラ。

気持ちの落ち込みが、生活にかなり影響している。
改善の可能性があるなら、全部の方法を試してみたい。
早く今の鬱々とした状態を突破したい。

そんな日々の日記です。

🔹「本物の自転車」に乗ってみた休日

入院中から「気分をアップするのに効果的かも。有酸素運動のせいかな?」と思っていた自転車。いよいよ、本物の自転車に乗ってみた。
私は自転車を持っていないので、知人の自転車を借りて、車が来ない道で跨った。サドルに座るのは、久しぶりの感覚。何だか初めて自転車に乗るような気分で新鮮だった。

恐る恐るこぎ出してみる。

足が何度もペダルを踏み外した。
足の位置感覚がマヒしているせいで、回るペダルの上に、足を置いておくいことができなかった。やっぱりだめか…
予想はしていたが、ごく簡単な当たり前の動作ができなくなっているのは、ショックだった。

本物の自転車ではなく、マシンを検討しようかなとも思う。でも本当は、まだ諦め切れない自分がいる。
もし「本物」でいくならば、こぎ出しで力を入れる時が一番不安定。だから、電動アシスト自転車なら、踏み込みが良いかもしれない。スポーツ自転車のように、ペダルにつま先を固定するトゥ・クリップとストラップをつければ可能かな等と考え、あがいている。

自転車のマシンがあるのは、家から3~4kmの所にあるフィットネスクラブ。そこにはプールもある。プールは感覚マヒ改善のためにも、是非やってみたいな。


🔹無理やりプールに行ってみた日曜日

今日は日曜日で、仕事は休み。起きたら昼だった。どうにも体調が良くない。昨日から、足のしびれがひどくなっているような感じで、歩行が不安定だ。

このまま家にいると、昼から再び寝るか、鬱々と過ごすに違いない。
すると、午後の遅い時間に飲んだステロイドが消費し切れないからなのか、夜になっても目が冴えていて、眠れなくなる。睡眠時間のずれと不眠で、明日フラフラになるに違いないのだ。

こういう毎週末の悪循環のサイクルを断ち切るために、何かしなければと思った。

それで、雨の中、無理やり家を出て、車で区民プールに向かった。以前一度行ったことのあるプールだ。
今まで私は、もったいぶって、まるで最後の秘策がそこにあるかのように、なかなかプールには行かなかった。
そろそろ前に進まなきゃならない。それで、こんな形で、あっけなくプールに行くことになった。

更衣室に入ると、温かい空気は湿っていて、小学生の頃の記憶だろうか、塩素の匂いにドキドキした。足の裏に感じる、更衣室の濡れた床がなつかしい。
転ばないようにベンチに座って慎重に水着に着替えて、プール再度に向かった。

日曜の午後だったが、雨のせいか、プールは思ったより空いていた。

プールサイドまで杖をついていくわけにもいかず、杖はロッカーに置いていった。最近では珍しい「杖なしの私」は、プールサイドをゆっくりゆっくり慎重に歩いて、水際まで行った。

階段状になったプールサイドから水に入る。水は少し温かくて、浮力が働くのか、体が軽くなるのを感じた。

二年位前に別の区民プールに何十回も通ったので、プールには慣れていた。水に入るのに抵抗感はない。
この体になって、「今までの経験」という貯金を使うみたいだなと、時々思う。すでに身に付いていてできることが、大きな武器になると知った。

◎水中を歩いてみた

足元に気をつけていたものの、思いのほか軽い力で水中を動けた。コースロープをくぐり、とりあえず水中歩行のコースに入った。まずは、水の中を歩いてみる。
想像では、麻痺している足が水底に着かずに空回りして、水の中で転ぶのではないか、そしておぼれるのではないか、と思っていた。でも、まったくそんな様子はなく、多少の不安定さはあるものの、水中歩行は普通に可能だった。
水中歩行は退屈なので、これまでやったことがなかった。だから以前とは比べられないが、一応歩けるようだった。地上と同じくらいの違和感がある程度で、重力がない分、体は楽だった。水で包み込むように全身を支えられているので、転ぶリスクが少ないのも気持ちが楽だった。

病院のPTが言っていたとおり、水中だと、皮膚感覚で足の位置がわかった。水の抵抗があるから、振り出した足の動きをつかみやすい。水の負荷は、動かす訓練になるようだった。同じように水の抵抗を感じながら、陸上では難しい脚を後ろに振り上げる練習もできた。



◎泳いでみた

次にビート板を持って泳いでみる。

まずは一番楽に泳げる、足だけの平泳ぎ。何だか前に進まないが、一応可能だった。

次にバタ足。進まないが一応できる。以前から、ビート板を使ったバタ足は進まなかったし、あまり好きではなかった。速いストロークは打てない。

ビート板を足に挟んで、手だけでのクロール。これは予想していたことだが、以前とほとんど変わらずにできる。足を使わないからだった。実は前から、この泳ぎ方が一番気に入っていた。手先から腕全体で水を大きくつかんで体重を載せる感覚が好きだった。

これなら、繰り返し通っていれば、かなり泳げるようになるだろう。何よりもとても気分がいい。運動にもなる。浮いているから、足の訓練にはまったくならないけど…


続いて、普通に平泳ぎをしてみた。
思ったより可能だ。でも、以前よりかなり遅い気がする。足のストロークは意外とできているようだが、多分脚力が有効に水に作用していないのだろう。何だか進まない。
これは残念だった。以前は平泳ぎが結構速かったし、好きだったから。
何度もやってみると、後ろに蹴り出した両足の踵がぶつかっている。そして、水の抵抗にぶつかって、左足が正しくストロークできていないようだった。練習をすれば変わってくるかのどうか。

約40分間、水の中で過ごした。いくつかできることがわかった。それから、練習すればできそうなことや、効果がありそうなことを確認できたのは、一歩前進。
でも、今まで使わなかった筋肉を使ったせいか、右足のしびれ感と左の不安定さが更に増したように思う。明日以降、これがどのように変化するかを見ていこう。

本当は、子供が多いプールは、感染症が気になり嫌なのだが仕方ない。スポーツクラブを考えているのは、プールを使う人数が少なくて、子供が入らないため水がきれいで、感染症の危険が低いからだ。

本当にひとつずつ、自分の体でできるのかどうか、体がどうなってしまうのかを、恐る恐る試していました。この時は、プールは「試し」にすぎなかったのですが、後にプールに気持ちを救われ、水が私にとって大きな意味を持つことになります。

🔹電動アシスト自転車を見に行った

億劫であまり乗り気ではなかったけれど、外に出たついでに、自転車屋にも行ってみた。電動アシスト自転車がどんなものか、実際に見てみようと思った。その自転車屋は、大きくて安売りの自転車屋だが、客はほとんどいなかった。
電動アシスト自転車のコーナーには数十台の自転車があった。
私が乗れそうな20インチのタイヤのものは1種類、それはネットで見ていた車種だった。
でも、あまり魅力を感じない。なんでだろう。夢がない。「ふーん」と思ってすぐに帰る。「その自転車は気に入らない」のが確認できたという一歩前進。次を考えてみよう。

重い体ながら、今週も一つ前に進んだのでよかった。何て遅々としたペースなんだろう。まあいいか。
今日の試があったからこそ、今度は来週中に、職場の最寄り駅近くのプールに初めて行ってみることができるだろう。
また、自転車かバイクかという迷いは、とりあえずバイクという選択肢を優先することになりそうだ。

そして、いつもは鬱々とする雨の日曜の夜だけと、体を動かしたせいか、気持ちがすっきりしている。これが一番期待していたことだ。プールやジム、自転車にも同じような効果を期待している。自転車があれば、いつどの時間でも、体を動かせる。


文・写真🄫2023 青海 陽

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