葵拓真
記事一覧
うごく家(ショートショート)
からくりのような手動式のギミックで、プロペラがまわり空を飛ぶことのできる古めかしい家があった。
その家は、丸型の輪郭に、切れ長の目、のっぺりとした鼻、平たい唇を持つ、髪の毛がレインボー色の長身の爺さんが、住んでいる家だ。
その爺さんは、橋田という。
橋田は、からくり第一中学校の卒業作品で、この家を作り、それからというもの、この家を愛用している。
橋田は「動かないより、うごく方が好きで、よく作るんで
いいねポイント(ショートショート)
この世界は数字がものをいう。
長く続けてても、実績がなければ、誰も評価しない。
だからこそ、発想を変えようと思った。
私の名前は、名乗るまでもないインスタが流行った頃、いい思いをしたアンモナイトでも言っておこう。
あの当時、いいねをもらって、バズることが、ステータスとなっていた。
どんな画角なら、かっこいいと思ってもらえるだろうか、なおみ先輩をマネしてた頃がなつかしい。
のちに、TikTokという
フェミニズムの崩壊(ショートショート)
順応主義者の私は、この国をより良いものにするため、毎年開かれる会議に出席した。
平等民主主義者を謳うフェミさんは、「性別というものを無くそうと思う」と発言した。
その発言に私は、「なぜ無くす必要があるんですか」と問いただした。
すると、フェミさんは、「もう、全員一緒の性別しかなければ、優劣をつけられていると感じなくなるからです」と答えた。
その答えに、「そこまでする必要がありますかねぇ、性別をなく
大雪瞑想(ショートショート)
「今年は10年ぶりの大寒波なんですって、まぁ大阪は降らないでしょう」
ニュースを見ながら、母はこう呟いた。
大雪なんて、滅多にないことなので、「絶対降らないね、日本海側くらいだよ、雪なんて、テレビで見てるぐらいがちょうどいい」と言うと、大欠伸をして、寝室へと向かってベットの上で睡眠する。
僕は寝ながら考える
雪のない世界について考える
雪が売れる世界について考える
雪が不可欠な世界について考える
今、手塚治虫先生のアラバスターをリメイクしたら、売れると思う
フレッシュ滅亡サラダ(ショートショート)
「フレッシュ滅亡サラダという言葉を知っているか」
瞑想心理学のポセイドン教授は、生徒たちにこう問いかけた。
大半の生徒たちは、答えを導くことができずに、黙り込んでいる。
数時間静かな沈黙が、続いていたが、とある生徒が手を挙げた。
この生徒の名は、宮下みどりという。
彼女は難儀な性分を持ち合わせている可哀想な女だ。
「フレッシュ滅亡サラダという言葉の意味は、国が滅亡するときには、一つの要因だけではな
イザナミ(ショートショート)
イザナミ出版は、noteというアプリとコラボして、作品を募集することにした。
選ばれた人は、週刊少年イザナミの漫画家の人を紹介され原作者として、活躍することを約束されるという。
直訳すると、こういうことが、書かれている記事を峯岸大輝は、読みながら「面白そう、応募してみよう」と呟いた。
週刊少年イザナミといえば、誰もが思い浮かぶ有名作家を持つ、有名漫画雑誌だ。
大輝にとってこれは、つまらない人生から
20歳の再会2.(ショートショート)
3年前に成人式で出会った僕らは、同棲生活を始めた。
同棲生活しているある日の朝食のこと、僕は、明日のことについて話していた。
「明日の9日、妹の成人式なんだよ。だから久しぶりに実家帰ろうと思ってさぁ」
長堀千聖「それは、お祝いしてあげないと」
「うん、でも久しぶりに、実家に帰ってきたらびっくりするかもしれないな」
長堀千聖「もしかしたら、私たちが喧嘩したなんて思うかも」
「まさか、そんなことはない
アンダーリトル、あらすじ
アンダーリトル、ストーリーあらすじ
#読み切り #ジャンププラス原作大賞
あらすじ
破壊神シスサヴァは、絶滅周期という既存の生き物が絶滅したり、新たな生き物が生まれたりする一定のサイクルを記した聖書の内容にあやかって、人類を滅亡させようと、試みるが、破壊神の行動に反対する創造神は、草太という男の子の力を借りて、立ち向かう
アンダーリトル
サブタイトル 始まり
#ジャンププラス原作大賞
松映え市の住宅街の一軒家に住んでいる小学校3年生の悟は、学校へと向かっていた。
通学路の途中にある信号が変わるのが遅い横断歩道で、足止めをくらっていた時、グラっという揺れが襲ってきた。
目の前の道路が、ひび割れを起こし、そこからアンダーリトルが飛び出してきた。
いぬでも、猫でもないみたことがない生き物が突然現れたことに、恐怖を感じながらも、好奇心
狂人レストラン(ショートショート)
これは私の、レストランコレクションの中から、抜粋した話だ。
私がひどい二日酔いでのたうち回りながら、三軒目の店を探して彷徨っていた時偶然見つけた。
従業員のほとんどが、何をしでかすかわからない狂人ばかり雇っている飲食店で、名前を狂人レストランという。
店内に入ると、店員が、急にお尻を触って来て、「この場合って、痴漢が成立すると思いますか。」と囁いてきた。
私は訳がわからずに、立ち止まっていると、「
遊び(ショートショート)
高校の入学を期に、一人暮らしを始めた。
そして、その頃から機械いじりに目覚め、現在に至る。
私、諫本光は、現在29歳になった。
収入はというと、危険物処理のバイトをおこなっている。
今日は、ちなみに出勤日、仕事へと向かう。
何気ない毎日だと思っていた。
あれが、スクランブル交差点の真ん中に落ちて来た時、私は、とてつもないことに巻き込まれてしまうのではないかという予感がした。
あれが墜落した時間、私
パークマイセンキュー(ショートショート)
久しぶりに教授から連絡があって、研究施設を訪れた。
研究施設を訪れると、機械を頭につけるようにと言われて、装着すると、私の意識は、頭の中にあった。
その状態を、脳内遊園地にいるというらしい。
私が脳内遊園地で、遊ぶ様子を観察している学者たちは、私の頭の中の世界を、スケッチし始めた。
パーク内は、写実的で写真的な、建築物、乗り物、の幻影が、突如現れていた。
学者の一人は、「これは、現実での生活が影響
今日休日で、本棚を組み立てていたけど、なんか誤って指に釘打ち込んでしまって、もう包丁握れません料理人やめます。みたいなくだらない理由を考えて、眠れない
最近、電脳コイルを見始めて、サッチーとかキュウちゃんに妙に惹かれる自分がいる
偽り(ショートショート)
野良猫が彷徨う路地に、少女はいた。
少女の近くには、親らしき人物は見当たらない。
まるで、薄暗い灯りが灯る路地に、溶け込んでいるようだ。
ガヤガヤ、ガヤガヤという賑わいを、みせてくれれば、奇妙さが少しは軽減できるのに、今日は静かである。
ニャオー、ニャオー、
少女には、1匹の黒猫が、心配して、話しかけてきたように思えた。
「どうしたの、私は平気だよ」
ニコリと笑いながら、そういうと、猫の頭を強く撫