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吐き留めの唾(私小説)
口の中に入ってるガムを、噛んで、甘味料の味を流し込む。
なんのために、ガムを噛んでいるのだろうかと噛み続ける動作に疑問なんて感じてはいけない。
そう、朝起きて、歯磨きをして、学校へと行く平日の習慣のように、この繰り返すだけの時間に疑問を持ってはならない。
そして、いつか口にあるガムをぺっと吐き出して、すっきりする日まで、呑み込まずに噛み続けることに嫌気をさしてはならない。
そう、卒業する日まで、わ
料理の鎖に囚われて(私小説)
私は梅田にある某調理師学校の卒業式を控えていた。
3月から、京都にある某ホテルの中華料理店に就職がきまっていて、入居の準備が、やっと終わったところだった。
私と留学生の任さんは、在学中の話などをしていて、ホテルに出す書類の話をした。
卒業証明書と呼ばれる証明書がいるのだが、頭の悪い私は、卒業試験で、2度失敗し、卒業見込み証明書しかもらうことができなかったのだが、事務に、話すと2度目の試験で、受かっ