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Photo by
tomekantyou1
見上げた空には、お月さま
深夜2時。
そっと部屋を出る。
スリッパを履き、パタパタと屋上へと向かう。
露天風呂と書かれた暖簾をくぐり、脱衣場へ。
服を脱ぎ捨て、扉の奥をそっと覗く。
やったぁ。
誰もいない。
静かな夜。
微かな風の音と、湯の音だけが反響する世界。
「あちっ」っとひとりで顔をしかめながら、ゆっくりと湯船に浸かる。
身体の力を抜き、
プカプカと浮かんでみる。
見上げた空には、お月さま。
肌にまとう熱い湯が、蒸発して湯気となり立ち昇る。
私の想いも空へと、身を委ねる。
頑張ってきたんだな。
よくやってきたよ。
ありがとう、私。
夜空を見上げ、ふぅ~と息を吐く。
火照った身体を
夜風が優しく撫でてくれる。
誰もいない、月明かりの下、ひとり。
私は、夜に溶けていく。
また、来よう。
この気持ちを味わうために、この感覚に浸るために、
また頑張ろう。
☆
浴衣に着替え、部屋に戻る。
すやすやと眠る、私の家族。
私の宝物。
私の幸せ。
そっと、布団に潜り、つぶやく。
ありがとうね💕