どんなに綺麗に洗った手も、 ひとたび汚れたものに触ってしまったら、 すぐに汚れが手についてしまう。 しかし、 あなたの綺麗な心に触れたら、 私のこの汚れた心は清められ、 なおかつあなたの心を汚すこともない。 美しい景色を見れば心が洗われるように、 綺麗な心の持ち主は、そのそばにいる人の心までも、 綺麗にしてくれる。 男が女を犯すことを、 女を汚すとたとえられるが、 あなたの心と体があまりに綺麗だから、 あなたを抱いたら私もあなたを汚してしまいそうだけど、 セックスが終わ
あなたが寂しくて切ない夜は駆けつけて、抱きしめてあげる。 あなたにいいことがあったらお祝いに、抱きしめてあげる。 あなたが頑張って何かをやり遂げたならご褒美に、抱きしめてあげる。 あなたに悲しいことあって涙が止まらないなら、抱きしめてあげる。 あなたが私に会いたくて駆けつけてくれたなら、抱きしめてあげる。 あなたが欲情してしまったなら我慢しないで、抱きしめてあげる。 あなたが官能の極みで果ててしまったなら、抱きしめてあげる。 あなたが帰るときに別れ際の駅で、抱き
男にとって、 女からキスをせがまれるのは、 男としての誇りを最大限にくすぐられる。 女がいてもたってもいられず、 唇を妖しく紅く濡らし半開きにして、 してくれなかったら窒息してしまいそうに、 男の熱いくちづけを熱望する。 それは、 キスをおねだりするという可愛さを超えて、 男の体にすがりつき、 数ミリでも男の唇に自分の唇を近づけようとする。 女にキスをせがまれるのは、 女の我慢の限界を超え、 そこまで心を奪い取ったから。 あるいは、 男に官能の極致まで連れて行かれ、
もし街中で偶然に恋人の姿を見かけたなら、 喜び勇んで声をかける前に、 しばし物陰からその姿を眺めてみるといい。 気がつかれないように、 後ろ姿を見つめてみる。 いつも自分を意識して見つめる目は別の方を見て、 いつも自分に向かっている体は背を向けて、 まったく自分を意識しない素のままの恋人が立っている。 その姿は、 自分が恋に落ちる前の、 恋をしている目を通さずに見るその人のたたずまいを、 客観的に再び見られる機会かもしれない。 普段は見えないその人のあらが見えてしまう
両腕を左右に広げた幅は、 その人の身長とほぼ同じだと言う。 大人の人の背丈は、 1メートル半から2メートル近くまでと意外と長く、 ましてや背伸びすれば、結構高いところまで手が届く。 それと同じくらいの両腕の幅を 私たちはもっているのだから、 少しがんばれば、自分の欲しいものは、 結構手の届く範囲にある。 あなたが今、欲しいものがあるのなら、 背伸びをして高いものをとるように、 手を伸ばしてみればもしかしたら、 指先が引っかかるかもしれない。 そして、 人の背丈と同じほ
快感にむせび泣く女の声は、 天上から聴こえる天使の声、 羽衣をまとった天女の琴の音色、 朝に窓から聴こえる鳥のさえずり。 その声は、 時におどろおどろしく、 時にかわいく、 時にはしたなく、 時にみだらで、 時にかなしそうだけど、 どの音色も美しくて、 それを聞けば聞くほど愛おしくなり、 もっとその声を出させたくなってしまう。 どうしてそんなに声が出てしまうのか。 私に抱かれてとっても嬉しいからか、 私に貫かれてとっても感じているからか。 そんな疑問は、 あなたが私のも
話し合うときは相手の目を見る。 目を見ることでお互いに信頼が生まれ、 会話の中身が相手に伝わってくるから。 仕事の商談において、 自分の目を見ない相手が、 いかに熱弁を振るっても、 その言葉の中身は薄くなって聴こえてしまう。 ましてや男と女の間において、 相手の目を見ずに口説かれても、 何も相手に伝わらないのは当然。 たとえばカウンターに隣り合わせで座っても、 時々は目を合わせて、 肩と肩をすりあわせるから、 二人の距離はどんどん縮まっていく。 テーブル越しに向かい
おいしいものをいただく時は、 ひとりよりもふたりがいい。 ひとりでしっとり味わうのも良いけれども、 このおいしさを共に 「おいしいね」と言い合えたなら、 さらにもっとおいしくなるから、 おいしいものはとっても不思議。 二人なら、自分が知らない食べ方や、 調味料の付け方なども教わって、 その食材のおいしさに あらためて驚かされることもある。 そしてそんなふうにおいしいものを 一緒にいただいた後ならば、 あなたはさらにいちだんと美味しくなる。 一人で慰める味は誰もが知って
恋人に会えるなら、 できるだけ時間があって、 誰にも邪魔されない場所があるといい。 だけど、 二人きりになれる場所が見つからず、 時間もなくて、 街角の隅でキスだけであきらめることもあるだろう。 愛を交わす場所を求めて街をさまよう男と女。 それは雲間を漂う満月。 動いているのは雲なのに、 月が動いているように見える。 恋人と心を重ね、体を重ねることができるなら、 その場所がどんな場所であっても輝いて、 天の川に雲の波が立ち、 その上を静々と流れる月の船に 乗っているよう
私はあなたよりも背が高いから、 向かい合って抱き合うと、 あなたの顔は自然に上を向く。 人は元気が欲しい時、 空を見上げて、前に向かって歩くだけでも、 気分が高揚するから、 そこに私の顔と体があるなら、 あなたはとっても元気になれるはず。 私は少し下を向かなければならないが、 あなたが元気になればそれが伝わるし、 何よりあなたの顔が太陽みたいだから、 下を向いていても、上を向いているのと同じこと。 そのまま二人倒れ込んだら、 どちらが上か下かも、前も後ろも関係なく、 あ
つきあいが長くなった男と女は、 心も体も知り尽くしていると思っても、 ある行動や会話の中で、 今まで知らなかった側面を見て、 はっとさせられることがある。 それが良い印象を与えるものなら、 さらに恋を深めるだろうし、 それが悪い印象であったなら、 一気に恋を冷ますきっかけにもなりかねない。 いずれにしても、 何回かの逢瀬かセックスで、 だいたい相手のことがわかってしまう人よりも、 少しばかり謎めいている部分がいつまでも残り、 それがじわりとにじみ出てくる人のほうが、 ずっ
尋常では無い猛暑を過ごして来て、 さわやかな風が通る夜がくると、 夏に疲れた体も一息つける。 シャワーを浴びて、その後に麦酒を飲めば、 思わずため息がもれてしまう。 それは燃え上がるような激しい情事のあと、 冷たいシャワーを浴びて火照った体に一息つけて、 また互いの肌を重ね合わせると心地よくて、 ため息がもれてしまうよう。 汗まみれになって 二人だけになれるホテルにたどりつき、 服を脱ぎ捨てて一緒に汗を流すシャワーは、 また抱き合うための一息のためで、 そのあと抱き合って
あなたを全裸にしてベッドに押し倒し、 唇を貪るように吸いながら、 右手をあなたの股間に忍び込ませると、 すでにどうしようもないくらい 熱くぬめっていて驚かされる。 まだ前戯が始まったばかりなのに、 あなたの股間はすでに私のものを受け入れる準備が整っていて、 私の指はそれに触れて、男としての悦びを感じてしまう。 いったいいつから濡らしていたの? 服を脱がす前、抱きしめて唇を奪ったときか。 それとも部屋に二人だけになったときか。 あるいはその前に食事をしていたときなのか。
日本の昔の家屋には必ず縁側があって、 夏になれば縁側に座って団扇で風をあおぎながら、 夕涼みという風情も味わえた。 今の都会のマンションではそんな風情も叶わず、 エアコンの効いた部屋から、 窓越しに夕やけを見るくらいの情緒しかない。 あなたと浴衣姿になって並んで縁側に座り、 団扇で足元をあおげば、 あなたの浴衣の裾がめくれ、 すねの白い肌がまぶしく夕日に輝いて見える。 私はついつい右手を伸ばし、 あなたの浴衣の裾を割っただけで、 あなたの浴衣姿の情緒は、ふしだらな姿に変身す
あなたの声は美しい。 その鈴を転がすような響きは日常の会話の時ですらも、 この耳を心地よくさせてくれるというのに、 情交の最中のその声は、天使の声から魔女の声まで様々な音色を私に聴かせてくれる。 まさにそれは私だけが聴く事ができる、あなたひとりで奏でる合唱隊。 そして私はあなたの発声のおけいこの指南役。 「ああ…」 あなたの柔らかくなだらかな曲線を描くその皮膚を私のこの指で撫でる時。 「いい…」 あなたの敏感な部分を巧みに刺激し、やがてはひとつにな
官能の極みに到達した時、 男も女も「いく」という言葉を思わず発してしまうのは、 体も心も日常の自分とは、 最もかけ離れた果てまで、 飛んで行ってしまう気持ちになるから。 きっとそれよりも大切なのは、 体も心も逆にこれ以上無いほどに、 大切な人と一緒になっていることを伝えたいから。 心も体も、 遠いところまで飛ばされてしまいながら、 あなたは私の背中をしっかり抱きしめている。 どこにもいかないで、 ずっとそばにいて、 と、いう想いが、 あなたの「いく」という叫びに、