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ひといき ためいき といき
尋常では無い猛暑を過ごして来て、
さわやかな風が通る夜がくると、
夏に疲れた体も一息つける。
シャワーを浴びて、その後に麦酒を飲めば、
思わずため息がもれてしまう。
それは燃え上がるような激しい情事のあと、
冷たいシャワーを浴びて火照った体に一息つけて、
また互いの肌を重ね合わせると心地よくて、
ため息がもれてしまうよう。
汗まみれになって
二人だけになれるホテルにたどりつき、
服を脱ぎ捨てて一緒に汗を流すシャワーは、
また抱き合うための一息のためで、
そのあと抱き合って唇をしっかり重ねれば、
思わずため息がこぼれる。
事の後の熱い体を冷やすシャワーは、
燃え上がった欲情をいったん納める一息のためで、
体を拭いて椅子に腰掛けて乾杯すれば、
その冷たい酒が体に染み通り、思わずため息がもれる。
そしてまた再び抱き合えば、
互いの唇からもれたため息が相手の耳をくすぐる。
「ひといき」
それはそれまで我慢して来たからこそのご褒美で、
「ためいき」
それはご褒美のおかげで心にたまったものを解放する。
ひといき、ひといきが、ためいきのたびに重なって、
気がつけば二人の間にたくさんの、
といきがこぼれ始めて行って、
いつのまにか、「ひといき」も、「ためいき」も、
みんな吐息になってしまっている。
「一息」を、十ためられたら、
「十息」になるのかもしれない。
あなたとの「ひといき」が大好きで
あなたを抱いたときの「ためいき」も大好きで、
あなたのもらす「といき」はもっと好き。