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縁側の男と女

日本の昔の家屋には必ず縁側があって、
夏になれば縁側に座って団扇で風をあおぎながら、
夕涼みという風情も味わえた。
今の都会のマンションではそんな風情も叶わず、
エアコンの効いた部屋から、
窓越しに夕やけを見るくらいの情緒しかない。

あなたと浴衣姿になって並んで縁側に座り、
団扇で足元をあおげば、
あなたの浴衣の裾がめくれ、
すねの白い肌がまぶしく夕日に輝いて見える。
私はついつい右手を伸ばし、
あなたの浴衣の裾を割っただけで、
あなたの浴衣姿の情緒は、ふしだらな姿に変身する。

縁側に押し倒し、帯を解き、前を開くと、
縁側の木目の上にあなたの白い肌が浮き上がり、
さらにいっそう淫らに見えてくる。

風に吹かれながらあなたの肌に指を這わせ、
やがて舌を這わせて行くと、
あなたの肌に汗が浮き上がり、
私もまた額から汗がこぼれ始める。

しかし二人とも熱くなっているから、
夏の夕刻の暑さもさほど感じない。

やがて縁側に腰掛ける私の股間に、
浴衣の前をはだけたあなたがうずくまり、
草履を履いた足が少しつまさき立ちになって、
私のものを味わっている。

私はしだいに夕闇がやってくる空を見つめながら、
私の気分も陽から陰に切り替わって行く。

そしてついにあなたが私の上に乗った時、
縁側でまぐわう浴衣の男と女の姿が、
浮世絵のように浮き上がって見えるだろう。

夏の夕涼みの縁側で、
二人汗まみれになりながら、体を交わらせる。

垣根越しに誰かが覗いていやしないかと、
すこし心配しながら、
あなたは声をいつもより抑えがちだが、
悶絶した瞬間に足が伸びて、
障子の紙に穴を開けた。

おや、そこから誰かが部屋の中から覗くかも。

男と女の夕涼み。
あなたと、
こんなふうにしてみたい。

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