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読書まとめ『「やめる」という選択』→埋没コストを捨てて、やりたいことをやる

『「やめる」という選択』澤 円


一言でいうと

埋没コストを捨てて、やりたいことをやる

概要

図書館の新着リストから、タイトルに興味を惹かれて読んでみました。最近はミニマリスト的な考え方に傾きつつあり、「やめる」選択にアンテナが立っているのかもしれません。

本書で重要なキーワードは、埋没コスト(サンクコスト)です。どんな意思決定をしても取り戻せない、支払い済みの固定費を指す経済学用語です。今まで使った資金や労力を切り捨てるのが惜しいために、さらに損失が拡大するおそれがあります。「せっかく入社したのだから、大変でも働き続ける」「もう使わないけど、高かったから捨てられない」といった思考ですね。

埋没コストを見極め、適切に「やめる」選択をしよう、というのが本書のメインの主張です。もう一歩踏み込むと、「やめる」こと自体が目的ではなく、自分にとって大切なことや新しいことを「やる」ための手段のひとつだと感じました。

「やめる」という選択に関わるマインドについて、3点でまとめました。
具体的にやめてよいモノゴトや、実際のやめ方に興味が出てきたら、ぜひ本書を読んでみてください。


① 社会の変化は、やってみる・やめる好機

昨今の新型コロナウイルスのパンデミックにより、世の中の常識はリセットされました。今までの「当たり前」が崩壊し、過去との連続性がなくなったこの状況では、起こしたアクションは貴重な一次情報になりえます。自分が得た一次情報をもとに思考・行動した者だけが新たな発見を得られる、「やったもの勝ち」のタイミングだといえるでしょう。

やめることの重要性を説く本書ですが、やる・やらないの選択肢なら、やる選択を推奨しています。やってみて、うまくいかなかったり幸せにつながらなかったりしたら、やめればいい。やめる選択をすることで、また新しいことをやるリソースを確保できます。

新しいことをやってみると少なからず失敗することもありますが、失敗を恐れて行動しなければ一次情報は得られません。行動した上での失敗は貴重な学びなので、うまくいかなかった失敗事例も自分のアウトプットにしてしまえばよいのです。ヒトは他者から重要に見られたいという欲求があるため、失敗をアウトプットするのは勇気がいる行動ですが、取り入れてみたいと思いました。


② 人間は本質的に「自己中」

続けてきたことをやめようとすると、良心が痛むもの。モノを捨てるときは自分ひとりの問題であることが多いですが、人間関係が絡んでくる仕事や交友をやめるのは難しいことです。

本書でのアドバイスとしては、人間は本質として「自己中」であり、他者を非難したり自分を卑下したりする必要はない、というものがあります。誰もが「自己中」であり、それをお互いに認識することが重要です。

また、人間関係は時間経過や状況の変化によって変わりゆくもの。過去に何があったにせよ、今お互いに対して価値を与え合っているかを考えましょう。過去の思い出話やインスタントなトレンドの話ばかりしている、などの関係性は、すでに役目を終えている可能性があります。

その結果、相手との関係性を見直したからといっても、相手の価値を否定することにはなりません。今の自分とのマッチングがうまくいかなかっただけです。


③ 自分が幸せになれる場所で社会貢献

自分が幸せになれる・人生が豊かになるところに身を置くことを追求した選択をしましょう。モノを買う行為も、自分が幸せを感じられるモノに囲まれ、豊かな時間を過ごせるようにすることが目的です。この考え方は、近藤 麻理恵(こんまり)さんが「ときめく」と表現している感情に近いかも、と著者は言っています。

仕事面であれば、自分の能力が最大限発揮できる場所に身を置くことを意識します。苦手な仕事に無理して取り組まざるをえない環境よりも、苦手な仕事はそれが得意な人に任せて、自分の得意な仕事に集中できる環境の方が、個人としても組織としても成果が出るでしょう。社内コミュニケーションも、この目的に照らし合わせて、やる・やめるを選択すればよいのです。

今までやっていたことをやめる場合、少なからず反発もあると思われますが、よりよいモノを生み出すために埋没コスト化しているムダをやめる、という思考で対抗できます。何かをやめることは、よりよい何かをやるための手段です。



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いつも図書館で本を借りているので、たまには本屋で新刊を買ってインプット・アウトプットします。