読書まとめ『ゆるかわ古生物図鑑』→「ゆるかわ」で楽しむ、進化のドラマ
『ゆるかわ古生物図鑑』高橋 のぞむ 著・土屋 健 監修
一言で言うと
「ゆるかわ」で楽しむ、進化のドラマ
概要
お待たせしました、古生物の時間です。
今風の「ゆるかわ」イラストで古生物を紹介する図鑑。私の中では「ゆるかわ」イラストとツイッターは、切っても切れない関係として認識されています。
古生物の基本情報・イラストと、特徴や研究史を描いたマンガが掲載されています。マンガ部分はゲームやアニメのパロディもあり、ちょっとオトナ向けかもしれないですが楽しく読めます。あまり難しいことは考えずに、休日の午後にプランクトンでも食べながら読むのにちょうどいいゆるさですね。本書に限らず、古生物の本には「1000万年という短い時間」といった表現が大まじめに出てくるので、頭を柔らかくしてリラックスして読みましょう。
本稿では、私が特に「ゆるかわ」を感じた古生物を3つ紹介します。
① エルラシア:ポピュラーすぎて安売り
カンブリア紀の三葉虫。カンブリア紀からペルム紀末まで、3億年近くを生き抜いた三葉虫たちの中でも最もポピュラーと言われています。アメリカのユタ州では数十万個体もの化石が産出しており、市場に大量に流通しているそうです。
イラスト図鑑である本書にも、著者が800円で買ったエルラシアの化石は写真で掲載されています。何億年も前の化石って貴重で高価なものだと思ってたんですが、エルラシアの化石はランチ1食分くらいのお値段でした。800円で太古の生物に思いを馳せることができるなら、買っちゃおうかな。すごいんだけどポピュラーになりすぎちゃって逆にありがたがられない、「いらすとや」みたいなものですかね。
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② パラスピリファー:動きたくない
デボン紀に繁栄した腕足動物。二枚貝のような見た目ですが、腕足動物というまったく別の系統らしいです。その特徴は、動かないこと。動かなくても殻のスキマに水が流れこむようなつくりになっており、水流に乗って運ばれる有機物をエサにしています。そんな設計を作っちゃうなんて、生物すごい。チャップリンの『モダン・タイムス』の、自動でメシ食わす機械を思い出しました。
動かない鳥(結構羽ばたくけど)としてハシビロコウが人気になりましたが、動かない腕足動物・スピリファーもダウナー系な「ゆるかわ」をアピールしてほしいところです。
※内側の細かい触手はちゃんと動かしているっぽいです。
③ コティロリンクス:ずんぐり17頭身
ペルム紀に登場した単弓類。3.5メートルの全長に20センチメートルの頭部という、アンバランスな体型が絶妙なゆるキャラ感を醸し出しており、著者の好きな古生物ランキング1位として紹介されています。こんなずんぐり体型なので地面に口をつけることができず、呼吸器の構造から水棲とする説もあります。個人的には、陸上をのしのし闊歩してほしいですけどね。
古生代の「ゆるかわ」アイドルとして、時代も類も地域も違いますが中生代のアイドル:ササヤマミロス・カワイイとペアで売り出してほしい。コティロリンクスの背中にササヤマミロス・カワイイが乗ってる絵面とか、なかなかいいんじゃないかなと。
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いつも図書館で本を借りているので、たまには本屋で新刊を買ってインプット・アウトプットします。