いつの日かまたロックマンX
かつての俺を夢中にさせたゲーム、ロックマンX。おれは何度も何度もロックマンXをクリアしていた。クリアするたびに、縛りだとか条件だとかは付けなかった。ボスを倒す順番を変えることもあったが基本的に、似たルートを通り、似た方法でクリアした。
だけど全然飽きなかった。何度しても飽きない痺れる楽しさがあった。大きくなった後も思い出してはクリアをしていた。だが一人暮らしをして、SFCと離れ離れの生活になると、ロックマンXとの関係は途切れることになった。長い間ロックマンXをプレイしてなかったのだが、スイッチでロックマンXアニバーサリーコレクションが出たことにより、再びつながった。
俺は今一度ロックマンXをプレイする。古いアルバムをあけるかのように。
ゲームをスタートさせると暴走したロボットに襲われたハイウェイに降り立つ。
ロックマンXの世界は、考えるロボットレプリロイドが自分の意志を持って人に反旗を翻す。暴走したロボットを倒すロボット、イレギュラーハンターであるエックスが、なぜ同じロボット同士戦わなくてはならないのか。疑問に思いながらも戦う世界だ。
当時のおれはロックマンよりハードになったこの世界に惹かれた……わけではない。たぶんストーリーをあんまり理解していなかった。悪いケツアゴロボットシグマがいるから倒そう程度だった
ただ主人公エックスがカッコよかった。ロックマンのような丸さがなく、鋭い目つきとメタリックなボディ、そのカッコよさがオレを夢中にさせた。
OPステージ進み、最後にボスVAVAが現れる。コイツは俺のお気に入りキャラだ。Xシリーズに何度も現れてエックスを狙うライバルキャラの一人。ロックマンXのリメイク版だと操作キャラに抜擢された。シリーズによって性格が変わるが、3の静かに復讐に動く感じのが好きだ。
ここのVAVA戦は勝てない。絶体絶命のピンチにエックスの親友ゼロが駆けつけ、助けてくれる。
ここでのXとゼロの会話が好きだ。無力感に気を落とすエックスと、エックスの持つ成長する力を信じ、励ますゼロ。最後に一言死ぬなよ、ここにグッとくる。リメイク版だとこのセリフがないのが少し残念だった。
ここから8体のボスを選ぶパートに変わる。ロックマンXというゲームを楽しむにはペンギンを選ぶしかない。
ここではフットパーツが取れる。ダッシュが出来るようになる。ロックマンではスライディングがあったが、ダッシュはより機動力のある動きができる。ダッシュ中でも攻撃でき、ダッシュ中にジャンプなら大ジャンプとなる。
この爽快な動きが俺を虜にした。やりこむほど、鋭い動きで駆けまわれるようになる。特にこの作品だとダッシュ中は火力UPだ。素早く動くほど素早く敵が倒せる。スピードが命。
ダッシュを出来るようなった俺は高速でステージを駆け抜け、ボスまでたどり着く。ここのボス、アイシーペンギーゴは本作の最弱候補だが、初めて倒すときはかなり苦労した。中々多彩な動きをする。今となっては雑魚に過ぎないが。
俺は軽く勝利し次へと向かう。
エックスは各ステージに隠されたパーツやアイテムを取るとパワーアップする。すべてのパーツをそろえたロックマンはかっこよく、オレが夢中になった理由の一つだ。
アイテムを取るには特定の武器が必要になることが多い。なるべく同じステージを訪れる回数を減らすため、どのようなルートを通るかは今までにない頭を悩ませるところだ。
オレが良くいくルートはペンギーゴー→イーグリード→ナウマンダー→オクトパルド→カメリーオ→アルマージ→クワンガー→マンドリラー
このルートだともう一度いくのはペンギーゴステージだけ。クワンガーステージのブーメランが要りそうなライフは氷の溜め打ちでとれたりする。
弱点を突く順ではないので、初心者にはオススメ出来ない自分用のルートだ。おれはかつてのルートを通り、いつも通りアイテムを集め、8ボスを倒してシグマステージ1へ突入する。
ここはいきなりクライマックスだ。何が起きたかについては知らない人のために黙っておこう。バスターパーツを取らないでここに来ると少しいいことがある。ぜひ試してほしい。
ここのボスはみんなのトラウマと名高いボスパイダー。すばやい動きで体当たりを繰り返し、弱点は一瞬しか開かない。だがロックマンの基本、弱点をつき、E缶(Xの場合はサブタンク)を使うで攻略できる。ロックマンと大きく変わったがこういう根本は同じだ。
サックリ倒して2へ行く。ここにはとくにドラマはないものの、ここのボスランダ・バンダのデザインが好きだ。同じこと思った人が多かったのか、のちのシリーズで再び現れることになる。
3は飛ばして、シグマとの決戦へ。シグマのペットベルガーダーが相手になる。動きはすばやいがパターン化できる。当時の記憶を頼りに、壁に張り付き、弱点で狙う。それを繰り返し軽傷で倒す。
次はシグマ本人が相手だが、同じパターンが通用する。おれは記憶通りに動き再び軽傷で撃破だ。
最後はウルフシグマ。ここで多くのプレイヤーたちが散った。
ロックマンXシリーズ史上最強の相手といって過言ではない。高い攻撃力とダメージの与えずらさを持つ。ここは電撃作戦だ。ダメージ覚悟で壁を登り、弱点を当てていく。最強の相手とはいえ、すべてのサブタンクを使いながら弱点を狙えばこちらが勝つ。
かつての記憶通りに動き勝利をおさめる。もう何度見た光景だろうか。エンディングに入り、エックスはなぜ戦わなくてはならないか考える。エックスは戦うたびに戦いについて考える。だが答えは出ない。果たしてエックスは戦いに答えを出せる日が来るのだろうか?
俺もいつの日か答えを出ることが祈っているが、シリーズは10年以上途絶えている。新作が出る度争いが起こることを考えれば、エックスにとって今はいい時期なのかもしれない……。
俺は少し寂しい気持ちになりながら、ゲームから視線をずらす。新作出ることを望むこと、救った世界が再び乱れること。このアンバランスな関係はすべてのゲームの続きに言えることかもしれない。
ただロックマンXシリーズは物語が完全に途中で終わっている。俺はエックスが戦いの日々に何かを見出すか、平和を掴むかして終わってくれることを祈っている。
いつか祈りが届くことを信じて、アルバムを閉じた。