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#140字SS

「冬から始まるよね」あなたはよく言っていた。何が始まるの?なんて無粋なことは聞かなかったけど、僕にとって冬は終わりのイメージだった。「春に期待して。夏に浮かれて。秋に悟って。始まるのは冬でしょ」今なら少しわかる。雪の中に咲いたようなあなたを思い出しながら、今年も始まりの冬が来る。

作家のあさのあつこさんは女優の浅野温子さんと同一人物だと思っていた。冷やっこに間違えてソースをかけ気づかず食べて「この豆腐は甘い」と思った。中学生になってもサンタさんを信じていた。子供の腰までしか水がない池で溺れた。公園で亀に足首をかまれ大声で泣きながら亀を引きずって家に帰った。

ここは楽しく平和だ。静かで居心地がよい。悲劇が起こるのはいつも外の世界だ。それを安全な場所から眺めている。
そう思い込んでいた。心が壊れないように。幻想の世界に逃げ込み傍観者を装っていた。悲劇は自分に起きているのに。
という文章を見た。どこの弱者が書いたのか。ここは楽しく平和だ。

お題『石鹸』

お題『石鹸』

石けんをジャガイモのように切って
あなたのシチューに入れてみた

あなたはおいしそうにパクパク食べる
するとあなたの背中から
しゃぼん玉でできた翼がはえた

その翼は部屋をつつんで
地球をつつんで 宇宙をつつんだ

やがて泡が一斉にはじけ飛ぶとき
私以外は消えてしまった

https://twitter.com/fuyusakirei/status/1236996332599967746

他の人を好きになってしまい家を出るとき、荷物の梱包を手伝ってくれたね。でもダンボール箱の中にこっそり想い出のCDと手紙を入れておくなんて最低だよ。『いつでも帰っておいで』なんて。決心が揺らぐようなことしないで。揺らいだ結果が今だよ。一生かけてつぐないます。ごめんなさい。ただいま。