サントリー「ほろよい」CMの曲が”エモい”のはどうして?
今さらなのだが素敵なCMに気付いた。サントリー「ほろよい」だ。(テレビ番組を見るのは、ほぼ録画。CMを飛ばしているせいで気付くのが遅い)音楽はもちろん、美しいアニメーションや実写映像が印象に残る。
わたしはCMソングで楽曲を知り、アーティストのアルバムを聴くようになったこともある。この曲たちは、なぜこんなにエモく、おしゃれに感じるのか?各ver.ごとに聴いてみた。
池田智子×TENDRE ver.60s
リズミカルなピアノのバッキングがカッコいい。温かみがありウエットなTENDREの声と、池田智子の硬質でドライな声が交互に聴けるのもいい。ビョンビョン跳ねるシンセベースも、新しいのに懐かしい感じ。洗練された都会的なおしゃれさ。
池田智子×TENDRE ラップありver.60s
池田智子のボカロっぽいドライなボーカルとラップ。ある意味、無機質なラップが、より都会的な印象を醸し出している。
kZm×佐藤千亜妃 ver.60s
こちらは頭からアカペラでの歌い出し。コードはシンセのストリングスっぽい音色で重なってくる。オクターブ上に女声が入ってきて、ユニゾンでハモり始めると、エモさに拍車がかかる。バスドラのキックは深く重いし、クラップやウワモノで鳴っている音色は、どれもアナログシンセのような温かみがある。何とも言えないおしゃれ感。
元ネタは「今夜はブギーバック」。実は藤井風がライブ配信の際、カバーするのを聴くまで知らなかった。「ほろよい」のCMで聴いて、改めて気付いたことがもう一つ。「今夜はブギーバック」のコード進行も「丸の内サディスティック進行」=「Just the two of us進行」なのだ。
これはJ-POPで多く使われているだけでなく、古今東西の楽曲で使われていると言っても過言ではない”エモい”コード進行。
ここでは説明は割愛するが、どの曲で使われているかなど詳しくは前回書いた記事をご参照いただきたい。
気になる方は、ぜひネット動画で「丸の内サディスティック進行」を検索してみてください。コードの響きを聴けば「あれだ」と納得できるはず。
小沢健二featuringスチャダラパー「今夜はブギーバック」
小沢健二は「渋谷系」で知られている。わたが「渋谷系」で聴いていたのはPIZZICATO FIVE。その頃は洋楽一辺倒だったが、近い所で言えばテクノ寄りのテイ・トウワはかなり聴いていた。サンプリングフレーズのループやコーラスの雰囲気には90年代渋谷系の香りが濃厚に漂う。
PIZZICATO FIVE / 東京は夜の七時
池田智子の声質や歌い方はPIZZICATO FIVEの野宮真紀やperfumeなどと同じ系統だ。ドライで硬質、余分な抑揚を付けず淡々としたフレージングはボカロ的。EDMやエレクトロ系のサウンドと相性がいい。
"TECHNOVA" TOWA TEI WITH BEBEL GILBERTO
今聴いてもおしゃれでカッコいい。全く古さを感じない。テクノとボサノバを合わせた「TECHNOVA」という語呂もいい。
90年代の渋谷系サウンド「今夜はブギーバック」を現代風にアレンジしたサウンド、しかもコード進行は切ない響きの「丸の内サディスティック進行」とくれば、エモさMAXなのは間違いない。加えて映像のほうも、部屋にさりげなくラジカセがあったりして、レトロな雰囲気。
若い世代には新鮮で、カセットテープ世代には懐かしさ満載。時間帯だけでなく四季の移ろいもあり、生活スタイルや国、時代もさまざま。一人の女性の人生ストーリーさえも感じさせる。そんな音楽と映像の世界に浸る60秒。
出会いと別れの春は、もうすぐそこ。彼女は甘酸っぱい「ほろよい」片手に何を思うのだろうか。
サントリー ほろよい ブランドサイト
「MUSIC」から
・池田智子×TENDREラップあり ver.
・kZm×佐藤千亜妃 ver.
どちらもロングバージョンで聴ける
※3/8追記
『TOKYO CULTURE STORY今夜はブギー・バック(smooth rap)』
こちらもぜひ。ファッションと音楽の流行の移り変わりがコンパクトにまとめられている。
音楽のこと、いろいろ書いてます。
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