#現代詩
詩 21、または、友に贈る、この先苦しくなった時のための詩
思いに沈む横顔はいつも
漆黒の宇宙だった
世界が、こんなにも美しく潤んでいるのに
その頰を伝う滴を
いつか
両手で掬い取って
残らず飲み干せたらと
願うばかり
目を凝らして
世界は思っているよりもずっと優しい
深い森の眼をして
微笑みを口にたたえている
そうっと踏み出したその足は
左右を交互に出せば
前に進む仕組みなのだ
右
左
右
左
右
そうして、道ができる
誰にも消すことのでき
詩 19、または、ある芸術家に捧げる詩
筆をにぎる
長く、細い指
あたまのなかの
精と卵が
ひとつになって
命が、生まれる
あたたかな水をたっぷり含んで
ひろがる
色、色、色
ふくらむ かさなる ほころぶ つながる
まじわる ぶれる ゆらぐ たゆたう のびる
もつれる みちる かわく ねがう とびちる
ふいに両の手からこぼれだす 青
深く、深い その青
それをすくいとって
指先はまた動きだす
強く、しなやかに
その軌