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「民主主義を信じる」(宇野重規 著)を読むー「日本社会は批判に開かれ、常に自らを修正していく能力を持っているか」


本書は、下記に掲載した書籍「民主主義とは何か」と同じ著者によるものである。2016〜2020年まで東京新聞に連載した「時代を読む」の文章をまとめたものである。

この「民主主義を信じる」を最後まで読み「あとがき」を読んだ時、この著者が日本学術会議により推薦された会員の中で、任命を拒否された6名の一人だと分かった。不覚にもその名を知らずに読んでいた。

この2冊を読み終わった時、そこから伝わってくる著者の民主主義に対する強い思い、確固たる信念に大いに勇気づけられた。だから「民主主義の旗手」のようにも思える著者を任命拒否した政府の対応には、納得が行かないし、怒り、不信と共に、恐怖さえ感じた。暗い時代の言論統制や他国の言論弾圧を思い起こした。

民主主義は、著者が述べているように、公開での議論と国民への説明責任そして判断したことへの責任を求める制度である。我々国民は、この学術会議問題に関して政府から十分な説明を受けたとは思っていないし、納得もしていない。民主主義は、まさに著者が言うように制度であると同時に、我々の日常でも実践されなければ、なんの意味も持たない。

最後に、ここに私がときめいた著者の言葉を書き記したい。

「民主的社会を支える基盤は多様な言論活動です。かつて自由主義思想家のジョン・スチュアート・ミルは、言論の自由が重要である理由を以下のように説明しています。

『もし少数派の意見が正しいとすれば、それを抑圧すれば、社会は真理への道を自ら閉ざしたことになります。仮に少数派の意見が間違っているとしても、批判がなければ多数派の意見は教条化し、硬直化してしまいます』

私は日本の民主主義の可能性を信じることを、自らの学問的信条としています。その信条は今回の件によっていささかも揺らぎません。民主的社会の最大の強みは、批判に開かれ、常に自らを修正していく能力にあります」


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